お帰りなさい、おめでとう!心も身体もフル充填で帰ってきた浅田真央さんは「最高の浅田真央」へ向けて準備OKの巻。
お帰りなさい、おめでとう!

ずっと見つづけていると忘れがちになるような感じ。いつまでも「真央ちゃん」だとばかり思っていた相手が、あぁこんなにも偉大なアスリートだったんだと改めて気付かされたような気がします。再び競技の舞台に戻ってきた浅田真央は、ハーフ・ハーフで過ごした長い時間を経て、心も身体もフル・フルで戻ってきていました。自己最高に挑む十分な態勢で。

「五輪でまた最高の演技を見せたい」

その一言だけで、十分。この復帰に懸ける覚悟のすべてが凝縮されています。五輪に臨むというのは、自分にも勝ち、他人にも勝つ厳しい勝負に臨むということ。気持ちのいい演技、好みの演技をするだけならショーの舞台で新たな挑戦をする手もあります。けれど、そうではなく五輪を見据えるということは、気持ちよさだけでは済まない「勝負」に臨み「勝ちたい」と思えばこそ。

自分を高めるトレーニングの日々は、かつてもしてきたようにこれからの3年をかけて……ある意味では3年を捨てて、スケートに人生を捧げていくことになります。環境は一年分変化し、ライバルも一年分成長しました。世界一に三度なったという実績も、新たな勝負の舞台で得点になるわけではない。逆に、大きな実績があることが、それと比較しての落胆を生むかもしれない。簡単ではない。

ソチ五輪のフリー。正直まだ、あの演技を超える日が来るとは想像できません。あれは人生の集大成だった。浅田真央物語のクライマックスだった。その後の世界選手権での金というエンドロールも加えて、物語は美しく幕を下ろした。だから、燃え尽きたというか、休養しなければ次の道を決められないほど、心も体もハーフ・ハーフになったのでしょう。復帰は喜ばしいことだけれど、簡単に「復帰して!」と言えずにいたのも、復帰即ちアレへの挑戦となることが目に見えていたから。

もう一度五輪に臨むなら、アレを超えなければ意味がないし、やる以上は超えてほしい。順位でも、得点でも、人生でも、すべてで上回らないとあの日は超えられないかもしれない。金メダルを獲ることよりも難しいんじゃないかと個人的には思います。金メダルはほかの選手が全員コケれば獲れるけれど、それではあのフリーは超えられないと思うので。

しかし、それでもやるのだと、浅田真央が言う。

勝負の辛さも喜びも知っている人が言う。

その覚悟、期待したくなります。

世界のみなさま、浅田真央さんの復帰、おめでとうございます。

ということで、国民的いや世界的祝賀ムードに包まれた、3日のテレビ東京中継による「木下グループカップフィギュアスケートジャパンオープン」をチェックしていきましょう。

◆ミキが復帰するって言った場合も、これぐらいお祝いしてあげてよね!

日本・欧州・北米の3地域から男女シングルの選手をより集めて対抗戦を行なう。地域性とかを考えると、勝ち負け自体はそこまで大事でないかもしれません。しかし、そんな細かいことは吹き飛ぶような熱気がさいたまスーパーアリーナを埋め尽くしている。集った豪華選手、新シーズンへのワクワク感、そして浅田真央復帰。ちょっとした世界選手権並みの盛り上がりです。

まず登場したのは男子シングルの一巡目。チーム欧州からは日本でも人気のブライアン・ジュベールさん、チーム北米からはこちらもおなじみのジェレミー・アボットさん。お客さんのハートをガッチリつかむ人選です。プロでありつつアマチュアの試合にも臨むジュベール、今まさにハーフ・ハーフの境地にあるアボット。得点としてはもうひとつのところもありますが、この大会の幕開けにはふさわしい両者の演技です。

そしてチームジャパンのトップを飾るのは村上大介さん。今季はXJAPANのYOSHIKIさんの曲を演じるということで、僕はてっきり「X」でXジャンプ(タノジャンプ扱い)をやるものだと思っていましたが、しっとりとした曲での演技。中盤のジャンプではミスもつづきますが、得意の4回転サルコウは2本しっかり決めるなど、得意技をしっかり見せてチームジャパン悪くない滑り出しです。

↓YOSHIKIも絶対にXジャンプを待ってると思うね!

Nice hanging out! @diceskates at my studio in #LA. #Anniversary #WeAreX

Yoshikiさん(@yoshikiofficial)が投稿した写真 -



「X!感じてみろ!」(ここでトリプルアクセル)
「X!叫んでみろ!」(ここでトリプルフリップ)
「X!心燃やせ〜!」(ここで3ルッツ-1ループ-3サルコウのコンボ)

ウケると思うで!

客も一緒に跳んだりするかも!

男子2巡目、ハビエル・アンドウ・フェルナンデス、パトリック・チャンという世界王者2人に、日本の宇野昌磨クンが臨むという顔合わせ。フェルナンデス、チャンともにまだここから上げていく段階という演技だったのに対して、10月からヒートアップしていたのは宇野昌磨クン。4回転2本、しかも1本は演技後半。TES99.48点というのは今年2月の世界選手権でいえば1位になってしまうハイスコア。もちろん昨季は昨季、今季は今季なのでそのまま比較できるものではないわけですが、「世界で勝つ」準備をしてきたのだというのが十二分に伝わる演技。

↓客が早く立ちたくてウズウズしてる!本人もビックリの高得点!


「フェルナンデス、チャン、ハニュウ、待ってろ!」
「平昌で勝つのは僕だ!」
「あと、パディントンうるさい!」
「パディントンの人、やめてくれませんか!」
「ほっぺたグニューなるわ!」

本人は言いにくいと思うから、代わりに言っといたぞ!

特にパディントンの方、ご遠慮くださいwwww

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そして迎えた女子の演技。「浅田真央包囲網」とテレビが煽る6分間練習は、むしろレジェンドの復帰を喜ぶパーティーのよう。自然とレジェンドが中央の位置に立ち、自然と若者が遠巻きに位置どる。五輪王者、世界王者が集った中でも、際立つ浅田真央の存在感は紫の衣装のせいもあったでしょうか。今季のフリー「蝶々夫人」をイメージした和装風の衣装は、アンダーの布地をあてず胸元がそのまま露わになっています。僕も個人的にはお姉さんの胸元をガッツリ見てきた1年だったのですが、こうした大胆さにも真央の新境地を感じます。

1巡目はチーム北米からアシュリー・ワグナーさん、チーム欧州からアデリナ・ソトニコワさん、そしてチームジャパンから宮原知子さん。自身も休養からの復帰となるソトニコワは、抜けるジャンプなどもあるものの、ダイナミックな身体の動きで繰り出すスピンやステップ、手先足先までピンと伸ばした姿勢の美しさ、バレエでも見るかのような動きや表情での感情表現など、金を獲った五輪よりも一層大人びた演技。手強いライバルの復帰、それぞれに喜びいっぱいの復帰戦となったのではないでしょうか。

↓ソトニコワすごい大人っぽくなったなぁと思ったら、試合後はそうでもなかった!

😱😍 thank you Japan!🎌🎌🎌😱😍🙈😊 #japanopen2015 #sotnikova #present 😊❤️

Adelina Sotnikovaさん(@adelinasotnikova_2014)が投稿した写真 -



殺伐とするSNSの中に舞い降りた天使のようだな!

ロシア最高!

さぁ、いよいと浅田真央復活の演技を控える女子2巡目。まず登場したチーム北米のグレイシー・ゴールドはチーム全体に漂う「まだ開幕前です」感に乗ってきたか、得点は伸びず。ダブルアクセルでの思い切った転倒もあり、キス&クライも軽いお通夜の雰囲気に。気を取り直してシーズンに向かってもらいたいところ。

そして登場した浅田真央。演技冒頭、自身の誇りでもあるトリプルアクセルを見事に決めると、復帰戦では不安も覚えるジャンプを次々に成功させていきます。トリプルフリップ、トリプルルッツ、トリプルトゥループ、トリプルサルコウ、そしてトリプルループ。組み込まれた6種トリプルはルッツに「!」こそつくもののすべて認定されます。

ステップやスピンも復帰戦からレベル4を取ることに成功し、1年の休養の影響を感じさせません。「劇的」と言うほどのルール変更はなかったとは言え、「2014年に戻す」だけでは済まない微調整はある中で、しっかりと取ったレベル4。本人の頑張りだけでなく、コーチや振り付けも「浅田真央」を再び試合に送り込む以上、勝たねばならないということをしっかりと意識してやってきたのだなというのが伝わってきます。

得点も自己ベストに限りなく近い141.70点。とりあえず2014年の世界選手権に戻すという話ではあったものの、それを超えて、その一歩先、しっかりと今季の勝ち負けを狙う態勢で浅田真央は帰ってきました。ただの休養ではなく、心と身体にパワーを充填して、より大きくなって帰ってきたと言って問題なさそうです。さすが浅田真央。「国民的」いや「世界的」はこうでなくちゃですね。

↓金メダリスト・ソトニコワもキュンキュンしながらハグしにいく、世界的アスリートの復帰!



誰だよ、世界選手権まで戻すって言ったの!

もう超えてるんじゃないのか!

今すぐにでも世界一狙えるで!

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その後に登場したトゥクタミシェワはさぞやりにくかっただろうという会場の空気。そのせいかトリプルアクセルの共演は見られませんでしたが、まぁこれだけの真央復帰おめでとうムードでは仕方ないでしょう。そんなこんなで、チームジャパンはもちろん圧勝ということになりました。まぁ、もう結果はどうでもいいですかね。それ以上にめでたいことがあったので。

思え返せば、浅田真央は秀でているがゆえに、ずっと孤独な戦いがつづいてきたような気がします。誰も跳ばないトリプルアクセルにいたっては「やらないほうがいい」なんて声さえありました。勝つために計算をすれば、やらないほうが得だったかもしれないけれど、その賢さと本人の目指す高みが一致していないという不幸があった。

しかし、最年長となった今、あとから追いかけてきた選手たちが、ごく自然に浅田真央が切り拓いた氷原の上に立っている。挑みかかるように、乗り越えるように。今が一番幸せな時期かもしれません。自分の持てるすべてに挑戦することが当たり前で、そうしなければ勝ち負けを論じることもできないのですから。滑る喜びを再確認した浅田真央の新たなの挑戦、期待せずにはいられません。ソチ五輪のフリーを超える、「最高の浅田真央」見られるといいですね。

やっぱり、真央ちゃんがいないより、真央ちゃんがいるほうが、楽しいね!