ヨーロッパリーグ(EL)第2節、ギリシャに乗り込んだドルトムントはPAOK(ギリシャ)に1−1と引き分けた。これで勝ち点4となりC組の首位に立った。

 リーグ戦を含めて3試合連続の引き分けは、今季開幕から連勝していたことを考えれば決していい流れとは言いがたい。それでもトゥヘル監督は「全体的にパフォーマンスには満足している。最終的には勝利に値した」とポジティブに捉えていた。

 そもそもこの一戦、ドルトムントは博打に打って出ていた。今週末のバイエルン戦に備え、香川真司に加え、フンメルス、ソクラテス、ギュンドアン、オーバメヤンと主力中の主力5人をドイツに置いてきたのだ。疲労と日程を考慮してのことだというが、このPAOK戦にあまり重きを置いていなかったと考えることもできる。

 たとえここで星を落としても問題ない。また、仮にELで上位に進出できなかったとしても、リーグ戦を上位でフィニッシュできれば、もっといえば今季も好調なバイエルンと対等に渡り合い、優勝を目指すことができれば、そちらのほうにプライオリティがあると、はっきり示したということ。ELの存在とは、ドルトムントにとってその程度だということだ。

 もちろん、上記の5人を連れてくれば勝利できたのではないか、という批判もあった。だがトゥヘルは、「勝てたかもしれないし、勝てなかったかもしれない。だが、今日試合に出た彼らがどれだけこの試合を楽しみにしていたのかも知っている」と、一蹴している。単に人情味溢れる指揮官として、この日の出場メンバーを労っているわけではない。長いシーズンを戦ううえで、控え組も含めてチームをうまくマネージメントしていくことが重要になる。

 以前、香川は「去年までチャンピオンズリーグ(CL)を戦っていたチームがEL となると、モチベーション的に難しいのは事実」と話していたことがある。確かにそうだろう。欧州ナンバーワンを決める舞台ではなく、その下の1位を決める大会に意義を見出しにくいのは想像に難くない。ましてドルトムントはほんの数年前にはCLの決勝にまで進んだチームなのだ。

 だが主力以外の選手にとって、そんなことは関係がない。貴重なチャンスを生かさねばならない彼らに対して、及第点を与えたのが、トゥヘルのコメントの意味だった。リーグ戦ではベンチスタートが多いMFカストロは「いくつかのシーンで少しだけ運がなかった。勝ち点2を失ったが、満足しなくてはいけない」と語る。試合後の表情を見る限り、選手たちは手応えを感じているようだった。

 さて、10月4日のバイエルン対ドルトムント戦は、バイエルンにとっても大一番である。

 ドルトムントがPAOKと戦った2日前、バイエルンはCLでホームにザグレブ(クロアチア)を迎えた。5−0と快勝した試合後の記者会見での質問は、ドルトムント戦に集中した。グアルディオラも拒むことなくそれらの質問に答えていた。彼らが戦っているのはCL。それでもグループリーグの一戦より、ドルトムントとのブンデスリーガ頂上決戦に興味が集中するのは自然なことなのだ。

 主力を休ませて万全の状態で臨むドルトムント。だが、3試合連続での引き分けと、ここ6試合中5試合で先制点を与えているという2点は大きく気になるところである。ある意味ではなりふり構わず臨むバイエルン戦。現在の勝ち点差は4。リーグ戦への興味を持続させるためにもドルトムントの奮起は不可欠である。

了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko