実力の証明!

ラグビーに番狂わせはない、そう思います。あの広いインゴールをたった15人で守ろうとするとき、そのひとりでも穴があれば戦線は簡単に破られ、壊滅的な打撃を受けるでしょう。あらゆるサイズの化け物が何の制限もなくフィールドに立ち、身体をぶつけてくる。小さな差をごまかしたり隠したりすることを許さない世界観。だから、番狂わせは起きない。

じゃあ、日本は?

南アフリカに勝った奇跡は、史上最大級の番狂わせではあります。番狂わせは起きないはずのスポーツで、番狂わせが起きた。その矛盾の答えは、南アフリカの「番」がオカしかったか、日本の「番」がオカしかったか、どちらか。その答えを、サモア戦で日本は示しました。日本は強い。日本が強い。すべてが噛み合えば南アフリカからも勝利を勝ち取れるところまで、日本が強くなっていた。それがあの番狂わせの実態だった。

そのことを示したのが、強豪サモアを相手に演じた文字通りの「完勝」劇。26-5というスコア以上に差のある試合を見せたジャパンは、サモアをまったく寄せ付けない強者の戦いぶりでした。あまりに危なげないので、決勝トーナメント進出のための「4トライ以上挙げての勝利でボーナスポイント1点追加」の条件を満たしたいという欲も出るほどの試合でした。

この2勝で、今大会のジャパンの目標は達成されたと言っていいでしょう。尊敬されるラグビーの国として、今大会を彩る印象的なチームのひとつとして、最終成績がどうなろうと日本の名前が残るはず。もう120点あげちゃっていいじゃないですか。ベスト8に進めるかどうかは「ボーナス」の領域です。歴史上1勝しかあげてこなかったチームが急に計算していいようなモノではない。それを得られなかったから落胆するほど、日本の歩んだ道のりは長くない。

「Japanway」はまだ始まったばかり。ベスト8という目標を、正統な権利として、番狂わせなく達成するのは2019年でもいい。今は少しでもゲインを積み重ねるよう、まさにジャパンが見せた戦いのように、一歩でも先へ、一歩でも先へ、愚直にボールを押し込んでいけばいい。「3勝」というラインブレイクの先に、「ベスト8」というインゴールはある。次の試合、もう一歩前に進めばそれだけ2019年の残り距離が短くなる。そういう気持ちでいいんじゃないかと思います。

日本は強く、日本は「勝利」した。

それはもう揺るぎないことなのですから。

ということで、真っ当な敬意と正しい配慮があればベスト8に行けたなという確信とともに、3日の「ラグビーワールドカップ 日本VSサモア戦」をチェックしていきましょう。

◆2試合目の相手がスコットランドだったという最悪の日程が恨めしい!

前戦スコットランド戦はチカラの差を見せつけられての敗戦でした。しかし、前半は互角の戦いを展開し、点差ほどの力量差は感じない一戦でもありました。あーだこーだと敗因をあげつらうのは潔くないとは思いますが、南アフリカとの死闘から中3日でグループ2番手の強国と戦うのは、日本に死ねと言うようなもの。にもかかわらず、アレだけ戦った日本は十分に強かったと思います。

文句は言いません、今回は。日本の立ち位置というのが、そうした糞日程をあてがわれても文句の言えないところにあったのですから仕方ない。そうした「不敬」を改めていくのも今大会の大きな目標。次回大会の開催国として、国力としてもラグビー力としてもその資格があるのだと示さねば、扱いは永久に「雑魚」のままです。

ちょっと油断すると、南アフリカあたりから「新国立競技場ポシャったんだって?」「じゃあ代わりにウチで開催してやるぞ」「開催権よこせ」とかの横槍が飛んでくるような現状も、「雑魚」扱いなればこそ。今大会の結果で、次回の日本は「存分にチカラを出せる環境を用意しなければならないちゃんとした国」となるでしょう。開催国ですから当然ではありますが、仮に開催国でなかったとしても、きっと。

↓今大会の観戦開始時にもリツイートしたヤツですが、まさにコレが真の目標なのです!

日本にラグビーはある!

本物のラガーマンがいる!

そのことを、チカラで示したい!

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そして迎えたサモア戦。サモアも日本同様に列強国からは下に見られている「ティア2」の国。前回大会はやはり糞日程をあてがわれ、「勝ったほうがベスト8進出」という試合を自分たちは中3日・対戦相手は中7日という状態で戦うハメになりました。そのことについてサモア代表のエリオタ・フイマオノ・サポルはツイッターで罵詈雑言をブチまけ、転載したいけれどできないくらいの発言で猛反発をしたのです。

その甲斐もあってか、今大会のサモア代表は1週間に1試合ずつというキレイな日程を組んでもらえました。日本も示すべきものをしっかりと示したうえで、改めて見直すべき点についてはしっかりとアピールしていかないといけません。その声をデカくするためにも、まずは南アフリカ戦が間違いではないということを勝って証明することです。

入場してくる日本の選手たち。キャプテンのリーチマイケルを先頭に、頼もしい顔の男たちがやってきました。スタンドには桜のジャージが満開。赤、赤、赤に染まっている。手にした応援ボードにジャパンへのメッセージを書き込む人。日の丸の鉢巻きをしめた人。日本の立場は早くも変わり始めているのかもしれません。今大会初出場&日本史上最年長出場となるホラニ龍コリニアシ(トンガ出身の帰化選手)も、高らかに君が代を唄い上げます。

↓サモア代表は戦いの儀式「シヴァタウ」で日本を強烈に威嚇してくる!

コッチはネタが決まってないからやらないけど、2019年までには何か考えておくからな、見とけ!

第72代横綱・五郎丸土俵入り!露払い田中史朗、太刀持ち大野均!行司はエディー・ジョーンズであります!とかな!

もしくは化粧まわししめて、それぞれの出身地とか紹介しながら輪になってバンザイしたりするやつ!とかな!

↓だが日本も負けてはいない!向こうがシヴァタウならホラニ龍コリニアシは吹奏楽部員だぞ!

ホラ貝とか吹かせるか!

肺活量ありそうだし、イケるだろ!

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そして始まった試合。まずはサモアのキックオフから日本陣内深い位置での展開となりますが、日本は簡単にキックを蹴り返すことなく、ボールをしっかりとつないでいく姿勢。Japanwayと称するアタッキングラグビーを貫いていきます。スコットランド戦とは打って変わって、ジャパンの動きにはキレがあります。タックルは低く、鋭く、早い。ボールをこぼすなどの単純なハンドリングエラーも出なくなりました。体調面・精神面しっかりと整えてきたようです。

その手応えをさらに強めたのが最初のスクラム。ウェイトでは30キロほどサモアが上回りますが、日本のスクラムはサモアに組み勝ちます。まったく後退させられず、むしろ押していく日本のフォワード陣。この様子なら今日はいい試合……いや勝てる試合になりそうです。

すると早速の前半6分、日本はパスでの展開からインゴールに飛び込みます。トライかと思いきや、その前に日本のスローフォワード(ボールを前に投げる)の反則があり、かつその前に相手の反則でのアドバンテージがあったため、最初に相手の反則があった状態に戻ることに。ここで日本はペナルティゴールを狙い、見事に決めて3点先制です。

↓よーし、幸先よく先制点!五郎丸ポーズで決めた!


最近、エレベーターのボタンとかトイレのウォシュレットとか五郎丸で押してます!

すごいダメな人を見るみたいな目で見られます!

でも、みんなやってるでしょ!?

日本はウィングに入った山田章仁の快速を活かし、たびたびキックで走らせるような攻撃を狙います。相手にボールが渡っても、鋭い出足で高い位置からプレッシャーをかけていく。ジャブを打ちつづける、しつこいディフェンス、しつこいオフェンス。すでに押しまくっている勝負の振り子は、サモアを苛立たせるしつこさによってさらに加速していきます。何と前半16分、前半19分に相次いでサモアはシンビン(10分間の一時的な退場)となり、日本は2人多い状態になったのです!

連続攻撃で押し込んで押し込んでいく日本。なかなかトライを奪えないので、「相手13人で守り切られたらイヤな流れになるな」という不安も生まれてきますが押して押して押していきます。ここでトライをとれるかどうかは勝負をわける大きな分岐点。相手陣内で反則を受けた際も、日本はペナルティゴールではなくスクラムからトライを狙う選択をします。絶対トライ、その決意で。

↓運命の前半24分、スクラムから押し込んだ場面で日本は認定トライ獲得!



日本がスクラムで押し勝つ

サモアは(意図的ではないかもしれないが)スクラムが崩れる

審判はコレをコラプシング(スクラムを意図的に崩す反則)と判定

しかし、日本が有利なので右手を上げて「アドバンテージ」のサイン

しかし、やっぱりスクラム崩れる

これは崩れてなければ日本のトライだったねということで審判は「認定トライ」を宣言

ちなみに、最後にゴールポストの下で審判がやっている何かをつかんで下ろす動作は「コラプシング」を示すサインです!

日本がスクラムで完全に組み勝っていることが生んだトラーイ!!

認定トライにつき、コンバージョンはド真ん中から。当然決まって10-0とリード。その後も、日本のペースは変わりません。瞬間的にはサモアに流れがいきそうな局面もあるのですが、そのたびにノックオンやオフサイドなどミス&反則によってサモアはみすみすチャンスを失ってくれます。

そのあたり……特にオフサイドをしっかりと取ってくれる主審であったことも日本有利に働きました。サモアはミスする⇒ムカつく⇒ミスする⇒イライラする⇒いきり立ってオフサイドという悪循環に。ガマンのラグビーを展開する日本のチクチクしたジャブが、キレやすいファイターをキレさせた。まさに狙いどおりの展開です。

↓そして前半最後のプレーではダンサブル山田がトルネードスピンからのダイビングトラーーーイ!(1分40秒頃から)


「HAHAHAHAHAHA」とか笑いそうなテッカテカの笑顔!

自分のことを中心に考えた予測不能なプレー!

南アフリカ戦でコンタクトを落とした男が、今日はボールを地面に叩きつけた!

↓めちゃくちゃキレイに飛んでるwwwwwwwwwwwww

ウルトラマンの飛行ポーズかよwwwww

今大会の日本のトライ、めちゃくちゃキレイwwwww

お部屋の中でウルトラマンが旋回する!空飛ぶウルトラマン!

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何と、何と、何と、前半終えて20-0。トライ2つを決めて20点の大量リード。南アフリカがフルタイムで46点を記録した相手に前半で20点。素晴らしい前半の戦いは、もしも南アフリカ戦がなければ往年のラガーマンが泣いて万歳三唱するほどの結果。互角の戦いどころかジャパンが圧倒しています。

後半に入っても流れは変わらず、後半最初のスクラムで組み勝つと、反則⇒キックで前進⇒ラインアウトからモールで押す⇒相手のオフサイドでペナルティキック獲得⇒3点追加、というイイ立ち上がり。勝利が見えてきたことで、ここからは日本がどう試合をマネジメントするかというのがテーマになっていきます。勝てば勝点4は当然取るとして、ベスト8進出を考えれば4トライ以上をあげてのボーナスポイント1点を追加したい。欲が出てきます。

もちろん日本は4トライを狙って攻めました。積極的にラインアウトからのモールでのトライも狙いました。ただ、それ以上に冷静だった。欲に流されず、まず勝たねば何も始まらないことも忘れてはいなかった。何でもかんでもトライにいくのではなく、ペナルティゴールでしっかりと点差も広げていくなど、サモアに反撃の糸口を与えません。

サモアはどんどん冷静さを失い、田中史朗につかみかかるわ、点差もあって一発のビッグプレーを狙ってくるわと半ばキレ気味。それを日本はいなして、すかして、あざ笑う。日本も調子に乗ってビッグプレーばかりを狙えば、まだ付け入る隙もあったのかもしれませんが、あくまでも日本は「今日勝つ」ことが最優先。

後半18分のペナルティの場面でも、トライを狙って蹴り出すのではなく、ペナルティゴールの3点をキッチリ取りました。後半30分にも、コレは決まりませんでしたがペナルティゴールで点差を広げる選択をしました。極端な話、4トライを取るために相手の攻撃はとっととトライを決めさせて終わらせる……なんて発想もあり得るわけですが、そうした奇策は一切打たない手堅い戦い。日本が手堅くくるのではサモアにはどうすることもできません。

↓試合前から、こういう展開を予想していたかのようなエディーヘッドコーチのメッセージ!

何もかも御見通し感、すごいな!

どうでもいいけど、五郎丸のこの写真はハンバーガーとかまんじゅうとかトイレットペーパーの広告に使えそうないい顔!

その後、試合は大きな動きなく、サモアの反撃を5点におさえて終了。何もできない、何もさせない、ブチギレさせる、完勝でした。頼もしいほどに地に足がついた戦いぶり。後半の得点はペナルティゴール2本の6点のみで、トライがなかったことには皮算用的には不満も覚えるかもしれませんが、欲目をかかずに勝てる試合をしっかり勝ったというのは、これまでの大会にはないジャパンの新境地。

思い返せば前回大会では、残り7分8点差というほぼ安全圏から追いつかれた試合もありました。そのときはほぼ同格のカナダ相手の試合でしたが、今回はサモアという実績上位の強豪との試合。欲をかいたり、油断をしたりして得るべきものを取り逃がせば、今のイイ流れすら失ってしまいかねません。結果として4トライを取れれば最高でしたが、まずはしっかりと勝ったことを喜ぶべき。ボーナスポイントはあくまでも「ボーナス」です。

↓大会公式からも「日本は2勝目をあげるのに8741日かかったが、3勝目は14日しかかからなかった」と1勝の重さを踏まえた賛辞を受ける!

せっかくの2勝目も、次の勝利までまた8000日かかったら「まぐれ」にされるからね!

これで十分です、今大会は!

ちなみに、同じ日に行なわれたプールBの南アフリカVSスコットランド戦は、34-16で南アフリカが勝利。点差は開きましたが南アフリカのトライは3つ止まり。これにより、両チームはそれぞれ勝点4を得て、最終戦に向かうこととなります。現時点での順位は南アフリカが勝点11で1位、スコットランドが勝点10で2位、日本は勝点8でプール3位となっています。現時点ではかなり苦しいかなという戦況。

ただ、南アフリカかスコットランドか、どちらかが負けるか引き分ければチャンスはあります。たとえば南アフリカが4トライ以下の引き分けで勝点2に留まれば、最終勝点は13となり、日本は4トライ以上の勝利で並ぶことができます。並べば直接対決の勝者が上にいきますので、日本が勝ち抜けられます。また、スコットランドが負ければ、日本は勝ちさえすれば上にいきます。

日本のプール最終戦は10月11日のアメリカ戦。南アフリカは7日にアメリカとのプール最終戦を戦い、スコットランドは10日にサモアとのプール最終戦を戦います。日本がアメリカ戦を戦う前に、南アフリカもスコットランドも日程を消化しますので、その時点で日本のベスト8が消えている可能性はあります。

しかし、「最終戦まで可能性を残した」ことに変わりはありません。それが何より素晴らしい。「戦う前から負け確定」と思われていた日本が、「全試合戦ってみないとどうなるかわからない相手」なのだと知らしめることができたのですから。3勝1敗でダメなら、もうそれは日本が弱いせいじゃないのです。胸を張って「英雄」として帰ってきてもらいましょう。

もう決めた!2015日本スポーツ大賞はラグビー日本代表のみなさんです!