DeNA・中畑清監督【写真:編集部】

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「不安の中からのスタート」も「4年間、本当に短かったね。あっという間でした」

 DeNA・中畑清監督は3日、横浜スタジアムで迎えた今季最終戦を白星で飾ることが出来なかった。

 先発の三浦が巨人相手に3回4失点でKO。打線は梶谷の13号2ラン、筒香のキャリアハイとなる23、24号ソロを放ったが、井納、須田、三上の失点が響いた。ラストタクトを飾れず、チームは4連敗。2012年以来の最下位が確定した。

 中畑監督はDeNA球団が誕生した2012年シーズンから指揮。今季で4年連続でのBクラスとなった。

 試合後は記者会見を実施。遠くからファンの声援が響く中、指揮官はきっぱりと辞意を表明した。

「自分の中では、まだまだ本当に志半ばという気持ちは多分にあります。ですが、こういった世界というのはどっかでけじめをつけないと、という部分がはっきりと出てくると思うんですね。

 そういうところを流してしまうと、その後のチーム事情とか、いろんな意味で切り替えのつかないダラダラした組織というのは僕は一番嫌いなんで、ダメな時にはダメだという、そういう風なわかりやすい世界を目指してきたつもりなので、自分なりには、この責任というのは本当に重いものだと感じています。

 あとちょっとで勝てない、もうちょっと という内容だったらまだ良かったかもしれないです。でもあの首位からの陥落する内容というのは、本当にファンの皆さんの期待を大きく裏切ったという部分で本当に重い責任を感じています。

 でも楽しかったです。はっきりいって僕は。4年間。ランドマークタワーでこうやってみなさまに集まっていただいた、まだ監督として契約していないのに、監督就任会見をしたあの時間が、昨日のように思えます。

 こういった中で、必ず人生の流れっていうのはくるはずですから、そういった流れにわたしは今年ぶち当たったんだなという年だと思います。でも全然悔いはありません」

「もう一度こういったチャンスがあるのであれば、トライしていきたい」

 指揮官は続けて「本当にあのやるべきことはやれたし、結果こうやってファンの方にも集まっていただきました」と話しながら、会見場の窓から見えるファンに「ありがとー! 本当にありがとー!」と声をかけた。

「もうこれだけで、十分野球人でよかったなと。そしてこのポジションにつかせていただいた高田GMにもね、心から感謝して、そしてもう一度こういったチャンスがあるのであれば、トライしていきたいなという気持ちで、今はいっぱいです。4年間、本当に短かったね。あっという間でした」

 ファンに愛された4年間に充実した表情を浮かべながら「みなさん、ありがとうございました。そしてみなさんまたよろしくお願いします」と感謝の言葉を口にした。

 その後は質疑に答えた。

――改めて4年間を振り返ってみてどのような気持ちですか?

「本当に監督業ってのは、どういうものかなという不安の中からスタートしましたけれども、何かあの、単にマスコミの方の存在が勇気を与えてくれたかな。最初チームそのものを見た時には、どうしようかなと。戦力がなくてね。非常に血迷ってしまうくらい不安でした。でも、毎日のようにこうやってマスコミが集まってくれたの。その元気で動いていく中で、徐々にノーヒットノーランをやられた、でも話題になる。だから、4年間でマスコミに取り上げてもらうことの喜びというのを改めて感じられたような気がしますね。

 プロ野球の球団っていうのは、常にそうやって注目され、話題を提供されている中で、成長していけるなら、どんどんいい方向に向いていくんじゃないかな。注目されてナンボ。応援されてナンボだと改めて感じましたね」

――その中で大入りが40回を超え、優勝した時よりもお客さんが入ったという事実があります。この4年間やって来た中でファンに対する思いとは?

「いつもファン目線でいたいなというのは、自分のONですかね。王さん、長嶋さんの時代から、お客様は神様ですという姿勢の原点を教わってきたと思っていますので、常にファンありきの、ファンを大切にする気持ちというのは、持ち続けてやってきたつもりです。

 うちの選手もそれを理解して、非常に努力してくれているなと。ですから、うちのチームの選手たちの人気っていうのは、ファンサービスといった面でも他のチームにはないものを提供できたのではないかな。提供し続けているのではないかと思います。それも含めこうやって最下位でありながら結果的には、これだけ応援してもらえる結果というのは、僕はプロ野球の球団であるべきだと思います。ある姿だと思います」

筒香は「もっともっと数字を残せる選手」、4年間で最も記憶に残っている試合は…

――筒香がオールスターでファン投票1位になるなど選手の人気が出てきている。今シーズが始まる前に、監督は筒香と心中するんだとおっしゃっていましたけど、今日も2本塁打を打って、監督の思いに答えた部分があると思います。

「おー、あれかっこよかったねぇ。俺のために打ったのかなって思ったけど、おお、いい選手になったなーって、そうしたら違ったみたい。全然関係ないって。たまたま打てましたって(笑)。でも、かっこよかったね。ファンが喜ぶホームランバッターの雰囲気というのが打席に立った時に感じられるし、期待したものをそのまま答え出してくれる。それがプロ野球のスターになる要素の一番大事なところだと思いますね、期待に応えていくという点でね。

 今日の2本のホームランはまさしく絵に描いたような……、梶谷が先に打って、それを追いかけていくっていうね。やっと雰囲気っていうか、スターをいよいよ感じられるようになったなって思いますね。あんまりいうと、なので、まだまだもっともっと数字を残せる選手だと思いますので、はい」

――4年間で、特に印象に残っている試合というのは?

「ジャイアンツにここ(ハマスタ)でね、7点差くらいのをね、最後に多村の逆転スリーランでね、サヨナラゲームを作ったあの試合はね、確か長嶋さんが観に来ていただいていた試合じゃなかったかと思うんだけど。それで何とかジャイアンツに対するコンプレックスみたいなものをね、払拭できたなというくらい感動できる試合だったのでね。そういう意味ではジャイアンツの存在っていうのは、僕の中で意識はありましたのでね、1回でも勝ち越す1年が作れたのでね。いろんな意味で、エネルギーが沸いたという、あの試合は今でも忘れられません」

「今は無職で何も収入源はないので、これからすごく不安」

――特にこの1年、前半戦首位に立ったり色々あったと思います、その中でこの辞めるという、決意をした時期はいつでしたか?

「けっこうね、1年1年、覚悟を決めながらやっているつもりなんですよ。勝とうが負けようが。内容とかいろんなことを加味しながら。自分の中で納得がいかなければ、身を引かなきゃいけないだろうし、勝手に本当はクビになる世界ですから。

 解雇されて当たり前という、今年なんかは結果ですから、たまたま続投という話が出ていたから大騒ぎになっているというのが多分にあると思うので、本当だったらもう解雇で文句ない結果だと思います」

――でもファンは辞めないでと声援があったと思いますが。

「はい。そうやって言っていただけるのは、本当にこの上ない喜びですね。このポジションにいて、そうやって言っていただける方。でも半分はとっくに辞めろという声もありますので、そういうのはかならず賛否両論だと思います」

――今後はどのように野球と向き合っていきますか?

「全く考えていないです。一番は、歌手ですね(笑)。それで食い繋いでいけたら、というわけで、他に何かありましたら、その場を提供していただければというふうに思います。

 今は無職で何も収入源はないので、これからすごく不安です。どうかみなさんのお力添えをよろしくお願いを申し上げまして、今日の記者会見を終わらせていただきます。どうもありがとうございました」

白井京子●文 text by Kyoko Shirai