予想利回り5〜15%の「ソーシャルレンディング」 わずか数時間で「完売」になるケースも 元本保証ではないので、リスクをじっくり見極めて!

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貸し手と借り手を、ネットを使って最適なマッチングを実現するという「ソーシャルレンディング」。予想利回りは5〜15%と非常に高く、実績も出てきた。このネットが生んだ新しい金融商品はじわじわ拡大している。

 銀行にお金を預けても、付いてくる利息はすずめの涙。ならば、高い金利を得るにはどうしたらいいか。高い収益を上げる事業を探し出して、貸し出せばいい。探してみると、銀行が貸せず、高い金利でも借りたいという人は国内外にたくさんいる。

 ある夏の夜。皇居を望むオフィスビルにあるmaneo(東京都千代田区)の会議室にサラリーマンやOLら約10人が集まり、瀧本憲治社長が話すソーシャルレンディング投資のうまみやリスクの内容について、熱心に耳を傾けた。

 ソーシャルレンディングは、最近はやっているクラウドファンディングの一種だ。投資対象をローン(貸し付け)に特化している。maneoはそのソーシャルレンディングの日本における老舗であり、累計の運用総額が300億円を超える最大手。

 ソーシャルレンディングは一般的な金融商品ではないため、懇切丁寧な説明が重要。顧客の大半はインターネットでアクセスするが、リアルの対面方式の説明会も開催している。少人数でじっくり理解してもらう。

 では、どんな商品なのか。maneoでは、事業用の不動産担保ローンに投資する商品をホームページで販売しており、5〜8%程度の利回りが見込めるとしている。

 投資したい人はまず、maneoの会員になり、一定の資金を預託しておく。新しい案件が掲載されたら、投資金額を入力するだけで、投資にエントリーできる。こうして集まった資金が規定額に達すると、資金が欲しい会社に対して高い利回りで融資が実行される。個人投資家は資金をプールするファンドに対して投資をし、そこから企業に対して融資するという仕組みだ。当然、返済が滞れば、利息だけでなく、元本が毀損する可能性もある。

 投資対象である事業用の不動産担保ローンは、同社の現在の親会社であるUBI(東京都千代田区)が用意する。大阪を中心に不動産仲介を手掛けており、「もうかる」不動産に関する目利きの経験を生かして、比較的安全な借り手を探してくる。

 一方の投資家は、ネットで募集。会員は3万人を超えている。

 リスクはどの程度あるのか。償還済みの案件は多数あるものの、今のところ配当が滞ったり、元本が毀損したりする案件はないという。不動産担保融資については、不動産の時価に対して融資額を70%程度に抑えているほか、親会社がいれば融資を保証してもらっている。

 こうしたセーフティーネットによって、融資の回収が一部滞った案件はあったものの、投資家に対する金利、元本の支払いに支障があったことはない。

 個人投資家向けで利回り5〜8%という商品はまだ少なく、実績も積み上がってきた。人気が高まっているのも理解できるだろう。

 maneoは今後、ほかの業種にも広げ、多種多様な投資案件への投資機会を個人に提供していく考えだ。そのため、投融資の仕組みを他社にも開放していく方針である。

世界大手5社で
1兆円規模に達する

 世界全体のソーシャルレンディング市場は巨大だ。世界大手5社だけでも、1兆円規模に達する(2014年、Liberum調べ)。矢野経済研究所の調べによると、日本の市場規模は約156億円(14年)で、増加傾向にあるという。

 ソーシャルレンディングは、国内にいながら手軽に高利回り商品を手に入れられる。予想利回りは5−15%程度の商品が多くい、投資期間は1−5年程度。今のところ、破綻事例は少ないが、情報開示がやや少なめであり、リスクが分かりにくいのが難点といったところだ。

 金融のプロフェッショナルである外資系の大手金融出身者もこの機会に着目、ベンチャーを立ち上げている。米ゴールドマン・サックス出身者が創業したのが、不動産関連に資金を提供する、ロードスターキャピタル。運営するサービス「オーナーズブック」では、主に5%程度の利回りが見込める投資案件を提供する。

 通常の銀行融資だけでは足りない部分を補う「メザニン」と呼ばれる融資案件に投資。銀行ローンに比べると返済の優先順位は劣後するが、その分、高い金利を得られる。別の融資を引っ張ってくるまでのブリッジローンであることが多く、比較的安全性が高いようだ。

 森田泰弘副社長は、「個人投資家にもメザニン投資の機会を提供したいと考えています」と説明する。ただし、まだスタートしたばかりで、今後の拡大には投資家層の広がりが大切だ。そこで、オーナーズブックは投資家同士が情報交換できるソーシャルネットワーキングサービス(SNS)機能に重点を置いている。「相互に資産運用の相談をすることで、顧客も増えていくはずです」(森田副社長)と期待している。

提供する会社が
3カ月の業務停止命令

 今年7月、ソーシャルレンディング業界の一社、日本クラウド証券は証券取引等監視委員会の検査に基づき、関東財務局から、行政処分を受けた。3ヵ月程度の業務停止命令とシステムや経営管理体制、顧客資産の分別管理などについての業務改善命令が下された。

 新しい金融商品、そしてそれらを提供する会社にはさまざまな問題が起きがちだ。会社側にはそうした懸念を払拭する努力が求められる。

 一方、個人投資家の側も投資する際には、金融商品の内容と会社について深い理解を心掛けるようにしたい。maneoでは、新しい投資案件が発表されると、わずか数時間で「完売」になるのが通例だという。案件が不足気味ということもあり、個人投資家は金利が高ければ中身も見ないで飛び付く傾向が強いという。運営会社、個人投資家共に成長することが、市場成長のカギだろう。

 高い利回りには当然、リスクもつきものだ。リスクをよく理解したうえで投資するよう心掛けたい。