前半は予想外に強い相手のプレスに手を焼いた日本。ボランチの山口、長谷部も守備で後手に回る場面が目についた。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 まずは、キッチリと勝ち切った点を評価すべきだろう。格下のシリアが相手とはいえ、「ここは我々のホームだ」(シリア/イブラヒム監督)という酷暑のオマーンで3ゴールを挙げ、無失点でグループ首位の座を奪い取った。ノルマである2次予選の1位通過に向けて大きな一歩を踏み出したのは動かしがたい事実だ。
 
 とはいえ、シリアと日本の力の差を考えれば、勝って当然の試合だったとも言える。例えば、スペインがイスラエルに勝ったところで評価はされない。日本とシリアの試合も同じようなもので、この勝利をもって「日本強し」と手放しで称賛することはできないだろう。
 
 試合内容に目を向けると、ポジティブな点とネガティブな点がハッキリと現われていた。攻めあぐねて何度かピンチも迎えた前半は反省材料、シリアの持ち味を殺して3ゴールを挙げた後半が好材料だ。
 
 暑さや中立地開催というスタジアムの雰囲気を警戒し、「しっかりと入りたい」(長谷部)と言っていた割には、前半立ち上がりの日本は浮き足立っていたように見えた。局面での競り合いで後手に回り、中盤での簡単なパスミスも散見されるなど、自ら試合の流れを難しくしていたのだ。
 
 とりわけ気になったのが、ビルドアップのつたなさ。最終ラインやボランチはボールロストを恐れたのか、前線の岡崎や香川がバイタルエリアのスペースでボールを引き出そうと動いても、タイミング良くくさびを入れることができなかった。
 
「シリアがあれだけ積極的にくるとは思ってなかった」(本田)と、相手がギアを上げてプレッシャーをかけてきたのは想定外だったとしても、それにアジャストできなかったのは対応力が不足していたと言わざるを得ないだろう。
 
 もっとも、拮抗した展開のなかで失点せずに、「前半は我慢の展開でしたけど、時間の経過とともにペースを掴めた」(槙野)のは評価すべき点だ。
 
 守備陣は「真ん中からロングボールを放り込んでくるのは分かっていた」(同)と2CBが空中戦を制して撥ね返し、中盤でのパスミスでカウンターを食らった際にも、素早くポジションを修正し、最後のところで身体を寄せてゴールを許さなかった。
 
 もちろん、「失点してもおかしくない場面もあったし、そこは修正しないといけない」(長友)が、日本がピンチを迎えたのは、主に自分たちのパスミスが要因。組織的な守備は機能しただけに、やはり相手が前線からのタイトなプレスを仕掛けてきた時のビルドアップが、修正すべき最大の課題として浮かび上がったと言えるかもしれない。
 
 対して、「相手が前半から前がかりに来たので、後半は運動量が落ちるのは分かっていた」(長友)という後半の出来は、見るべき部分があった。
 
 特に変化したのは攻撃面で、「後半は両サイドの原口と僕がなかに絞ることで、(パスを)当てる的を増やしました。蛍(山口)、僕、真司(香川)みたいな前半なかったような流れから、一気に真司が前を向いてという形で、効果的に相手を崩せました」(本田)と言うように、ポジショニングを修正して試合の流れを引き寄せたのだ。
 
 ボランチと2列目の距離感が良くなり、前半はまったくビルドアップに参加できなかった山口からの縦パスが増える。これで攻撃がスムーズになった日本は、2列目の香川や「もっと中に入れ」とハリルホジッチ監督の指示を受けた本田を起点に圧力をかけ、試合の主導権を完全に掌握。「先制点が自分たちに勢いを付けてくれました」(香川)という本田のPKでさらに勢いが増すと、相手が1点を返そうと前がかりになった隙を突き、効果的に2点を追加した。