最終戦のオーストラリア戦に臨んだスタメン。初戦では硬さが目立った選手たちも、1次予選突破の懸かった試合では、堂々の戦いぶりを見せた。写真:安藤隆人

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 U-18年代の選手たちにとって、「経験値」というものがどれだけ重要なのかをU-18日本代表を率いる内山篤監督は、こう語って強調していた。
「相手というより自分との戦い。1次予選といえども、やっぱり選手は緊張すると思うし、試合では考えられないようなキックミスなどが起きて、あたふたしてしまう。それは場数の問題。この年代の選手たちは、場数が少ないのが大きな問題で、もっといろんな経験を積むために、海外に出て行かないといけない」
 
 日本は島国であるがゆえに、海外に出て日本とは気候、文化などまったく違う環境でサッカーをする機会が少ない。年代別代表は年に数回、海外遠征を行なっているが、内山監督はこう続ける。
「1、2回経験しただけで終わる選手もいる。それじゃダメ。3回、4回、5回とその選手が積み重ねていくことで、それが財産となり、成長にもつながる」
 
 多くの選手を代表に招集してまんべんなく経験させることも大事だが、そればかりではどうしても“広く浅く”になってしまう。
 
 これでは本当に厳しい本番の舞台で、しっかりと力を発揮できる選手が少なくなってしまう。ここに危機感を覚えた内山監督は、昨年12月に立ち上げた2017年U-20ワールドカップ(韓国)出場を目指すU-18日本代表では、ある程度軸となるメンバーを固定しながら、彼らに経験を積ませるというアプローチでチームビルディングを行なってきた。
 
 U-19アジア選手権予選(U-20ワールドカップ・アジア1次予選)は、内山ジャパンが世界への扉を開くための初陣となる大会。ここを1位突破し、来年のU-19アジア選手権(アジア最終予選)に出場を決めるのはもちろんのこと、経験値という面でも大きなプラスを得られる重要な機会となった。
 
 結果はラオス、フィリピン、オーストラリアに3連勝。堂々の1位通過を決めた。この結果はもちろん、内容を見ても、彼らは大きな財産を手にすることができた。
 
 初戦のラオス戦は現時点でのベストメンバーで臨み、第2戦のフィリピン戦はターンオーバーでメンバーを入れ替えて臨み、決戦となったオーストラリア戦では再びベストメンバーで臨んだ。
 
 内容もラオス戦は選手個々の過度な緊張がチーム全体に波及し、最後まで組織として噛み合わない苦しい試合展開となった。それでもエースストライカーに成長しつつあるFW小川航基が個人技でゴールをこじ開け、先発したMF久保田和音の怪我で緊急出場したFW高木彰人が、ゴールへの貪欲さを発揮して追加点を挙げ、2-0の勝利を収めた。
 
「頭では分かっていたし、周りにも伝えていたけど、いざ本番になると、自分も含めてみんな動けていなかった。それぞれが自分のプレー自体がうまくいかなくて、ボールも動かなくてイライラしていた。そういう時にこそ僕が引っ張って行かないといけないのに、まだまだだと痛感した」
 
 こう語ったのは、前回のミャンマーでのU-19アジア選手権を経験しているMF坂井大将。チームのなかでも経験値が高い彼ですら、平常心を失った。格下が相手とはいえ、本番の戦い、初戦の難しさを彼らは肌で感じ取ることができた。そして、そこで結果を出すことの重要性も、である。
 
 メンバー総入れ替えで臨んだフィリピン戦は、ほとんどの選手が初戦となったことで、やはり前半は組織として停滞した。グループで一番の格下チームだったがゆえに、最終的には6-0というスコアとなったが、ここでもアジアの難しさを経験した。
 
 そして、最終戦のオーストラリア戦。当初の予想通り、2勝同士で、かつ得失点差も同じ。負ければ1次予選敗退の危険性もある。「経験値を高める」という観点からすれば、「理想的な状況」でこの大一番を迎えることとなった。