老後資金の大きな柱である確定拠出年金についての大幅な改正が予定されている。確定拠出年金とは、加入者みずからが、毎月の掛金の金額と投資する金融商品を決め、掛金と運用収益との合計額をもとにした年金給付額が、運用後に決まる年金制度である(これに対し、国民年金や厚生年金は、給付額だけがあらかじめ決まっている確定給付年金)。

 確定拠出年金は2001年にスタートしたものの、現在に至るまであまり普及は進んでいなかったが、今回の改正で一気に拡大する可能性が出てきている。

 さまざまな改正点の内、もっともインパクトがあるのが、「個人型確定拠出年金の加入可能範囲の拡大」。現行制度では、個人型確定拠出年金に加入できるのは、自営業者等や勤務先に企業年金制度がない会社員に限られている。

 それが、今回の改正では、企業年金がある会社員や共済などに加入している公務員、さらに主婦なども加入対象に含まれるという。つまり、原則20〜60歳のあらゆる現役世代が個人型確定拠出年金に加入することが可能になるのだ。

 もともと、確定拠出年金はNISA(少額貯蓄非課税制度)以上に税制面でのメリットが大きい。自分が拠出した金額内であれば、何回売買を繰り返しても、それによって得られる利益は非課税となる。また、個人型確定拠出年金は、掛金は全額が所得控除の対象となるため、所得税や住民税を軽減することが可能だ。

 さらに、年金として受け取る場合、雑所得として公的年金等控除の対象となる。確定拠出年金は、一時金として受取ることもでき、その場合は、退職所得として退職所得控除の対象となる。いずれにも非課税枠が用意されており、非課税枠を超えても税率は軽減されることになっている。

 この改正が実施されるのは、早くても2016年4月(2016年度)からの見通し。すでに、2017年度からの拠出限度額の見直しや、加入可能年齢の70歳への引き上げなども検討されているという。個人型確定拠出年金が持つメリットへの理解が進めば、爆発的に普及するのではないか。

文/松岡賢治(ファイナンシャルプランナー)

※マネーポスト2015年秋号