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EF Education First(イー・エフ・エデュケーション・ファースト)は、1965年にスウェーデンで設立され、現在は世界50カ国503地域において留学や語学教育をはじめ、ビジネススクール、オンライン英語学習サービスを展開している世界最大級の私立教育機関だ。ビジネスシーンでの英語活用に意識が高まる昨今、「グローバル人材」はどのように育てていけばいいのだろうか? EF日本法人の代表である中村淳之介氏にお話をうかがった。

○日本企業の課題

――1973年から日本での事業展開を始めた御社ですが、日本企業の英語に対する意識の変遷はどのように感じていますか?

企業が「英語力」を本当に意識し始めたのは、ここ10年だと思います。私はいま40歳なのですが、就職活動の際に英語力を問われるようなことは、専門職でもない限りありませんでした。ところが、今は就活中の学生が当たり前のようにTOEICの勉強をしています。

英語力が必要だという意識は高まっている一方で、人事の方から、なかなか社員の英語力が伸びないという悩みをよく聞きます。おそらく、TOEICの平均点数だけを見れば相当上がっているでしょう。しかし、900点取っても英語を話せない人もいますし、600点でもコミュニケーションできる人もいます。本来は英語を使って業績を上げることが目的のはずですが、昇進するために何点以上必要など、高得点を取ることが主な目的になってしまっているように感じます。

○オンラインにはない、留学によって得られる経験

――企業においても、いわゆる「受験英語」になってしまっている現状で、英語力を伸ばすにはどのようなブレークスルーが必要なのでしょうか?

本当のゴールは、ビジネスシーンで英語を使って自分の言いたいことを伝えたり、現地の人と交渉できるコミュニケーションの力を養うことだと思います。

そのために、われわれは留学という「体験」を通じた英語学習を提供し続けています。海外に滞在することは、単に英語を学ぶだけでなく、現地での生活や外国人とのコミュニケーションなど、さまざまな経験が得られます。それが最終的にビジネスに活きると考えています。

――オンライン英会話が盛んになってきていますが、留学でしか得られない強みをもう少し具体的に教えていただけますか?

マンツーマンでのオンライン英会話は、英語力をスキルアップさせるという意味では素晴らしい学習法だと思います。しかし、留学で得られるものは英語だけではありません。

例えば、われわれが提供している語学学校のクラスには、さまざまな国籍の生徒が15人ほどいて、一つのトピックについてみんなでディスカッションする場面が多々あります。南米の人などは、とにかく自分の意見を言ってくる傾向にありますが、どのタイミングで自分の言うべきことを言うのか、人の話にどのように反応するか、そしてディスカッションの中で貢献するにはどうしたら良いのか、こうしたことは、実際のコミュニケーションの中で得られるものだと思います。そして、その能力は企業のミーティングにも求められるものでしょう。

――確かに、集団での意見調整は社会人に必要なスキルですね。

同じトピックでも、国によって感覚や考え方が全く違います。いろいろな国の文化やバックグラウンドを受け入れながらコミュニケーションを重ねる経験は、留学でないと得られないと思っています。

――「英語力」だけがグローバル人材に必要ではないということですね。

実は、私自身も社会人になるまで留学経験が無く、典型的な日本の英語教育で学んできました。30歳を過ぎてから海外に留学して、苦労も多かったのですが、少なくともその経験を通じて、英語を少しくらい間違っても、言うべきことは伝えられるという自信が得られました。

学校で習う英語は間違ったら点数が下がりますから、「間違っちゃいけない」という意識が強く残っているのでしょう。しかし、英語でのコミュニケーションは、言い回しが多少おかしくても、言うべきことを伝えることのほうが先決です。そういった意識の改革が必要だと思います。

○まずはコミュニケーションの楽しさを知ることから

――御社の今後の展開について教えてください。

ちょうど4年前に、EFグローバル全体で社会人向けのプログラムを立ち上げました。25歳以上しかいない社会人専門の語学学校をつくり、授業の中身もビジネスよりにカスタマイズしています。中国やイタリア、フランス、ベネズエラなど世界各国から英語を学びに来ている環境ですので、グローバルな人脈を手に入れるチャンスでもあります。

――多くの企業にとって、社員を数カ月間留学させる負担は軽いものではありません。どのような対応をされているのですか?

社会人向けの留学プログラムはフレキシブルな期間設定が可能で、1週間から用意しています。また、通常の語学留学だけでなく、現地企業を訪問してディスカッションする場を用意したり、インターンシップをする機会を設けるなど、現地でネットワークを構築できるようにもしています。

私は、日本がこれから成長していくには、特に若手が海外経験を持つことが必要だと考えています。言葉が話せないということで自分の可能性を狭めてしまうのはとても残念なことです。現地に滞在して言葉を交わすことは自信につながりますから、留学を通じて、世界で堂々と活躍する日本人が増えてほしいと願っています。

実際、1カ月留学をしても、そこまで英語力は上がらないと思います。ただ、まずはコミュニケーションすることに自信を持ってもらい、コミュニケーションの楽しさを知ってもらうことが重要です。

(瀬戸義章)