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東京医科歯科大学はこのほど、同大学難治疾患研究所生体情報薬理学分野の古川哲史教授らの研究グループが、国立循環器病研究センターや理化学研究所などとの共同研究によって、運動中の突然死に関連する新たな遺伝子をつきとめたことを明らかにした。

マラソンなどの運動中において、約1万人に1人の頻度で突然死が発生しており、その原因としては肥大型心筋症などの遺伝性疾患の関与が知られている。心臓に一見異常がない人でも、運動時の突然死は同程度の頻度で見られるが、その原因はほとんど分かっていないという。

心臓には、静脈から血液を受け取る心房と動脈に血液を送り出す心室があるが、そのメカニズムは異なっている。心房は下方に位置する心室に血液を送るため、電気信号が上から下に伝わるが、心室は上方にある大動脈・肺動脈に血液を送り出すため、下から上に伝わる。

この電気信号伝達の逆転を可能にしているのが、心室に特異的に存在する細胞集団・His-Purkinje系だ。多くの臨床データが、致死的な不整脈の発生にHis-Purkinje系が関与することを示唆しているが、その機序はほとんど分かっていなかった。

そこで、致死的不整脈とHis-Purkinje系の関係を明らかにするため、His-Purkinje系に選択的に発現する遺伝子・IRX3と不整脈の関連性を検討。その結果、IRX3の遺伝子異常がマウス・ヒトの両方において、一見正常な心臓でみられる致死的不整脈に関与することおよび、致死的不整脈は運動などの交感神経の緊張が高まったストレス下で生じることが明らかになったという。

研究チームはこの結果を受け、「今回、平常時は健常な心臓で運動・ストレスに関連して起こる致死的不整脈に関与する遺伝子としてIRX3を世界で初めて明らかにした」点を強調。さらに「本研究成果は、健常人における運動中の突然死の原因解明に貢献し、このような事態の発生に関する予測・予防法の開発が期待できるものであると考えられます」とコメントしている。

なお、同研究成果は、国際科学誌の「European Heart Journal」(欧州心臓病学会誌)のオンライン版において、10月2日午前2時30分(英国時間)に発表されている。