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少しご無沙汰しております。大田区3Dプリンタメーカ スマイルリンクの大林万利子です。少し前の話になってしまいますが、当社は国内14番目のファブラボ「おおたFab」を9月20にオープンいたしました。場所は大田区蒲田(最寄駅は京浜急行梅屋敷)です。ファブラボとはデジタルからアナログまでの多様な工作機械を備えた、市民工房のネットワークで、米MIT(マサチューセッツ工科大学)から始まり、現在世界中におよそ400拠点、国内には15か所ある、世界的なネットワークです。

オープンにともない、40人以上の方をお迎えしてオープニングイベントを行い、おおたFabの紹介や、ゲストの方々からものづくりの事例紹介をして頂きました。今回は事例としてその一部を紹介いたします。

○Fability Scooterをつくるまで 倉本義介さん

倉本さんは交通事故で脊髄を損傷され身体が不自由です。ご自身用の電動車イス(愛称:Fability Scooter)を国内の各所のファブラボの協力を得て作っています。当日もご自分で車を運転してこられ、帰りもご自分で電動車イスを車内にしまわれました。

私が初めて倉本さんにお目にかかったのは今年台北で行われたファブラボのアジア地域のミーティングでした。5月の台湾は暑く私自身はかなり疲れて会場についたところ、電動車イスで颯爽と会場に登場された倉本さん姿がとても印象的でした。

お話しをうかがうと、市販されている車イスは高価な上、使いにくいので、自分用にカスタマイズした電動車イスを作り始めたそうです。

最初は図面を書いても実現する方法がなかなか見つからず苦労したそうですが、ファブラボとその仲間で作られているネットワークの協力を得ることによって、設計、製造が加速したそうです。

フレームは木材で、周りの補強やバンパーはステンレスパイプを曲げて作ってあります。パイプの曲げのコーナー部にある黒い物これが3Dプリンタの出力物です。ステンレスパイプは固く曲げが難しいので、3Dプリンタでジョイントを作ってみたところ、強度もあり実用に耐えるものが出来たそうです。

またメーター部も3Dプリンタで出力。ここはサイズが大きく、持っている3Dプリンタの出力サイズより大きかったため、左右と中央部と三分割して製作しきちんと組み立てられたそうです。

この様に3Dプリンタを利用することで、図面が出来れば、型を作る必要が無いので1個でも作ることが可能です。またこの車イスのようにカスタマイズする場合には、自分で部品を作らなくてはいけないところが出ます。そのような場合でも、3Dプリンタで出力すれば早く安く自分の考えている形を実現化することが可能になります。

○自助具の製作

時間の関係で当日お話しはありませんでしたが、倉本さんは箸の自助具も作られています。市販の福祉製品もあるのですが、倉本さんの手にはなじまないようです。そこで3Dモデリングソフトでカタチをつくり、3Dプリンタで出力。何度もトライアンドエラーをして、実際に食事をされたそうです。特許出願中です。

3Dプリンタをはじめとする様々なデジタル工作機が使いやすくなり、機械を提供してくれる場所といろいろな知識を持った仲間やコミュニティがあるという条件が揃えば個人でもものづくりができることを倉本さんの活動は実証していると思います。

他にも、Maker Faireにも出展された ロボットの会 のみなさんの「ついてくるキリン」やオリンパスさんのオープンプラットフォームカメラ OLYMPUS AIRの展示と説明もあり、みなさん予定時間を超過して話がつきない様子でした。

○3Dデータの製作

3Dプリンタでオリジナルなものを作ろうとすると3Dデータが必要ですが、このところ急速に無料ないし安い3DCADや3DCGソフトが普及し、作るための環境が整ってきました。3DCADはこれまではごく限られた技術者が使う特別なものでしたが、誰でも手に入れ使えるようになってきています。

"自分には難しい"と感じる方は、ぜひ使い方の講習会を受けてみてください。高くても2~3万円で受講できます。おおたFabでも定期的に実施していますので、よろしかったら受講してください。初めての方でも4時間程度の講義を受ければ基本的な機能を使いこなし、3Dの図面をかけるようになります。

○おおたFabについて

おおたFabは土日を中心にOPENしています。自社製の3Dプリンタだけでなく、大型のUP!BOXなども含め5種類の3Dプリンタを用意しています。無料説明会を随時行っておりますので、お気軽にご利用ください。無料オープンの時間もあります。詳しくはホームページでご確認ください。3D CADセミナーや会員のみなさんの製品発表なども行っていく予定です。ご期待ください。

(大林万利子)