桐谷美玲の変顔で大ヒット『ヒロイン失格』はトンデモ映画!?
<寄稿/少女漫画コンシェルジュ・和久井香菜子>

 大人気少女漫画を映像化した『ヒロイン失格』を見に行ってきました。桐谷美玲、坂口健太郎、山崎賢人と、人気絶頂のタレントたちを集めたことでも話題になっています。

◆冷静に見ればトンデモな点がたくさん

 冷静に見ればトンデモ映画でした。

 まず季節感がおかしい。
夏休みのデートシーンなのに、はとりも弘光くんも長袖を着ています。その後夏祭りに行って浴衣で登場したあと、翌日始業式では全員冬服を着ています。ロケの季節が肌寒かったのか、「長袖のほうが女子高生的にお洒落」という感覚なのか、謎です。

 ラストでみんなでスキー旅行に行きます。原作にもありましたね。ところが泊まっている部屋がすごい。入り口からベッドルームまでの間に一部屋あるようなスイートルームです。この人たち、どんなお金持ち高校生ですか。

 原作も同じなので仕方がないんですが、弘光くんははとりをつけ回していて、ワープしてきたかのごとくはとりの行く先々で登場します。中盤、なぜ傘も差さずに雨に濡れてびしょ濡れで登場するんでしょうか。

 季節を無視した服装といい経済観念といい、現実感がまるでなくてフワフワしたところはまさにアイドル映画って感じです。

◆でも桐谷美玲のかわいさで帳消しに

 ただ全体的には、大変楽しめました。とにかく、桐谷美玲がかわいいです。あの愛らしくも美しい顔で、原作同様に変顔をしたり坊主頭になったりと、体当たりで演技しています。

 コメディは少しでも恥じらいや躊躇があると見ていて不快になるものですが、彼女は遠慮なく堂々と演じきっていました。これがものすごく好感度が高かったです。

⇒【YouTube】『ヒロイン失格』コミックコラボPV http://youtube.be/8ebyrObQVFA

 『ヒロイン失格』の主人公のはとりは、よく泣いて怒って笑って勘違いする、うざくてアホウな女の子です。映画では原作にはない表現も多いのですが、とっちらかった感じを、画面上のコメントや3Dで上手に表現していました。こういうところは細かく笑えます。

 原作には、マンガやアニメのパロディがたくさん出てきます。これらを映画ではどう処理するのか興味がありました。もしかしたら全部カットかな?とも思っていたんです。

 しかしそれぞれ、うまくドラマ『ごくせん』(日テレ)や「熱湯風呂」(日テレ)といったテレビネタやタレントに変換していました(製作が日テレですからね)。

 マンガやアニメよりもテレビになじんでいる人なら、映画の方が面白いでしょう。

 はとりが読んでいる漫画が『ストロボ・エッジ』から『アオハライド』に変わっているのは、少女漫画ファンなら「なるほど」と思う変更です(どちらも同じ作者で『アオハライド』のほうが新作)。

 弘光くんによるはとりへの連続壁ドンも見ものでした。まず壁ドン、逃げるはとりにまた壁ドン、逃げる壁ドンと、壁ドン連チャン大フィーバーです。

◆ティーンズだらけで客席も甘酸っぱい

 映画館は、夕方の回に行ったせいもあると思いますが、高校生〜大学生でほぼ満員。原作ファンが詰めかけたんだなと思わせる客層です。安達が利太とはとりの仲を邪魔するシーンでは、「こいつ、まじうぜえ」とつぶやく人も。

 女子高生はもちろん、男子高生も団体で見に来ていて、学校で話題になっている作品らしいことがうかがえました。

 終演後、「映画中に話しかけるとか、ないから!」と友達に怒っている子も。なるほど、普段映画を見ない子でも、こういう取っつきやすい作品なら足を運びますよね。映画館のマナーや映画の楽しさを知るきっかけになるのかもしれません。

 そういえば私も高校生の頃は、今考えれば失笑もののジャニーズのアイドル映画で充分満足したものです。この作品は全体に原作と同じセリフがちりばめてあって、とても好感が持てました。前半はテンポも良く笑いが絶えません。

 もしかしたら原作を知っているほうが楽しめる映画かも。

※『ヒロイン失格』全国公開中
http://wwws.warnerbros.co.jp/heroine-shikkaku/

<TEXT/和久井香菜子>

【和久井香菜子(わくい・かなこ)】
ライター・イラストレーター、少女漫画コンシェルジュ。『少女マンガで読み解く 乙女心のツボ』(カンゼン)が好評発売中。ネットゲーム『養殖中華屋さん』の企画をはじめ、語学テキストやテニス雑誌、ビジネス本まで幅広いジャンルで書き散らす。街で見かけたおかしな英文から英語を学ぶ「Henglish」主宰。