『屍者の帝国』 (C)Project Itoh & Toh EnJoe / THE EMPIRE OF CORPSES 

写真拡大

(…前編より続く)

○【6位予想】『屍者の帝国』
フジテレビ深夜アニメ枠「ノイタミナ」による「ノイタミナムービー」第2弾。34歳で早世したSF作家・伊藤計劃氏の未完成の序文を芥川賞作家・円城塔が完成させた「屍者の帝国」をアニメ化した作品。

ノイタミナムービー第1弾『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス』は全国103スクリーンで公開され、初週土日動員9万3000人という、高いスクリーンアベレージを叩き出しアニメーションの破壊力のあるところを見せつけた。

本作は約70館での上映となるが、本作に続けて公開される「虐殺器官」「ハーモニー」を含めた「Project-Itoh」の注目度は高い。9月26日には世界最速完成披露試写会が行われ、声優の細谷佳正、村瀬歩、花澤香菜が登壇。作品の世界観を大いにアピールした。『劇場版 PSYCHO-PASS〜』との劇場数の差を考慮しても5万-7万人、それ以上の集客も期待できるだろう。

【週末シネマリサーチ】前編/東宝『バクマン。』登場! 『アンフェア』『進撃』に続き初週Vは確実か!?

▲【9位予想】『パパが遺した物語』
ラッセル・クロウとアマンダ・セイフライドが贈る父娘のヒューマンストーリー。監督は映画『幸せのちから』のガブリエレ・ムッチーノ。

ガブリエレ・ムッチーノといえば、ウィル・スミスとタッグを組んだソニー・ピクチャーズ配給の『幸せのちから』(07年)、『7つの贈り物』(09年)が有名。『幸せのちから』は初週土日の動員26万人、『7つの贈り物』が動員12万9000人という数字。またラッセル・クロウ主演で記憶に新しい作品といえば『ノア 約束の舟』(14年/パラマウント)か。全国361スクリーンで初週土日の動員は20万人。ちなみにラッセル&アマンダ共演の『レ・ミゼラブル』(12年/東宝東和)は全国360スクリーンで公開され初週土日で動員22万9000人。

本作は約120館の中規模公開と、上記作品の数字と比べるのはナンセンスだが、ジワリと染み渡る人間物語は、秋の夜長にピッタリ。テレビCMも“ヒューマン押し”でブレていない。配給は、良質な洋画を配給しているギャガ。口コミで広がっていくタイプの映画かもしれないが、初週から5万人程度の集客は期待したい。

△【10位予想】『岸辺の旅』
湯本香樹実の同名小説を黒沢清監督、深津絵里&浅野忠信出演で映画化。失踪し、幽霊となって帰ってきた夫と、その妻との旅路を描いたヒューマンストーリー。

第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で「監督賞」を受賞。「ある視点」での受賞は、同じく黒沢監督の「トウキョウソナタ」以来7年ぶりの快挙である。海外映画祭での受賞がどこまで興収に影響を与えるかをはっきり数値化するのは難しいが、マイナスになることはないだろう。

本作は約90館での上映。黒沢監督は東宝配給の映画『リアル 完全なる首長竜の日』が、全国270スクリーンで週末土日の動員9万6000人という実績があるが、公開規模も作品の毛色も全く違う。同じくカンヌで「審査員賞」を受賞した「トウキョウソナタ」もランクインを果たすことはなかった。正直、数字が読みづらいが、話題性からもトップ10に食い込む可能性はある。

※【注目シネマ】
『劇場版 蒼き鋼のアルペジオ アルス・ノヴァ Cadenza』
人気コミック「蒼き鋼のアルペジオ」のアニメ化作品「蒼き鋼のアルペジオ アルス・ノヴァ」の劇場公開版第2弾。前作『劇場版 蒼き鋼のアルペジオ アルス・ノヴァ DC』はテレビシリーズの再編集だったが、本作は完全新作として公開される。

劇場公開数は約60館。前作が全国31スクリーンながら初週動員数ランキングでは11位に健闘。公開数も増え、さらなる前進が見込めそうだ。

(文:磯部正和/映画ライター)

磯部正和(いそべ・まさかず)
雑誌の編集、スポーツ紙を経て映画ライターに。基本的に洋画が好きだが、仕事の関係で、近年は邦画を中心に鑑賞。本当は音楽が一番好き。不世出のギタリスト、ランディ・ローズとの出会いがこの仕事に就いたきっかけ。

【関連記事】
【映画作りの舞台裏】ポスト・ジブリ!?『あの花』旋風を巻き起こした若手プロデューサーが『ここさけ』への熱い想いを語る
今やフィルム上映は風前の灯火。今や97%を占める「デジタルシネマ」とは?
【興行トレンド】ネットフリックス、アマゾン…動画配信サービスの戦国時代到来!
【週末シネマリサーチ 9月25日編】(前編)東宝VSディズニー再戦! 巨人 VS 1.5センチのヒーローはどちらに軍配が?