ドルトムントがバイエルンに大敗した。

 バイエルンの独走を誰がどう止めるか。それはいつだってブンデスリーガの話題のひとつだが、今季はとりわけ大きなテーマとなっている。

 現在バイエルンは3連覇中。4連覇となればブンデスリーガ史上初の快挙となる。開幕前のスーパーカップでバイエルンを下し、最大のライバルと見られたヴォルフスブルクはすでに2敗。やはりチャンピオンズリーグ出場組のボルシアMGは開幕5連敗を喫し、監督交代まで行なった。そこで期待を集めたのがドルトムントだ。

 昨季は早々にドルトムントが転んだことで、バイエルンの独走を許した。12〜13、13〜14シーズンは、バイエルンが優勝したもののドルトムントは食らいついた。その前2シーズンはドルトムントに軍配が上がっている。さらにさかのぼると09〜10はバイエルン、08〜09は長谷部誠のいたヴォルフスブルクが優勝している。バイエルンの優勝がせめて1シーズンおきくらいでなければ、ブンデスリーガ自体への興味が醒めてしまうのだ。

 ヨーロッパリーグ(EL)3次予選を含めて開幕11連勝と好調な滑り出しを見せたドルトムントに期待がかかるのは当然のことだった。だがドルトムントはリーグ戦では5連勝ののち2引き分け。このバイエルン戦を見越して、香川真司、オーバメヤン、ギュンドアン、フンメルス、ソクラティスという5人の先発組を残して臨んだ3日前のEL、PAOK戦でも引き分けた。3戦連続引き分けでミュンヘンに乗込むのは不安が残った。

 果たして結果は5対1の完敗。気が早いようではあるが、今季のリーグ戦の行方が見えたような気さえした。

 この試合、ベストメンバーで臨んだバイエルンに対し、ドルトムントのトゥへル監督にとってはいくらか見込み違いがあった。

 太ももに問題があるというシュメルツァーとスボティッチを欠くことになった最終ラインの変更は大きく、右からソクラティス、ベンダー、フンメルス、ピシュチェクという並び。ピシュチェクは本来右でプレーし、ベンダーもボランチを得意とする選手。ソクラティスも今季はCBでプレーしており、初めての組み合わせだった。

 さらには中盤にカストロを起用し、オーバメヤンとミキタリアンの2トップはワイドに開き、香川は中央でプレーした。ホフマンとロイスはベンチスタート。主力5人をこの試合に向けて休ませたはずが、万全のメンバーを組むことはできなかった。

 メンバーだけでなく、戦い方にも問題があった。2トップを開き気味にしたことから相手CBへのプレッシャーがうまくかからない。26分、バイエルンはボアテングのロングボールにミュラーが抜け出し先制点を決めた。香川が言う。

「ボアテングと(ボランチの)シャビ・アロンソをフリーにさせるな、と言われていた中で、あそこを上手く使われた。CBのハビ・マルティネスが真ん中に入ってボアテングが右に入った時は、うまくミキ(ミキタリアン)がプレスにいけたりしていたが、ボアテングが真ん中に入った時に誰がいくのか。俺もシャビ・アロンソについていましたし、プレスのいきどころが難しかった。(ボアテングには)持たせるしかなかったので、そこを一発狙われてああいう失点になった」

 プレスはかからないが、最終ラインは高く守っている。そこをロングボールで狙われた。ドルトムントは前半のうちに1点を返して2−1にしたものの、後半開始30秒でまたもロングボールから失点。これでゲームは壊れた。香川は53分、早々に交代。入ったロイス、ヤヌザイも決定的な仕事ができないまま失点を重ね、結果は5−1に終わった。

 昨季のドルトムントは、最下位付近を漂うような不調でも、アウェーでのバイエルン戦では「これまでで一番攻撃的に戦えた」と香川が強気な発言をするほど、僅差の戦いを見せることができた。前回の対戦はドイツ杯準決勝。もつれた末のPK戦ではバイエルンを4人連続失敗に追い込む戦いもできた。そう考えると、最近の中ではスコアだけでなく内容でも力の差をまざまざと感じさせられる敗戦となった。

「個人としてもチームとしても認めるしかない。完敗」

 香川はすがすがしいほどはっきり言い切った。勝ち点差は7に広がったが、ドルトムントはまだ2位である。首位奪還を目指してもう一度チームを立て直すことが、バイエルン4連覇阻止への道であるのは間違いない。

了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko