チャイナショックで僕が4000万円負けた理由
中国経済悪化の煽りを受け、爆死寸前のサラリーマン投資家がいる。豪ドルを高値で掴み、2度のロスカットに見舞われたのだ。見事なまでのしくじりぶりを紹介しよう。

◆投資界の「しくじり先生」が特別講義

「ロスカットが近くなると、パソコンからピーンピーンって音が鳴るんです。今でも頭にこびりついて離れない。抵抗むなしく先日ロスカットされ、一日で2625万円が飛びました……」

 つらい投資経験を語るのは、サラリーマントレーダーの沖本聡さん(仮名・50歳)。

 8月24日、アメリカ・NY市場の株価が一日に1000ドル下がるチャイナショックが起きたことは記憶に新しいが、沖本さんはその“被害者”の一人だ。

 大学在学中から投資活動を開始し、投資歴は実に30年。ベテランと言っても過言ではない沖本さんが大穴を開けたのが、FXだった。

「保険や投信、ヘッジファンドに映画の出資案件など、手堅いものから怪しいものまでたくさん試してきました。そんな僕がFXを投資の主流として取り組んだのは3年ほど前のこと。’12年は330万円、’13年は370万円、’14年は1800万円のプラス収支となり、絶好調のはずでした。それが今回のチャイナショックで一転して4000万円を溶かしてしまった。10日間は食欲がわかず、ずっとふさぎこんでいました。こんな経験ですが、お話しすることで誰かの役に少しでも立てれば……と思ったんです」

 いわば、FX界のしくじり先生。沖本さんはどこで、何を間違えたのか――本人の証言を交えながら、紹介したい。

◆「金利で生活する」夢を追いかけ続けた30年

 ’80年代のバブル期、沖本さんが投資に目覚めたこの頃は、郵便局の定額預金は利息が8%ももらえる時代だった。この原体験が忘れられず、「金利で生活する」という夢を抱くようになる。

 投資デビューは、大学在学中。アルバイトで貯めた87万円を元手に、一時払い養老保険や証券会社のゴールド預金に投資した。結果は大成功で、大学を卒業する頃には500万円以上貯まっていた。

「ただ、その後がまずかった。マンション投資で失敗、和牛商法でも失敗。『北朝鮮から引き揚げてきた人たちの映画に出資しないか?』なんて話にも乗っかってしまい、500万円を持ち逃げされたこともありました。社会人になって節約生活を送り、給与も大半を投資に回していたのですが、最初の数年で2000万円ほどのマイナスです。ここで『投資はダメだ、株をやろう』と思い立ったところ、ITバブルにうまく乗ることができ、1000万円以上勝った。まぁ、その後のITバブル崩壊で結局はなくなりましたが……」

 浮き沈みの激しい投資家生活だったが、相続で2000万円が転がり込んだこともあって、タネ銭だけはどうにか尽きずに済んできた。そんな沖本さんがFXを本格的に始めたのは3年前のことだ。

「周りもFXで勝ってる頃で、取り組むことにしたんです」

 そもそも、「金利で暮らす」という価値観を刷り込まれてきた沖本さんがFXをやれば、スワップの高い通貨を選ぶのは必然だった。好んでトレードしていたのは豪ドル、そしてトルコリラだ。

◆102円の高値掴み一発で市場退場間近の事態に……

「豪ドルは200枚も持っていれば、一日で1万2000円のスワップポイントが付きます。これが月30日なら36万円、十分暮らせていけるだけの稼ぎになる。トルコリラだって、90枚も持てば一日7200円のスワップが付くわけで、非常に魅力的でした」

 豪ドルの値動きが中国経済と密接に関わっている点もやりやすかった。相場が大きく動く指標発表の前に買って後で売る、なんて取引をスキャルピングで繰り返しつつ、上昇局面ではロングしてスワップで手堅く稼ぐ。最初の3年で2500万円ほど勝っていた。