9月29日に楽天グループの取締役会が開かれ、東北楽天ゴールデンイーグルスの来季体制についても承認された。次期監督として招聘するのは、近鉄、日本ハムで指揮を執った梨田昌孝氏(62)である。
 立浪和義氏、与田剛氏などの名前も報じられたが、経験豊富な年長者に白羽の矢が立てられたのは「優勝戦線に復帰したい」との思いが強かったからだろう。
 「前監督の星野仙一氏が球団副会長に就任したことで(7日)で、星野氏と親しい間柄にある球界OBから来季の監督が選ばれるのではないかとの見方が強まっていました。立浪、与田両氏といった中日OBの名前が出たのはそのためです」(ベテラン記者)

 地元ファンが望む監督は、チームOBの山崎武司氏(46)だ。山崎氏は2011年に戦力外通告と同時にコーチ入閣を打診されたが、「まだ燃え尽きていない」とし、退団を表明。その後、古巣中日で2季奮闘して引退したが、東北のファンは「いつか帰って来てくれる」と強い期待を寄せてきた。
 「山崎氏は新規参入した05年以降、チームのためにとフロント幹部にも意見するなどし、強い存在感を示してきました。当時から現場、フロントともに信頼の厚い選手だったため、大久保監督が就任する昨年オフも、山崎待望論が出ていました」(チーム関係者)

 その山崎氏の招聘が今回も見送られた背景に、星野副会長との確執が噂されている。山崎氏は中日時代、星野体制で本塁打王のタイトルを獲得したが、円満な関係ではなかったという。
 「99年に中日が優勝したとき、終盤戦で山崎はスタメンを外されました。汚名返上の一発を放ったとき、『オレを使っていれば』と星野監督に吠え、その後も歴代コーチ、監督と衝突を繰り返しています。その点については、山崎氏も若気の至りだったと反省しています」(前出記者)

 山崎氏に戦力外の通告をしたのも当時の楽天の監督を務めていた星野副会長だった。星野副会長が意図的に山崎氏を監督候補から外したかどうかは分からない。しかし、今回の梨田氏招聘は星野副会長が仕掛けた人事ではなさそうだ。
 「立花球団社長や一部フロントが調査し、梨田氏の名前があがってきた。今回の梨田監督就任は星野副会長に人事権がなかったということを証明したようなもの」(同)

 楽天は三木谷オーナーの現場関与が発覚し、各方面から非難を受けた。星野氏が球団副会長に就任し、チームの再建を託されたはずなのだが、人事決定権はフロント幹部による合議制という、従来のスタイルから変わることはなかった。
 「三木谷オーナーへの非難を交わすため、星野副会長を担ぎ出しただけでは」(前出・同)

 今後、星野副会長は補強面で辣腕を振るうとされているが、中日、阪神時代のように札束で好選手を買うようなやり方は楽天では許されない。ならばいっそ、“仇敵”の山崎武司氏とスクラムを組み、ファンの支持という後ろ楯を得た方が自身の存在感も示すことができたのではないだろうか。
 梨田新監督も人間関係の複雑さに苦労させられそうだ。