読売新聞公式HP「読売新聞へようこそ」より

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 新国立競技場計画の破綻にエンブレムのパクリ疑惑と、失態続きの東京五輪をめぐって、ようやく責任追及の動きが本格化し始めた。

 先月末には下村文科相の引責辞任が決まり、10月2日には電通出身の槙英俊マーケティング局長と企画財務局クリエイティブディレクターの高崎卓馬氏が更迭される事態へと発展した。

 しかし、当初、これらの問題を追及していたのはいずれもネットや雑誌が中心で、新聞・テレビの姿勢は鈍かった。新国立競技場にしてもエンブレムについても、記事にはしていたが、厳しく追及するような姿勢はほとんどなかったといっていい。

 その後、騒動が大きくなってから、ようやく大きく報道を始めたが、いまも組織委の森喜朗会長など"責任の本丸"については踏み込む姿勢を見せていない。いったいこの及び腰はなんなのか。

 実は、大手新聞各社にはJOCのオフィシャルパートナー、つまり東京五輪のスポンサーになる計画があるのだという。

 その動きは東京五輪開催が決定した直後から始まっていた。

「最初は、読売新聞社に持ち込まれたようです。読売は2004年のアテネ五輪でもJOCのオフィシャルパートナーとして名を連ねており、JOCとは関係が深い。新国立競技場についても、安倍、ナベツネのトップ会談で一時、読売が大会後に使用するという計画ももちあがっていたくらいですから」(広告代理店関係者)

 しかし、東京五輪のオフィシャルパートナーの契約金額は少なく見積もっても50億円。読売単独で出すにはあまりに巨額すぎる。そこで浮上したのが、日本新聞協会がスポンサーになるという案だったという。

 現在新聞協会の会長は読売新聞本社代表取締役社長の白石興二郎が務めている。新聞協会がスポンサーになれば、会長を擁する読売にとっては、少ない経済的負担で影響力を行使できると判断したのだろう。

 しかし、新聞協会には全国、スポーツ、ブロック新聞に加え通信社、放送局など計130社が加盟しており、メディアの意思統一、利害関係の調整が難航したそうだ。そのため、大手新聞社が足並みをそろえる形で協賛する方向に動き始めたのだという。

「読売を筆頭に朝日新聞、毎日新聞、日経新聞、産経新聞の大手5社が各15億円を協賛金という形で契約する方向で進められているようです」

「週刊新潮」(9月17日号)では、電通が新聞社向けに作成したスポンサー契約資料の存在が記されている。

「それによると、契約はA、B-1、B-2、Cの4ランクに分けられ、全国紙は最上位のAコースを契約する見込み。ちなみにB-1の協賛金は1社あたり5億円。こちらはブロック紙が契約するとみられる」

 しかし、メディア各社が東京五輪のスポンサーになって、これから先、五輪不祥事をきちんと報道できるのだろうか。

 たとえば、この間、五輪スポンサー問題をリードしてきた読売の五輪不祥事報道はどうだったか。

 新国立競技場問題に関しては、既に2013年8月頃から日本建築界の重鎮である槇文彦氏が工費高騰の懸念を表明し、11月には建築家ら約100人が計画縮小を求める要望書を文科省と都に提出。日本建築士会連合会など建築5団体も11月、「機能の精査と規模の適正化が必要」と訴えているのだが、しかし読売は槇氏による新国立計画見直しの声明は報じたものの、それ以降の関連記事はベタ記事扱いで報じただけ。また五輪関連の社説にしてもその論調はJOCサイドに立ったとしか思えないものだった。

「主な競技施設は、未来への遺産となる。スポーツ施設として、長く使える機能性は大切にせねばならない。入札手続きの不手際などで遅れている新国立競技場の建設を急ぐ必要がある」(14年10月10日社説「東京五輪半世紀 あの感動を2020年にも」)
「五輪会場として機能性に優れた競技場を建設せねばならない。五輪後にレガシー(遺産)として活用する視点も大切だ」(15年5月29日社説「五輪専任相 新国立競技場への不信を拭え」)

 まるでJOCや組織委員会を応援しているかのような記事しか掲載していないのだ。

 もしメディア各社とJOCのスポンサー契約が正式に締結されれば、この読売の姿勢がすべての大手新聞・系列テレビに広がることになる。JOCや組織員会の問題や不祥事は姿を消し、代わって五輪に関するヨイショ記事が氾濫、パブリシティ報道が大々的に展開されることになるのだ。

 "五輪大本営報道"が日本を席巻する。そんな恐ろしい事態が近づいている。
(伊勢崎馨)