[AFC U-19選手権予選]「FWらしいFW」吉平がオーストラリア戦先発奪取へ価値ある2発

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[10.4 AFC U-19選手権予選 U-18フィリピン代表 0-6 U-18日本代表 ビエンチャン]

 まさに憤怒。10月2日、AFC U-19選手権予選におけるラオスとの開幕戦を終えて、ロッカールームからバスへと移動する道で、U-18日本代表FW吉平翼(大分U-18)の浮かべていた表情は、怒りとしか形容できないものだった。

「力不足です。自分の力不足への、怒りです」

 この試合のスターティングリストに吉平の名前はなかった。「代表に呼ばれてからはほとんど先発で使ってもらっていた」(吉平)だけに、小さからぬショックもあった。直前合宿の練習試合でも小川航基とコンビを組んで磐田戦に先発していたのは吉平だった。だが、いざ本番という段になって内山篤監督が選んだのは別の選手で、しかも「先発でない試合も点が欲しいようなときに、途中出場で使ってもらっていた」のだが、この日は最後まで声が掛からなかった。交代枠は一つ余っており、明らかに攻めあぐねているにもかかわらず。

 なんで使ってくれないんだという思いと裏腹に、その理由が極めてシンプルなものであることも理解している。「使ってもらったときに、俺が結果を出せていなかったから」。だから、「今日(フィリピン戦)は結果を残すことだけを考えていた。可能性は低いかもしれないけれど、オーストラリアとの試合(第3戦)でスタメンを獲るために」。

 最初のチャンスは前半26分。浦田樹(千葉)の左CKだった。「チームではいつもあそこ(ニアサイド)に入っていくのだけれど、代表ではそういう約束事があるわけではない。ただ、『あれ、なんか空いてるな』と。スペースがあったから、行ってみた。樹もスペースに蹴るタイプなので」。読みも動き出すタイミングも、まさにドンピシャ。巧みに頭で合わせたシュートはチームの2点目となった。

 もっとも、そのあとの時間帯は苦しんだ。狂おしいまでに熱い思いは、「ちょっと空回りしていた」と本人も認めるように、精度や機能性を損なう部分があったのは否めない。力みすぎたシュートが枠を外れることもあった。ただ、シュートをいくら外そうと、あるいは決めてからも、どん欲にただゴールを求め続ける姿勢にブレはない。内山監督が「FWらしいFW」と形容するメンタリティーが、吉平にはある。そしてゴールチャンスは、やはりそういう姿勢のある選手のところにこぼれ落ちてくる。

 後半43分、MF堂安律(G大阪ユース)のシュートがDFに当たって、裏へとこぼれる。相手GKよりも、周りのDFよりも素早く反応し、少しでも早く触ろうとした足は「当たり損ねだった」と苦笑交じりに振り返る泥くさいシュートになり、自身の2点目、そしてチームの6点目となった。結果的にこのゴールがなければオーストラリアに得失点差で劣るところだったのだから、価値ある追加点である。

 次の相手はオーストラリア。「自分が誰に負けているとも思っていない」と心の炎を燃やすストライカーは、「明後日に向けて良い準備をして、あとは(出番を)待つだけ」とチャンスを狙う。その目は、ただゴールだけを見据えている。

(取材・文 川端暁彦)