レスター・シティの岡崎慎司は、10月3日に行なわれたノリッジ戦でも2トップの一角として先発した。第8節で7試合目となる先発で、クラウディオ・ラニエリ監督から信頼を寄せられていることが改めて浮き彫りとなったといえる。

 そんな指揮官の期待に応えるように、岡崎は序盤から精力的に動いた。特に目立っていたのは、積極的な仕掛けの動き――。最前線に陣取ってパスを引き出そうとしたり、DFラインの裏のスペースに走ってみたりと、危険な匂いを漂わせていた。岡崎は語る。

「もちろん、守備では今まで同様、今日も味方を助けることができたと思う。攻撃でもシュートまでいくことが何回かあったので、そこはすごくポジティブにとらえています。ペナルティースポットに入ったら、1回か2回は(ゴールに向かって)勝負していきたいなと前の試合(第7節・アーセナル戦)で感じていたので、そこを今日は出そうと思っていた」

 開始7分にはクロスボールに合わせてヘディングシュートを放ち、前半ロスタイムにも2トップでコンビを組むジェイミー・バーディーのスルーパスからシュートを打った。とりわけ、良い流れからゴール前に飛び込んだのは後者のシーン。角度のない位置からのシュートは枠をとらえきれず、「シュートまでいきたかったので、焦って打ってしまった。もうちょっと前を向いてチャレンジしてもよかったかな」と唇を噛んだ。

 だが、ゴールを奪おうとする姿勢は、初得点を記録したウェストハム戦(第2節)以降では最も強く出ていた。極端に球離れの悪いリヤド・マフレズがベンチスタートになったことも重なり、岡崎にパスが入る回数は多かった。前半だけでシュートの数は3。シーズン開幕直後に比べれば、前線での「やりやすさ」は増してきている。

 それでも、完璧な連係を奏でているとは言い難(がた)い。MFダニー・ドリンクウォーターのボール奪取に合わせてDFラインの背後に飛び出しても、パスが出てこない。あるいは、ペナルティーエリア内で身体を切り返してフリーになっても、クロスが思うところに入らない。シュートチャンスの裏には、そんなシーンが何度もあった。それは、岡崎も課題だと指摘する。

「フリーで前を向かせてもらえる形があまりなかった。それは自分が見つけないといけないところだけど、本当に自分がいい動きができて、あとはドリンキー(ダニー・ドリンクウォーター)が斜めにパスを入れてくれるだけで抜け出せるという場面が、何回もあったんです。そこを要求するのが、なかなか難しい。まあ、要求はしているんですけど、(動き出しを)見るかどうかというのは、また別の問題なので。やり続けるしかないかな」

 周囲に生かされて輝きが増すタイプの岡崎は、精密な連係を構築できるかどうかが成否のカギを握ってくる。開幕から約2ヶ月が経過した今、手応えこそ掴んでいるが、まだまだ完成形には達していない。それが連係面における「現在地」である。

 そして、パスを受けた後の「勝負の局面」で、いかに怖さを示せるか――。ここも、ゴールを奪う上で外せないポイントになる。

「トラップとかヘディングでシュートを打ってつなげれば、もっと自分にチャンスが巡ってくると思う。本当に、もうちょっとのところ。それを決めれば、自分の価値も高まってくると思う」

「守備で貢献しながらゴールを目指すFW像」を模索している岡崎だが、やはり気になるのは、「第8節を終えて1ゴール」という数字である。この試合でも、岡崎のボール奪取から速攻につなげ、イギリス公共放送BBCから「クラシックカウンター!」と褒められたチームの2点目のように、守備での貢献は誰もが認めるところだろう。

「1年間やってみてってという感じ。今は1試合1試合で一喜一憂しないというか、シーズンを通して何ができたかを見てみたい。今年は続けることがテーマ」と本人に焦りはないが、FWというポジションである以上、どうしても得点やアシストも評価の対象になってくる。実際、ノリッジ戦でPKを成功させたバーディーは今季7ゴールで得点ランクのトップ。この日はベンチスタートだったものの、リヤド・マフレズも現在5ゴールを記録してリーグ3位タイにつけている。

 だが、岡崎はこれまでのプレーに「仕掛け」のエッセンスを加えていくことで、自分に「流れ」がくると信じている。

「チームで点を獲る選手がいっぱいいるなかで、そこに割って入っていくのはなかなか難しい。彼らの調子がいいから、パスも入るし。ただ絶対、自分に流れはくる。バーディーやリヤド(・マフレズ)が点を獲れなくなってくる時期はくると思うし、そうなった時に自分がゴールを奪えないと、チームとしてもクオリティが落ちてしまう。そうならないように、今は我慢しながら(やるべきことをやる)。

 自分としてはゴールをどこで獲るのかを見つけ出してきているので、そこをもっとチャレンジしていきたいですね。マインツの時もそうだったけど、(ゴールを)決めるまで時間がかかって、(いったん)決めると決め出すというのが自分のスタイルなので。FWというのは、そういうところがあると思う」

 この試合でも得点はなかったが、ゴールまでの距離は縮まってきている。岡崎は、確かな感触を掴んでいるのだ。

 現在4勝1敗3分と、チームは白星先行。「バーディーと岡崎による前線からのプレッシングはチームにとって重要」とラニエリ監督が高く評価し、岡崎を継続して先発起用していることも、日本代表FWにとって追い風だろう。

「我慢」のその先に、歓喜の時は待っている。

田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke