メガ・コントラクトが難しくなっている要因はほかにもある。
 「今オフのFA市場は先発投手のいい出物が例年以上に多く、買い手市場になることが予想されているんです。昨年のオフとは正反対なんです」(スポーツ専門局の記者)
 昨年のオフはFAになるエース級、準エース級の先発投手が2、3人しかいなかったため、マエケンは獲得可能な先発投手の2、3番手にランクされていた。ところが今オフはエース級、準エース級が何人もFA市場に出るので、マエケンは5、6番手に下がる可能性が高い。

 そうなると契約規模は3年5000万ドルから4年7000万ドルくらいが上限になるが、筆者はそれでいいと思う。
 松坂大輔やダルビッシュは1億ドルを超すメガ・コントラクトをゲットすることに成功したが、それが大きなプレッシャーになって1年目は不本意な成績に終わった。マエケンはその轍を踏むべきではない。分相応の契約は身を助けることになるだろう。

スポーツジャーナリスト・友成那智
ともなり・なち 今はなきPLAYBOY日本版のスポーツ担当として、日本で活躍する元大リーガーらと交流。アメリカ野球に造詣が深く、現在は各媒体に大リーグ関連の記事を寄稿。'04年から毎年執筆している「完全メジャーリーグ選手名鑑」(廣済堂出版)は日本人大リーガーにも愛読者が多い。