厳しいプレスを受けた前半はチャンスメイクに苦心も、相手の勢いが弱まった後半は随所に好プレーを披露した香川。的確なポジショニングや味方との息の合った連係で攻撃を牽引し、チームを勝利へと導いた。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

写真拡大

 勝利が求められる試合で、日本代表はキッチリと結果を残した。全体的に動きの重かった前半は不安もよぎったが、仕切り直しの後半に3ゴール。香川真司は、その2点目となる岡崎のゴールを鮮やかに演出した。

【PHOTOハイライト】シリア 0-3 日本
 
「あそこでかわした時点で、岡ちゃんが上手く(ゴール前に)入ってくれたのでね。あそこ(ニアサイド)は絶対に空きますし、入ってくれて良かったです」
 
 ペネルティエリアの左サイドでボールを受けた香川は、ドリブルで相手DFをかわして中央へ持ち込み、狙いすましたクロスをニアに走り込んだ岡崎に合わせた。果敢なドリブル突破と急所を突くパス――。切れ味抜群のそのプレーは、背番号10の好調さを強く印象付けた。
 
 好プレーを披露したのは、ゴールシーンだけではない。「相手がすごくハードワークしてプレスに来ていた」前半はパスの供給を得られなかったものの、「相手のプレスが弱まって中盤が空いてきた」後半は、ディフェンスのギャップに入り、最終ラインやボランチからパスを引き出して攻撃を牽引。「中央が硬かったので、上手くサイドの選手を使うことを意識していました」と、ウイングの本田や原口と連係を取りながら、効果的なアクセントを加え、チームにリズムをもたらした。
 
 自身のゴールがなかったことについては、「ゴール前で引き出して呼び込む動きだったり、そういうのを増やしていかなきゃいけない」と反省点はあるものの、一方で周囲を活かしてチームを勝利に導けたことに手応えも感じている。とりわけ、90分間を通してのゲームプランを完遂できたのが、香川にとっては前進だったようだ。
 
「前半は相手がホームなので1点を取りに来ていた。だから、本当に失点を避けて、焦らずに粘り強くやっていこうという感じでした。後半はプレスが弱まってボールを回せる雰囲気が立ち上がりからあったし、そういうなかで上手く岡ちゃん(岡崎)がPKを取って、その1点でさらに自分たちが勢いに乗れた。

 2点目も良い時間帯に入ったし、その後に相手にチャンスを作られましたけど、その流れを断ち切って3点目も取れた。しっかりと試合の流れを掴んで、また点を取りに行けたのは良かったですね」
 
 冷静に相手の状況を把握し、90分間を通したマネジメントを意識して勝利を引き寄せる。2次予選最大の山場というプレッシャーがかかるなか、強者の戦いを演じた日本代表は、ひとつステップを上がったと言っていいのかもしれない。
 
 その中心には、間違いなく自信と輝きを取り戻しつつある背番号10がいた。
 
取材・文:五十嵐創(サッカーダイジェストWeb編集部)