服装のセンスに自信がない筆者は、仕事の日はとりあえず「Yシャツ」。シンプルなYシャツに無地のパンツでも合わせておけば、場違いにはなることはない……はず。しかし、面倒くさがりの筆者にとって「シャツにアイロンをかける」のは重労働! 広い背面はともかく、ボタンの集まるフロント部分はかなりおっくう。そして、複雑な曲線がある袖に至っては、アイロンでむしろ目立つシワを作ってしまったことも一度や二度ではありません。

しかし、世の中には、筆者のようなアイロン無精が多いらしく、最近はハンガーにかけたまま衣類のシワをスチームで伸ばす「ガーメントスチーマー」が各社から発売されています。そして、今回使ってみたのはティファールから登場した「2in1 スチームアンドプレス DV8610J1」(以下、DV8610J1)。その名の通り、アイロンとガーメントスチーマーが一体化したアイロンです。

軽くて疲れない形状のアイロン

一般的なアイロンは本体の上にハンドルがありますが、本製品は本体からハンドルが長く伸びた、特殊な形のアイロンです。この形状のためか、最初にDV8610J1を手に持って驚いたのがその軽さ。一般的なスチームアイロンは本体重量1〜1.5kg位ですが、本製品は付属アタッチメントを装着した状態でも、835g。さらに、このハンドル形状のためか、手で持ち上げて動かしてもあまり疲れません。ハンガーに衣類をかけたまま、スチームでシワを伸ばすガーメントスチーマーとして使用するのに、この“疲れにくい”というのは非常に魅力的です。

最近の高価格帯スチームアイロンは「スチームを使用すれば、衣類をハンガーにかけたままでもアイロン可能」とうたっているものも多いのですが、アイロン本体が重いので、筆者は途中で疲れてアイロンを断念することもありました。その点、DV8610J1も“手放しで軽い”とはいえないのですが、4〜5枚の服ならば疲れずにアイロン掛けができる程度の軽さです。

また、名前に「2in1」とあるように、ガーメントスチーマーだけでなく、一般的なプレス式アイロンとしても利用可能。スチームで伸びない頑固なシワを、アイロン台でギュッと力をかけて伸ばすこともできます。

長く伸びたハンドル形状が特徴的な「2in1 スチームアンドプレス DV8610J1」。本体サイズは95(幅)×388(奥行)×127(高さ)mm。重量は835gと一般的なアイロンより軽量

水を入れるタンクは取り外しが可能で、シンクでも注水や排水ができて便利。水タンクの注水容量は最大50mlまで

ゴミや毛なども取れる、ブラシ付きのアタッチメントも付属

ゴミや毛なども取れる、ブラシ付きのアタッチメントも付属

一般的なアイロンと並べたところ。アイロンのかけ面はかなり小さ目なので、広い生地は何度も往復する必要がありそう

Yシャツのアイロン掛けは普段の半分以下の時間で完了!

DV8610J1は、ハンドル裏のトリガーを引くとスチームが噴射されるのですが、スチームは継続的に生成するわけではありません。アイロンの霧吹きを利用する感覚で、“しゅっ”と強い蒸気が噴射されたらトリガーを緩め、もう一度トリガーを引くという動作を繰り返します。

Yシャツなどの薄手の生地の場合は、衣類を片手で伸ばしつつ、シワの強い場所にシュッとスチームを吹き付け、蒸気を広げるようにアイロンを動かします。シワを手で伸ばしたり、布面を平たく成形したりといった手間が不要なので、非常に手軽! 今までプレスアイロンでは1枚に8分ほどかかっていましたが、DV8610J1ならば2分ほどで終了します。しかも、不器用な人にありがちな“シワの上からアイロンをかけて、シワが酷くなる”という失敗もありません。

ただし「手で引っ張ってスチームを当てる」という特性上、襟や袖先などの布先をスチームするには、少々手間取りました。また、非常に手軽とはいえ、頑固なシワなどは、プレス式のアイロンと比較すると少々力不足。ノリをパリパリに効かせた綿Yシャツが好きな人には、あまり向いていないかもしれません。

温度が上がるまでは、ハンドルのオレンジ色のLEDが光る。このLEDが消灯したら使用可能。最高温度に設定したところ、満水状態で1分で使用可能に

ちょっと本体を手放したい場合は、かけ面下部にあるスタンド金具を引き出す。これで、熱い部分が床などに触れることなく置くことができます

アイロンを当てたい衣類を片手で引っ張りながら、スチームを当てます。襟や裾などは手で持てる部分が少ないので、少々難しいかも

左が洗濯後の綿のYシャツ。右がDV8610J1でスチームアイロンをかけたところ。2分ほどで、手間もかからずにシワがなくなりました

スチームだけでなく、普通のプレスアイロンとしても利用できます

スチームだけでなく、普通のプレスアイロンとしても利用できます

スチーム(左)とプレスアイロン(右)の仕上がりを比較。正直、襟や袖口などは、プレスアイロンのほうが簡単でキレイに仕上がりました

シワになりやすい“フワッとオシャレ着”に効果絶大

一方、非常に効果的で便利に感じたのが、シルクや薄手のテロンとした化繊の洋服。ツヤのあるシルクや化繊の服はオシャレですがシワになりやすいのが問題。しかも、オシャレ着だけに、シワシワのまま出かけるわけにもいきません。

そんなときにDV8610J1を使用すると、驚くほど素早くシワが取れます。しかも、綿のYシャツでは取れにくかった頑固なシワも、シルクやポリエステルならほとんどプレスアイロンと同じ程度にとれるのです。また、シルクやポリエステルは熱に弱いものですが、スチームアイロンなら熱面を直接布地に当てないようにすれば、布の劣化を防ぐことも可能でしょう。

一番便利に感じたのは、複雑な形状でも簡単にアイロンがかけられること。オシャレ着にはフリルなどの複雑な装飾があるものも多いのですが、スチームならばいちいちフリルを伸ばしてプレスするといった手間がありません。筆者は、特にフレア状のボトムスの“ドレープ”を美しくアイロンするのが苦手なのですが、DV8610J1ならば裾を引っ張りながら上から下に本体を移動させるだけで、面倒なボトムスも3分程度でシワをとることができました。

見るからにアイロンが面倒そうなフリルのブラウスも、2分程度でアイロン完了。写真のようなポリエステルのブラウスは、特にシワが落ちやすかったですね

フレア状でドレープの多いレイヤーデザインのキュロットは、アイロンをかけるのが非常に難しい! でも、DV8610J1なら3分ほどで完了

ただし、リボン部分は生地が厚いためか、3分の間にシワを完全に取りきることができませんでした(左)。気になる場合は、後でプレスアイロンをかけるといいかもしれません(右)

アタッチメントで普段はアイロンできない衣類もキレイにフワッ

DV8610J1のもうひとつのメリットが、アタッチメントが付属していることです。アタッチメントの先には固めのブラシ、根元には毛やホコリをとる起毛生地が配置されています。固めのブラシは長さが約1cmあり、アタッチメントを装着すると、アイロン面からブラシ先まで約2cmほど隙間ができます。このため、直接アイロン面が触れると傷むような、繊細な生地をアイロンする場合に便利です。

アタッチメントは、本体のかけ面前方からスライドさせて装着。ナイロン製の固めのブラシとホコリを吸着する起毛生地で、シワを伸ばしながら衣類のゴミを取ってくれます

ブラシが固めなので、服の表面についたホコリや毛などを落としてくれるのも特長。特に便利なのがニットのアイロン。ブラシがシワを伸ばしてくれるので、ニット表面を軽くブラシ掛けするだけでシワが取れるほか、ニットについた毛やホコリも簡単に取り去ってくれます。また、ニットは“着るたびに洗濯”というわけにはいきませんが、高温の蒸気で、ちょっとしたニオイまで取れるのも便利でした。

カシミヤやウールのコートなども、表面が起毛しているので本来はアイロンがかけられません。しかし、アタッチメントを使用したDV8610J1ならば、表面の起毛を潰すことなくアイロンをかけられます。また、外出先から帰って使用すれば、外でついたニオイはもちろん、汚れや花粉なども落とすことが可能です。

ちなみに、アタッチメントを使用して、一番便利に感じたのが毛皮部分です。最近はコートも自宅で洗えるようになりましたが、さすがに毛皮を洗うのは勇気がいります。そのため、我が家ではフードの装飾に使用されている毛皮部分は、年に一度のクリーニングでしか洗いません。しかし、よく使用するコートだと一か月ほどで毛皮がペタッとした質感に……。これも、アタッチメントをつけたDV8610J1でブラッシングすれば、あっという間にふわふわの毛質に戻ります。なかなか洗えない部分なので、スチームで除菌されていそうなのもうれしい点です。

カシミヤの薄手のニットは、わざとシワシワにしたうえに、愛犬にかぶせて抜け毛まみれにしてみました。アタッチメントでスチームを当てたところ、シワも抜け毛もササッと取れました! カシミヤは高温に弱いため、かけ面が直接衣類にあたらないアタッチメントを使えば安心

今回特に気に入ったのがファーの処理。夏の間クローゼットにしまい込んでしんなりとしていたファーが(左)、アタッチメントでブラッシングするようにスチームをかけたらフワフワに(右)!

まとめ

とにかく手軽にシワが取れ、今までのプレスアイロンの苦労が嘘のよう。もちろん、プレスアイロンと比較するとシワを伸ばす性能は劣りますが、この手軽さには変えられません。筆者は朝に“今日はあの服を着よう!”と思っていても、いざ服を出すとシワがあって別の服に変えることがよくありました。忙しい朝に、わざわざアイロン台を出し、シワを1つひとつ伸ばしながらアイロンをかける時間がないからです。でも、DV8610J1ならばアイロン台を出す必要もなく、Yシャツならば半分以下の時間でアイロンできるので、バタバタの朝でもササッと使用できます。


>> 検証! ハンガーにかけたままシワが伸ばせるティファールの2in1アイロン の元記事はこちら