勝利への強い意欲を見せる香川。クラブでの好調ぶりを代表でも発揮しつつあるなか、CFとの連動性をさらに高められれば、相手により脅威を与えられる存在となるはずだ。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 勝利が求められるシリア戦に向けて、チームの士気は高い。背番号10を背負う香川もモチベーションを上げているひとりで、「勝つことしか考えていない」と言葉に力を込める。
 
 グループE・1位であるシリアとの直接対決で、このトップ下に求められるタスクはことのほか大きい。人数を割いてゴール前を固めてくる相手守備陣を崩すために、狭いエリアで起点となる攻撃のスイッチ役を担うからだ。
 
 シリアはここまで予選3試合で無失点の3連勝。相手(シンガポール、アフガニスタン、カンボジア)との実力差があったとはいえ、真剣勝負を無失点で乗り切っている守備陣は、他の3チームよりも間違いなく手強い。
 
 そんな相手に香川は風穴を開けるべく、突破力に長けた両ウイングにタイミング良くボールを供給しつつ、CFのポストプレーをフォローし、コンビネーションで揺さぶりをかけなければならない。
 
 こうした中継点としての役割は、ここ数試合を振り返ると、そのパフォーマンスレベルは上がっているように映る。ブンデスリーガで2位につける(8節終了時)ドルトムントでのプレー同様、代表でもウイングや飛び出してくるボランチを上手く使いながら攻撃に厚みを付けていた。
 
 9月3日のカンボジア戦ではゴール前での簡単なシュートを外して批判を浴びたが、その5日後のアフガニスタン戦では気持ちを切り替え、2ゴールを挙げて勝利に貢献したあたりも、心技体の充実ぶりがうかがえる。
 
 かつては、所属クラブと代表でのパフォーマンスに乖離があった香川だが、最近はふたつのチームを行き来しながら、上手くチームコンセプトを表現できつつあると言ってもいい。代表でのウイングとのコンビネーションにも、少なからず手応えを感じているはずだ。
 
「前線のサイドのアタッカーは、スピードがあってドリブルできる選手が多いから、(彼らを)上手く活かして、自分もリズムに乗っていきたい。お互いを活かし合いながらやれれば、必ず良いイメージで相手を崩せると思っている」
 
 とはいえ、注文はもちろんある。代表でのフィット感が上がっているのは間違いないが、とりわけCFとの連係に関しては、まだまだ未完成だ。シンガポール、カンボジアとのゲームではバイタルエリアのスペースがなかったとはいえ、岡崎とのコンビネーションで崩すシーンがほとんど見られなかったのは、明らかな改善点だ。
 
 ハリルホジッチ監督が志向する縦に早いサッカーは、基準点になる前線の選手にキープ力や局面を打開する力が求められる。その肝となるのは、最前線で絶えずスペースを探すCFの動きと、それをフォローする2列目の連動だ。
 
 岡崎との間にホットラインを築けるか。2次予選の山場となるシリア戦では、トップ下とCFのコンビネーションにも注目すべきだろう。
 
取材・文:五十嵐創(サッカーダイジェストWeb編集部)