■オフィシャル誌編集長のミラン便り2015〜2016(7)

 現実とは思いたくないほど、本当にひどい試合――それが0−4で敗れたナポリ戦を振り返っての私の正直な気持ちだ。

 ここをホームとするインテルは別として、サン・シーロでこれほどの点差で勝利したセリエAのチームなど未だかつて存在しなかった。それに加えてミランは、これまでナポリ相手にこれほどの大差で負けたこともなかった。つまりこの試合でミランは、とてもネガティブな記録を打ち立ててしまったわけである。

 実際ミランにとっては悪夢のような一夜だった。前半15分にはすでに1点ビハインドしていたが、それでも前半はそれほどナポリに苦しめられていたという感じはしなかった。

 それが一転、ミランに暗雲が垂れこめ出したのは後半2分。ナポリの看板選手の一人、ロレンツォ・インシーニェが2点目のゴールを決めた時からだった。この後半すぐの追加点で、ミランの選手たちからは試合をひっくり返してやろうという意気込みがすっかり失せてしまった。そして試合終了後にはミラニスタからの非常に激しい抗議が、選手のみならずチーム幹部や監督に向けて降り注いだ。

 この試合後、セリエAはまた代表戦のための小休止に入ったが、ここまでの7試合のミランの結果はひどいものだ。順位は11位で3勝4敗。そしてなによりセリエAの中で2番目に失点が多い。つまり最低に近いDFということだ。

 毎週このコラムを読んでくれている読者の方にはわかると思うが、この試合で本田圭佑がレギュラーに復帰するという私の予想は残念ながら外れてしまった。ミハイロビッチは彼を2試合連続してベンチに温存したままだった。本田自身の落胆もかなり大きかったようで、それが試合後のかなり激しいコメントにつながったのだろう(試合後、日本のメディアに語ったもので、現時点で発言内容はイタリア国内には伝わっていない)。

 この後、代表戦でプレーするにも気持ちの切り替えが必要になりそうだ。どうかそこで新たな英気を養い、また闘志をもってミラネッロにも戻ってきてもらいたいものだ。

 さて今回の敗戦を受けて、巷では早々にミハイロビッチ解任の噂もちらほら出ているようだが、その可能性はまずないだろう。財政的にもミランはいまだセードルフとインザーギの給料を払っている。これにミハイロビッチが加わったら大変だ。ただ試合後、彼はこう言っている。

「この不振の責任は全員にある。もちろん筆頭は私だが、あとは等しく全員が負うべきだ。これから先何が起こるかはわからないが、とにかく我々はこのまま仕事を続けていく。ただそれだけだ。あとはすべてチーム幹部が決めるだろう」

 現役時代ミハイロビッチは闘志溢れる選手で、それは監督になっても変わらない。10人以上のレギュラー選手が代表戦で不在でも、次の試合に向けてのミラネッロでの練習はとてもハードなものとなるだろう。休み明けの試合はアウェーでのトリノ戦。今節こそ昇格したばかりのカルピに負けたが、今シーズンすばらしい活躍を見せ現在5位につけているチームである。ミランにとっては厳しいテストとなるだろう。

 現在ミハイロビッチが進めている一番重要なアプローチは、先シーズンからの負の遺産として、いまだチーム内にはびこっている後ろ向きのメンタリティーを選手の頭から払拭することだ。今のミランはこれまでとは違う。レベルの高い選手も多くいる。自信を持っていいはずだ。少なくとも0−4で一方的に叩かれるようなチームでは決してない。

 とにかく今私が言えることはただ一つ――Forza Milan!

ステーファノ・メレガリ(『Forza Milan!』編集長)●文 text by Stefano Melegari
利根川 晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko