[AFC U-19選手権予選]U-18代表のエース小川航基「チームとして本当に欲しいとき」に奪ったゴール

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[10.2 AFC U-19選手権予選 U-18日本代表 2-0 U-18ラオス代表 ビエンチャン]

 前半40分を経過しようというのに、スコアボードに刻まれた数字は「0-0」。試合開始から少しも動いていなかった。

 AFC U-19選手権予選第1戦。同会場での第1試合でライバルのオーストラリアがフィリピンを6-0の大差で下していただけに、得失点差勝負になることも想定すれば、求めていたのは大量点だろう。だが、「かなりタフだし球際も強く来て、足の速いポテンシャルの高い選手も何人かいた」(DF藤谷壮、神戸U-18)ラオスの前に、日本は苦戦を余儀なくされていた。ピッチ上から伝わってくる感情は明確に「焦り」。平常心なら考えられないようなミスも出る中で、「このまま前半を終わるとまずい」というのはそれぞれの選手が、過去の試合経験から感じていたはずだ。

「チームが苦しいときに、本当に欲しい1点を取れる選手になりたい」

 FW小川航基(桐光学園高)は過去にそんなことを話していたことがある。この展開はまさに「そういうとき」だったと言えるだろう。39分、PA外ほぼ正面、ゴールまで約25mという距離でボールを受けた時点で、脳裏には幾つかの選択肢が頭には浮かんでいた。

「最初は裏でもらおうとして、(出てこなかったので)足元で受け直した形。そこからシュートなのか、パスなのか、あるいはドリブルなのか。いま自分の中でそういう判断を大事にしていて、まさにそれが問われた場面だったと思う。(2トップを組む岸本)武流が抜け出そうとしていたのを見えていたし、あそこにパスを通せればGKと1対1になったかもしれない」

 ただ、選択はシュート。外してしまえば、確実に「何でパスを出さなかった!」と言われるであろうことを承知した上で、迷いは欠片もなかった。しかも、「チームとして(シュートを)外して、外してという雰囲気の中で」(小川)巡ってきた機会に、一切の迷いもなしに、自然体のシュートモーションでボールをミート。ボールがゴールに突き刺さると、本人の控え目なガッツポーズとは裏腹に、周囲では喜びが弾けた。試合の流れを思えば、このゴールの重さは誰の目にも明らかだった。

 朗らかで礼儀正しい好青年の小川だが、その鼻がゴールのにおいを嗅ぎ付けると、エゴイストの一面が出てくる。まさにストライカーの血と言うべきものが、小川にはある。「チームとして本当に欲しいときに取れたのは良かった」と控え目に語ったエースの力と存在感をあらためて印象付ける、そんな夜になった。

(取材・文 川端暁彦)