U−18日本代表がラオスに勝利し、白星発進もほろ苦い初戦に

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 まさにエースたる一撃だった。

 2017年に韓国で開催されるU−20ワールドカップに向けて、アジアでの初陣となるAFC U−19選手権バーレーン2016予選。初戦で開催国のU−18ラオス代表と戦ったU−18日本代表は、39分にFW小川航基(桐光学園高校)がオープニングゴールを挙げると、62分には交代出場のMF高木彰人(ガンバ大阪ユース)が追加点を挙げて、2−0で勝利を収めた。
勝利こそ収めたが、90分を通してみると、最後まで重苦しい雰囲気が漂い続けていた。立ち上がりからチーム全体がどこかおかしかった。初戦の堅さなのか、アジア特有の蒸し暑さとピッチコンディションの悪さからなのか、ミスを連発し、頻繁にラオスにカウンターを許す、重苦しい立ち上がりを見せた。

 時間が解決すると思ったが、一向に攻撃が噛み合わない。さらに31分にはMF久保田和音(鹿島アントラーズ)が負傷し、高木を投入。高木は積極的に仕掛ける姿勢を見せたが、連携面では落ち着かない状態が続いた。

 だが、重苦しい雰囲気が漂う中、ここでエースがエースにふさわしい仕事をした。「『苦しい時に決める』というのが、僕が常に持っている目標なので、自分が何とかしなければいけないと常に考えていた」と語る小川はMF坂井大将(大分トリニータ)のパスに反応し、中央でボールを受けると、鋭い反転から迷わずミドルシュート。これが約25メートル先のゴール左隅に吸い込まれ、待望の先制点を生み出した。

 しかし、これで緊張がほぐれ、勢いに乗るまでには至らなかった。徐々に個々のプレーのキレは上がってきたが、肝心の連携面は思うように上がらない。小川自身も「組み立てがうまくいっていなかったので、クサビを受けるプレーを意識しすぎて、ゴールから遠ざかってしまった」と悔やんだように、ゴールを決めた後は、存在感を発揮することができなかった。

 62分に、交代直後から果敢に個の打開を図っていた高木が、右サイドを突破したDF藤谷壮(ヴィッセル神戸U−18)のセンタリングを落ち着いて決めて、追加点こそ奪ったが、最後までエンジンが完全に掛からないまま終わってしまった印象だった。

「相手がそこまでプレスに来ていない状況なのに、無理にいって引っ掛かったり、展開力を上げて、ボールロストをせず、コントロールすることも出来なかった。個々が孤立した状態で戦ってしまっていた」と試合後に内山篤監督が厳しく言ったように、最後まで攻撃の閉塞感は払拭しきれず、ミスが目立つ試合となってしまった。

 小川自身も『エースたる仕事』は果たしたが、『エースたる存在感』を放てぬまま、90分が経過した。「点数を決めたのは良かったけど1点じゃ満足できない。自分は1点の選手じゃないと思っているので。FWは点を取ること、ボールを前線で収めて起点になる2つが大きな仕事。それができていない状況では、決して満足できません。今日の出来は50点以下です」と小川が語った通り、決して喜べない、ほろ苦い初戦だった。そして、これは小川だけでなく、チーム全体に当てはまることであった。

 内山監督が「アジアでの実戦がいかに難しいか、経験できたと思う」と語ったように、思うようにいかないのがアジア予選であり、本番の雰囲気であることを体験することができたことは、チーム全体にとってプラスであることに間違いない。

 ようやく本当のスタートラインに立ったU−18日本代表。大きな経験を積み重ね、成長を遂げるための第一歩は、貴重な経験から始まった。