フィジカルの強いシリアを相手に身体を張り、PKをもぎ取った岡崎。その後のシリアの出方を変えさせた働きぶりからも、MVPに相応しい。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 今日のMVPは、間違いなく岡崎だ。前半から必死に汗をかいて、身体を張っていた。シリアは足もとのテクニックは低調だけど、フィジカルは強いチーム。そんな彼らを相手に一所懸命戦っていたのは評価できるし、なによりPKを奪ったのが大きかった。
 
 あのシーンでは、ファウルをもらいに行く岡崎の“したたかさ”も活きたと思う。逆に、シリアのDFが経験不足を露呈したとも言えるけどね。いらないファウルだったとも捉えられるだろう。
 
 本田がPKを決めてからは、日本がペースを掴んだ。香川は狭いエリアを抜け出して2点目をアシストしたし、本田は中央に入って細かい崩しに関わるなど、チーム全体として攻撃のリズムが良くなった。
 
 でも、それはシリアが前掛かりになって隙が生まれたからなんだ。シリアがしっかり構えていた前半は、香川も本田もほとんどなにもできなかったよね。27分に香川の素早いリスタートから本田にチャンスが訪れたけど、肝心のシュートは枠の外。それ以外では取り上げるべきシーンがなく、消えていたと言っても過言じゃない。
 
 前半のようにシンプルに縦パスを放り込まれたほうが日本にとっては怖かったし、実際に空中戦で競り負けてピンチを招いていた。相手の出方を変えさせた意味でも、岡崎の貢献度は高かったよ。
 
 途中交代の宇佐美が1ゴール決めたけど、これも日本が主導権を握っている良い時間帯に出られたからこそ生まれた得点だ。ゴール前にスペースがあったからこそチャンスが広がったし、細かい連係が効果的だった。宇佐美にとっては他にも決め切るべきシーンもあったはずだし、これで満足してはいけない。
 
 総じて、日本が良かったのは後半の45分間だけ。それも、失点して慌てた相手が隙を見せたおかげ。スコアは3-0で完勝に見えるけど、決して完璧じゃない。それは忘れちゃいけないし、課題は少なくなかったよ。
 
 例えば、相変わらずミドルシュートが少なかった。アフガニスタン戦で香川が決めたような距離からもっと打ってよかったよね。両サイドの守備にも問題があった。SBのセンタリングの精度も低かった。それらをしっかり見つめ直さないと、成長は望めないんじゃないかな。

【PHOTOハイライト】シリア 0-3 日本
 ハリルホジッチ監督の采配にも、少なからず不満が残る。監督は後半に少し修正を加えたらしいけど、具体的にどこを変えたのかな? 本田をもっと中央寄りでプレーさせるなど、目に見えて分かる変化が欲しかった。
 
 勝った試合の後で「なにかを変えた」と語るのは簡単だよね。経験豊富な指揮官なら、なおさらだ。僕には、ハリルホジッチ監督がなにを意図していたのかが見えてこなかった。選手に喝を入れて、気合でも入れたということだろうか? 前掛かったシリアの隙を突いただけなら、日本が戦い方を変えたとは言えないよ。
 
 とにかく、日本はこれでグループリーグの首位に立ったわけだけど、実力的には当然だろうね。他のグループを見ても、韓国やオーストラリアなど力のある国は順当に勝点を積み重ねている。問題は、彼らと当たる最終予選だ。
 
 そんな今後の行方を占う意味でも、13日のイラン戦には注目したい。言わずもがな、イランはアジアでトップレベルのチームだ。しかも、オマーンで行なわれたこの日のように中立地開催ではなく本当のアウェーマッチになる。親善試合とはいえ緊張感のある試合を期待できるかもしれないね。
 
 アウェーである程度強い国と戦う機会は、本当に貴重だ。だからこそ、新戦力を試すのも大事だけど、しっかり結果も求めて戦ってほしい。