伊集院光が企画・構成・演出・主演・編集・ロケハンを行う、全権掌握番組シリーズ3年ぶりの最新作『伊集院光のてれび』の放映が始まった。


『伊集院光のばんぐみ』『伊集院光のしんばんぐみ』『伊集院光のばらえてぃーばんぐみ』に続くこのシリーズ。伊集院光が思いついた数々の悪魔的企画を若手芸人にさせる番組には、バラエティの名を借りた「実験」と呼ぶのがふさわしいものも。この辺の話は過去のレビューも参考にして欲しい。

10月2日放送の第一回で行われたのは「女性芸人オーディション」。書類審査200人、個人面接60人を経て選ばれた8人の女性芸人が、最終オーディションに挑む模様を収録している。

出された課題は「じゃんけん」。じゃんけんで勝った人が、番組レギュラーだ。ただし普通のじゃんけんではなく、いくつかのルールがある。

・基本は普通のじゃんけん(ぐー、ちょき、ぱーを使ったもの)
・ただしじゃんけんを行うのは今から2時間後
・バラバラの手であいこの場合は再じゃんけん
・全員が同じ手であいこの場合は全員合格

さらに途中で追加ルールが加わる

・3人まで入室可能の相談室を用意した
・1人が一緒に行きたい人を指名し入室
・1回の制限時間は5分まで
・部屋を使えるのは3回まで

シリーズのファンの人はこの内容でピンときたかもしれない。伊集院光のばんぐみのでぃーぶいでぃー Vol.1に収録されている「真剣じゃんけん」だ。『伊集院光のばんぐみ』で放映され、DVD化された人気企画。じゃんけんを行うのが数時間後というのがミソで、その間に話し合えば話し合うほどお互いが疑心暗鬼になっていく。


今回登場する8人の女性芸人は、旧シリーズのレギュラー組が3人(プラス番組出演経験者1人)、事務所プロフィールでは非公開の年齢を思わず言ってしまうほどパニックになっている人1人、肉体派女芸人1人、テレビ自体が初出演(芸歴4ヶ月)1人、不思議ちゃん1人。全員オークションに勝ち抜きたい気持ちは強く、並々ならぬ意気込みを見せる人も。

もちろん全員が同じ手を出せば全員幸せになれる。だが、単に勝てばそれで終わりではなく、番組に出演できる権利を得られるだけ。全員が合格すれば、それだけテレビで目立てなくなるかもしれない。また、芸人特有の「番組的にみんな同じで盛り上がるかしら?」という発想が入り交じり、混沌としていく。

それに加えて、最初から「私裏切りますよ」と宣言する人や、空気を読まずに変なボケをする天然な人、「なんでグーを出さなければならないんですか。人に言われてそうするの、嫌なんですよね」という人が出てきて、全然まとまらない。「性差ではないんだろうけれども、今回の方がまとまらない気がする」と、伊集院自身も認めているほどだ。

男性陣が多かった最初の真剣じゃんけんに比べ、全員女性の真剣じゃんけんは、より本音が多く出ているように思う。相談室で裏切りの相談をするときでも「1人で裏切り者になるの嫌なんですよ。みんな女子だから本当に怒るんですよ」という発言が。女子特有の、その場限りにできない恨みの深さがあるという。そのためか、裏切りの相談をしてきた後には、後ろめたさとプレッシャーが態度に出てしまう。駆け引きと、裏切りと、本音の入り交じりでは、前作に勝るとも劣らない展開だ。

真剣じゃんけん女性芸人オーディション編は前後編に分かれていて、後編は10月9日放送予定。さらに、その次の10月16日放送回でも、真剣じゃんけん女タレント編が予定されている。心理戦が好きな人は、今すぐBS12を録画予約した方がいい。視聴環境がない人は、早くDVD/BD化されることを祈ろう。
(杉村 啓)