提供:週刊実話

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 維新の党からの離脱と新党結成を宣言したばかりの橋下徹大阪市長が、反安保学生団体『SEALDs』の動向に神経を尖らせている。加えて、自民党も同団体について徹底調査を開始。そんなピリピリ感漂う政界裏事情を追った。

 そもそも、『SEALDs』とは何者なのか。
 全国紙記者が解説する。
 「『自由と民主主義のための学生緊急行動』(Students Emergency Action for Liberal Democracys)の頭文字を取って『SEALDs』。明治学院大学4年生の奥田愛基氏が中心となり、一昨年、国会で通過した特定秘密保護法勉強会仲間の学生らが安保法制法案反対のため今年5月に結成され、日本全国で300人前後の無党派層学生の団体と言われる。ツイッターなどSNSとラップ調での訴えを駆使し、無党派層に呼びかけるのが特徴」

 そんな素人無党派学生集団に、日本の政治を牽引する橋下氏や自民党はなぜ敏感になっているのか。
 「8月初め、自民党の武藤貴也衆院議員(無所属)が『SEALDs』のデモに対しツイッターで『戦争に行きたくない人たちがデモをしている。自分中心で極端な利己的考え』と書き込んだ際、橋下市長は武藤議員を批判していましたが、当時は気にはなるものの五月蠅程度と思っていた。その空気が一変したのは、『SEALDs』主催のデモに1万5000人や3万人、10万人という数字が踊り、共産党の志位委員長、民主党の岡田代表が国会前デモに駆け付けた頃からです」(橋下氏周辺関係者)
 橋下氏は表向き『SEALDs』を直接批判しないまでも、彼らのデモを「日本の有権者は1億人。国会前のデモはそのうちの何パーセント? こんな人数のデモで国家の意思が決定されるなら、サザン(オールスターズ)のコンサートで意思決定する方がよほど民主主義だ」と揶揄し始めた。

 その後、橋下氏らの神経をさらに尖らせる出来事が起きる。
 「テレビは面白がって盛んに奥田氏らを引っ張り出し、それを追いかけるように新聞や夕刊紙も取り上げ始めた。そんな矢先、9月15日に民主党が安保法案を審議する参院特別委員会の中央公聴会の公述人として、法律家や学者らに加えて奥田氏を呼んだことから、俄然注目を浴び始めたのです」(同)

 公聴会に出席した奥田氏は、国会議員らに「寝ている議員は起きてください」とガツンと最初にカツを入れた上で、「国会前で10万人、全国では130万人もの人が路上に出て反対の声を上げている」、「その状況を作ったのは『SEALDs』ではなく、与党の人たちの国会での理解しがたい答弁に国民が不安を感じているからだ」、「だから、ある金沢の主婦の方がフェイスブックに書いた国会答弁の文字おこしは、瞬く間に1万人もの人にシェアされた」といった旨の発言をし、最後はこう締めくくった。
 「困難な時代にこそ希望があることを信じて、私は自由で民主的な社会を望み、この安全保障関連法案に反対します」

 学生とは思えない堂々とした発言。民主党の蓮舫氏などは「今日の奥田君の公述は胸に響きました」とツイートしたほどだ。
 「この模様の一部は、テレビやユーチューブで瞬く間に日本全国、世界に発信された。もちろん批判もあったが、それを上回る賛同と感動したという声が続々と寄せられました。さらに奥田氏ら『SEALDs』メンバー3人が外国特派員協会でも会見し法案反対宣言。こちらも世界に発信され、“Okuda”の名は知れ渡ったのです。この状況に橋下氏などは、それまでの政治的ヤジ馬程度と見ていた『SEALDs』が、とてつもなく大きな影響を持つ政治集団に変質する可能性を感じ始め、綿密な調査を始めたといいます」(全国紙政治部記者)