リオネル・メッシは欠場した【写真:Getty Images】

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スタッツにも現れたメッシ不在の影響

 リーガエスパニョーラ第7節、バルセロナはアウェイでセビージャと対戦して1-2と敗戦。第5節セルタ戦に続いて敵地で2連敗となった。前節ラス・パルマス戦での負傷によってFWリオネル・メッシが欠場。エース不在の影響とはどのようなものだったのだろうか。

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 アウェイ――。新しい学校、新しい職場、友人に誘われた飲み会で初対面の人たちだらけの状況…。日常生活においても、多くの場面で遭遇するもの。

 もちろん、それを苦にしない人もいる。誰とでもフランクに話すことができ、すぐに周囲に溶け込めるタイプ。アウェイの立場にある自らのグループにそういったタイプの人がいれば、なんと心強いものか。

 今季、バルセロナはリーグ戦7試合で2敗を喫した。そして、その2敗はともにアウェイ。昨シーズンの成績を見ると、アウェイで14勝3分け2敗。はやくも同数の敗戦を喫している。

 メッシ、イニエスタという主軸を欠いたバルセロナは、セビージャのホーム、ラモン・サンチェス・ピスファンに乗り込んだ。過去、リーグ戦での対セビージャは23勝8分け7敗。そのうち、アウェイでの敗戦は4。セビージャという相手もアウェイという状況もあまり苦にはしていない結果である。

 特に、最後の敗戦は2006/07シーズンまで遡らなければならず、ここ数年は難しい相手という意識を持ってはいなかったはず。しかし、この日のバルサはいつもと違う状況にあった。リオネル・メッシの不在だ。

 メッシは当然のことながら、アウェイでも十分に力を発揮する選手。昨季はリーグ戦の43得点中16得点をアウェイで決めている。ホームでの27得点と比べると大幅に下がるが、16点を決める選手はそうそういない。

 つまり、メッシは“アウェイでもすぐに周囲に溶け込めるタイプ”の友人のような存在。そんなメッシを欠いた影響は、スタッツにも現れていた。

大きく下がった1対1の回数

 まず、結果は2-1でセビージャの勝利。支配率は36.9%(セビージャ):63.1%(バルサ)、パス成功本数208本:421本、アタッキングサードでのパス本数106本:174本、チャンスメイク数11回:20回、シュート本数12本:28本。

 ここまでは、内容的にはいつも通りのバルサ。得点数だけが付いてこなかったと見えなくもない。パス本数は700本を超えることも少なくはないが、セビージャの倍以上を記録していれば文句はないはず。

 ところが、このほかにいつもと大きく違うデータがある。1対1の回数が12回:13回。これがこの試合を苦しめた大きな要因となった。

 当然のことながら、バルサのスタイルにおける第一項目はペップ・グアルディオラ監督が作り上げた“ティキ・タカ”と呼ばれるパスワーク。グアルディオラ時代と比べれば、現在はその影響も弱まってはいるものの、パスによる支配力は他のチームを凌駕している。

 さらに、パスワークに加えてバルサの大きな武器となっているのが、メッシとネイマールによるサイドでの突破力だ。この2人が横に縦にドリブルで切り込むことによって、相手DFを崩すことが容易となる。圧倒的な支配力を持つパスワークはサイドの驚異的な突破力によって、より効果を増すもの。

 ここまでのリーグ戦6試合でバルサが仕掛けた1対1の回数は、第1節ビルバオ戦22回、第2節マラガ戦39回、第3節アトレティコ戦28回、第4節レバンテ戦24回、第5節セルタ戦26回、第6節ラス・パルマス戦27回。今回第7節セビージャ戦よりも平均10回以上も上回っている。

 そして、メッシが仕掛けた1対1は第1節ビルバオ戦10回、第2節マラガ戦11回、第3節アトレティコ戦10回、第4節レバンテ戦10回、第5節セルタ戦7回、第6節ラス・パルマス戦1回だった。

攻守に奮闘し、運も味方につけたセビージャ

 ラス・パルマス戦は負傷によって10分間の出場だったため仕方ないが、アトレティコ戦は途中出場からの30分間で10回という驚異的な数字を記録している。今回は丸々メッシの分が減っており、当然のことではあるがムニルでは穴を埋め切れなかった。

 とはいえ、この結果の全ての原因がバルセロナのみにあるわけではない。勝ち点3を手にしたセビージャは、開幕戦でバルサを苦しめたビルバオ、第5節で快勝を遂げたセルタ同様に決して引くことなく積極的なプレーを見せていた。

 特に1ゴール1アシストを決めてデータサイト『Who Scored.com』のテーティングで9.07点という評価でマン・オブ・ザ・マッチに選出されたデンマーク代表のミカエル・クローン=デリは圧巻。

 先制ゴールの場面では、自陣からペナルティエリア内まで長距離を迷いなく走り切り、2点目をアシストした場面ではマスチェラーノのプレスをかいくぐってクロスを上げた。

 また、GKのセルヒオ・リコはPKによる失点こそあったものの、8本の枠内シュートをセーブしてクローン=デリに次ぐ8.9点という高評価を受けた。

 さらに、23分にネイマールが蹴ったFKはポストに弾かれた後にゴールライン上を転がり、79分にはサンドロ・ラミレスのシュートもポストに弾かれるなど運もセビージャに味方した。

 セビージャは、ここまで1勝2分け3敗の5得点10失点と苦しいスタートを切ったが、この勝利を浮上のきっかけと出来るか。

 敗れたバルサは、メッシ不在間の対策とともにアウェイでの戦い方を見つめなおさなくてはならないだろう。

text by 海老沢純一