ピコピコ音だけじゃない 動画で見る80年代コンピューターサウンドの歴史。ビープ音から矩形波、FM音源そしてPCMへ

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レトロガジェットをテーマに活動する「The 8bit-Guy」が、80年代コンピューターサウンドの仕組みを解説する動画を公開しました。ビープ音に始まり矩形波、FM音源、PCM音源に至るまでを9分弱で解説しています。
 

【ギャラリー】80's Computer Sound (12枚)


 動画ではまず、極初期のIBM-PCやApple IIなどに搭載されたビープ音の動作原理を説明します。当時のPCは音源などは搭載していなかったため、CPUが直接スピーカーに信号を送り、それが音として発せられていました。
  
しかし、CPU がスピーカーを直接制御するとそちらに処理を奪われ、リアルアイム性を必要とするゲームでは効果音などの発音中に処理が止まる問題がありました。

そこで現れたのがサウンドを専門に処理するIC。単音再生だったビープ音とは違い、複数の音を同時に発音できたため、簡単なアンサンブルが構成可能となりました。 
  
たとえば一般的な8ビットパソコンに搭載されていた PSG(Programable Sound Generator)なら矩形波x3およびノイズx1が発音可能でした。また1983年に任天堂から発売されたファミリーコンピュータは矩形波x2、三角波x1、ノイズx1、DPCMx1 を発音可能で、当時の家庭用ゲーム機としては他と一線を画す音を出していました。特にDPCMはSE以外にもドラム・パーカッション系によく使われました。

またコモドール64は矩形波/三角波/ノコギリ波/ノイズの4つの波形を3つのチャンネルで自由に発音できるSID(Sound Interface Device)音源を搭載、特徴的なサウンドを生み出していました。
  
なおこの SID 音源を開発した Robert "Bob" Yannes は、後にシンセサイザーメーカー Ensoniq を設立しています。

1987年になると、IBM-PC 向けに AdLib 社が FM 音源ボードを発売します。また1989年には Creative Labs が初代 SoundBlaster を発売。両者ともヤマハのFM音源チップ YM3812 を搭載していました。

このチップは9音同時発音で、1985年のアーケードゲーム『テラクレスタ』が搭載していたFM音源チップ(YM3526)と互換性を持つ音源でもあります。


80年代終盤から90年代にさしかかると、AmigaなどAV性能を強化したコンピューターが現れ始めます。そうしたコンピューターはサウンドもステレオ化し、PCM 音源を主役に据えるようになりました。Amigaのサウンドチップが奏でる音をいま聴くと PCM サンプリングされたオーケストラヒットなどを使った、80年代のポップミュージックそのままな音を出していることがよくわかります。

Amigaは当初日本語が扱えなかったため、日本国内で一般に普及することはありませんでした。しかし英語圏の国々ではその処理能力の高さからCGや映像製作など、クリエイティブな分野で支持され、またゲームマシンとしても人気を博しました。

Amiga 発祥のゲームタイトルとしては『ポピュラス』や『レミングス』が知られます。また日本の子供番組『ウゴウゴ・ルーガ』の背景 CG に Amiga が使われていたのも一定の年齢以上の人にとっては有名な話です。

90年代以降は原音を再生できる PCM 音源が主流となり、ゲームの BGM もスタジオでレコーディングされた音楽が使われるようになりました。CD-ROM を搭載したゲーム機では当初 CD-DA をそのまま BGM として流したりもしていましたが、現在は WAV / MP3 形式のファイルを再生する方式が主流となっています。



ちなみに動画で紹介された以外にも、日本では80年代後半にファミリーコンピュータ ディスクシステムが拡張用の波形メモリ音源を搭載していたり、またコナミが MSX パソコン向けにSCC(Sound Creative Chip)音源を開発、ゲームの ROM カートリッジに搭載して供給していました。SCC のサウンドは特にブラスのようなシャープな音を得意とし、一方で FM 音源が苦手としたベース音でも比較的太い音が出せました。また PC ゲームでは一時期 MIDI音源にBGM再生を最適化したものも多く発売されました。

下は MSX2 版『メタルギア2 ソリッドスネーク』における SCC 音源の使用例。