クラブでは3バックの一角でプレーも、代表では右SBとして考えられている。ハリルホジッチ監督も「テクニックのクオリティはすでに良いものを持っていて、パワーも十分ある」と期待を寄せる。 写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

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 本田圭佑や香川真司ら「常連」が顔を揃える今遠征のハリルジャパンにおいて、柏木陽介、南野拓実とともに“新顔”として期待されるのが塩谷司だ。
 
 今年1月のアジアカップ以来、約9か月ぶりの代表復帰。先の東アジアカップは右足首の故障で招集が見送られており、「自分のクオリティを見せる良いチャンス」(ハリルホジッチ監督)をようやく手にした。メンバー発表会見で指揮官から「時間をかけて追跡している、非常に興味深い選手。右SBとして競争してほしい」と名指しで言及されたこともあって、代表合流前最後の試合となったFC東京戦後の本人の口からも強い意気込みが聞かれた。
 
「久しぶりに選ばれて光栄。広島を代表して行くわけなので、ただ単に行くだけじゃなく、練習からアピールして、しっかり試合で活躍したい」
 
 自身初のワールドカップ予選にも、一切の不安はないという。その背景にあるのがアジアカップでの経験。出場機会を得られず、仲間たちが戦う様をベンチで眺め続けたなかでも、アジアの戦いを肌で感じられたことが“自然体”の礎になっているのだ。
 
「アジアカップでは試合には出られず、悔しい想いもした。でも、ああいう雰囲気を間近で味わえたのは自分にとっては財産。余裕があるわけではないけど、自分の中では今までしっかり積み重ねてきたものがあるので、特に緊張や不安はない」
 
 塩谷をDFとして大成させた恩師のひとりである柱谷哲二は水戸の監督在任時、「ワールドカップ予選のピリピリした雰囲気を体験するのとしないとでは全然違う。そして、ぜひロシア(ワールドカップ)に行ってもらいたい。それを果たしてこそ“本当の代表”だと思うし、個の能力はまだまだ上がる」とエールを送っている。それゆえ、塩谷にとっても今回の代表活動はやはり特別だ。
 
「もちろん意識するところはある。哲さん(柱谷)もそう言っていたし、いろんな人の話を聞くと、違う雰囲気だと言われるので。特に今回はアウェーで、なかなか経験できることじゃない。その中で自分の良さを出して、しっかりと印象に残るプレーをしたい」
 
 振り返れば、塩谷が最後に日本代表としてピッチに立ったのは、昨年10月のブラジル戦(●0-4)――ブラジルの至宝・ネイマールとマッチアップして、世界とのレベルの差を突き付けられた試合だ。いわば、彼の代表における時計の針はそこで止まったままの状態であり、ワールドカップ・アジア2次予選のシリア戦、あるは親善試合のイラン戦は絶好の再スタートの場となる。「最初で最後のチャンス」(塩谷)という3年後のロシア・ワールドカップに出るために――。無限の成長曲線を描いてきた男は、今度は我々にどんな進化を見せてくれるのだろうか。
 
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)