もはや動画はヨコ型だけじゃない!マーケター注目の「タテ型動画」最新動向まとめ

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YouTube動画に代表される横長の動画をスマートフォンで視聴すると、とても小さく表示されてしまい、見づらいと感じたことはないでしょうか? スマートフォンを横に傾ければ全画面表示されますが、そのひと手間が必要な横長の動画はモバイルデバイスに最適なフォーマットとは言えませんでした。

そこで今、注目されているのが、画面を傾けなくても全画面表示で視聴できる”タテ型動画”です。

アメリカで人気の各種アプリがタテ型動画を採用

アメリカでは、スマートフォン用のチャットアプリSnapchatや、ライブ動画配信アプリのPeriscopeやMeerkatが10〜20代の若年層を中心に人気を集めています。
この3つのアプリに共通しているのが、リアルタイムでの動画共有とタテ型の動画フォーマットです。

タテ型動画は、スマートフォンを横に傾ける動作を省略できるため、撮影しやすい上に動画再生時はより大きな画面で表示することが可能です。これらの新たなアプリの人気が高まると同時に、スマートフォンでの動画視聴に最適なタテ型動画の普及も一気に加速しました。

なかでもSnapchatは、アメリカにおける10代のユーザー数がFacebook、Instagramに続き、Twitterよりも多いと言われており、1日に共有される写真とタテ型動画の数は7億に達しています。Snapchatの動画広告では、従来の横長の動画と比べて約9倍の完全視聴率を記録したというデータも出ています。

▼Snapchat内で展開されたフィラデルフィアのタテ型動画広告

上記に限らず、各種動画プラットフォームやメディアもタテ型動画への対応を進めています。マーケターとして注目しておきたい、タテ型動画を巡る最新情報をまとめました。

最新情報1
YouTubeアプリがタテ型動画の再生をフルスクリーン対応に

YouTubeのモバイルアプリでは、横長の動画はスマートフォンを横に傾けるだけで全画面表示になっていましたが、タテ型動画に関しては左右に黒いスペースが表示され、大きな画面で見ることができませんでした。しかし今年7月にYouTubeのモバイルアプリのアップデートがあった際、タテ型動画もタップひとつで全画面表示ができるようになりました。

画像参照元:http://www.androidpolice.com/2015/07/21/our-long-national-nightmare-is-over-youtube-on-android-now-shows-vertical-videos-properly-in-full-screen/

7月の時点ではAndroid版のみのアップデートでしたが、8月にはiOSにも適用されました。YouTubeは、モバイル対応に踏み切った理由としてYouTubeにおける動画視聴の半数がモバイルデバイスからの再生になったことを挙げています。

最新情報2
Facebookでもタテ型動画広告の配信が可能に

Facebookの2015年1月〜3月の広告収益のうち、モバイル広告が73%を占めており、その金額は2013年比の30%増となっています。

このようにモバイルからのアクセスが増えているFacebookも、タテ型動画に関してはYouTube同様、タップすれば動画を全画面表示にすることができます。しかし1つ注意すべきなのが、タテ型動画はフィード上で正方形にトリミングされた状態で表示されてしまう点。フィード上では上下が見えないまま自動再生されることを考慮した工夫が必要となります。

しかしそんな仕様を逆手に取ったユニークなクリエイティブも登場しています。

アメリカのピザチェーンLittle Caesars Pizzaは「TAP(タップしよう)」というメッセージを表示した動画を作成。動画をタップすると全画面表示の動画に切り替わり、フィード上では隠れていた部分が現れます。Facebookフィードの特性を活かし、思わずタップしたくなるインタラクティブな仕掛けが新しい企画です。

先日、Facebookで360度動画の投稿が可能になったという発表もありましたが、360度とタテ型を掛け合わせた面白い動画企画もいずれ生まれてくるかもしれません。

最新情報3
国内初のタテ型動画メディア「C CHANNEL」も動画広告を開始

国内サービスでタテ型動画の先陣を切ったのが、動画ファッションマガジン「C CHANNEL」です。C CHANNELはクリッパーと呼ばれるモデルやクリエイターなどがファッションやメイク、フード、トラベルにまつわる最新の情報を動画を通して発信しており、10〜20代の女性を中心に人気を集めています。普段スマートフォンのカメラを使って自撮り写真やコーディネート写真を投稿している若い女性たちにとって、タテ型動画のフォーマットが馴染みやすかったことがその人気の理由のようです。2015年4月10日にサービスを開始し、開設1カ月半で100万PVを達成しています。

今年8月には株式会社ローソンや株式会社クロスカンパニーがC CHANNEL内で動画広告の配信を開始。10代〜20代の女性にリーチしたいのであれば、C CHANNELは今後、目が離せない広告配信先となるでしょう。


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さらにC CHANNELはアプリ内だけでなく、名古屋駅前の大型の縦型デジタルサイネージ「T-Westビジョン」に動画コンテンツの配信を行っています。駅のホームや街頭で見かけるサイネージはタテ型のものも多く、モバイルのタテ型動画とデジタルサイネージというクロスチャネルも今後注目すべき領域と言えるでしょう。

最新情報4
LINE、タテ型にも対応したリッチビデオメッセージの開始を発表

スタンプの配信やユーザーへの一斉メッセージによるリーチが可能なLINE公式アカウントでもタテ型動画による広告配信を推奨しています。「LINE 2015年10月-2016年3月媒体資料」によれば、「リッチビデオメッセージ」という動画配信サービスの実施が予定されており、開始されればユーザーのトーク画面上で自動再生の動画を掲載できるようになります。

画像参照元:https://linecorp.com/ads/pdf/00585770-4621-11E5-B573-C525B973793F

リッチビデオメッセージは縦・横・正方形などさまざまな動画フォーマットに対応しており、タテ型動画であれば、トーク画面を専有するフルスクリーンに近いサイズで表示されます。また、動画にはCTA(コールトゥーアクション)ボタンも設置できるため、外部サイトへの誘導もできるようになるとのことです。

短尺動画なら6割の人が縦向きで視聴。需要高まるタテ型動画

モバーシャルが今年6月に実施した国内のスマートフォン動画視聴についてのアンケートでは、動画を視聴する際にスマートフォンを横に傾けずに縦向きのみで見る人は27.6%と、ほぼ3割を占めました。「横向きのみで見る」の38.9%ともさほど差がなく、無視できない傾向だと言えます。
さらに、10秒以内の動画であれば60%が、10〜30秒の短尺動画でも4割近くが「縦向きのみ」で見ていることも明らかになっています。

画像参照元:http://www.mobercial.com/article/smaphoneresarch/

企業が発信する動画コンテンツの主流は短尺動画であり、それらがスマートフォンで視聴されることも想定すると、マーケターとしてはタテ型動画への対応も十分に検討する必要がありそうです。

そしてこの先さらにモバイルでの動画視聴が増えていく中で、将来的には「動画はタテ型」が新たなスタンダードになる可能性も考えられます。今後もタテ型動画の動向から目が離せません。