U−19代表の不動のエースとしてチームを牽引した南野。4試合を戦い、4得点を記録。グループリーグの韓国戦で決めたゴール(写真)はスーパーだった。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 エースの責務を全うすべく、懸命に戦った昨年のU-19アジア選手権。しかし、勝てばU-20ワールドカップ行きが決まる準々決勝の北朝鮮とのPK戦で、痛恨の失敗……。絶対的なエースはチームを世界大会に導くことはできなかった。

 試合後、「悔しさしかないです」と声を振り絞った当時の南野は、アジアの舞台でいかに戦ったのか――。
 
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 南野で始まり、南野で終わった大会だった。

 1点ビハインドの中国戦、エースの左足が日本に今大会初得点をもたらし、PK戦にもつれ込んだ北朝鮮戦では、右足のシュートがGKに止められて敗退が決まった。

 彼自身、決して調子が良かったわけではない。今季のJリーグでは、いまだ2得点。ゴール前での精度は、今大会中も高かったとは言い難い。実際に、毎試合のように決定機を逃してもいる。背番号13が頭を抱える姿を見るのは、一度や二度ではなかった。

 また、大会前にチームへ合流する機会が限られ、コンビネーションが確立できていなかった感もある。

「もっとワンタッチでつなぎたい」
「パスの長短を織り交ぜて崩さないといけない」

 そこには、自身の反省とともに、周囲から受ける若干のストレスがあったように感じた。

「全員が南野を見過ぎている」

 鈴木監督はグループリーグのベトナム戦を終えてそう危険視していたほど、彼の双肩には多くの重圧がのしかかっていた。本人は「誰かひとりでどうこうするチームではない。みんなで戦う」ことを強調していたが、責任感の強い彼のことだ。周囲の期待は痛いほど感じていたに違いない。

 だからこそ、フィニッシュだけでなく組み立てにも顔を出し、前線からの守備もサボらなかった。ひとりで何役もこなし、「それがチームのためになると思ってやっている」と語った。三浦の欠場で回ってきたキャプテンマークは、以前から彼の腕に巻かれていたものだったかのように似合っていた。

 そんな状況のなか、南野は随所で別格の勝負強さを披露した。韓国戦で奪った2ゴール、これ以上ないほどプレッシャーのかかる北朝鮮戦での同点PK弾などは、その最たる例だ。自身は韓国戦の2点目に大きな自信と手応えを感じていたようだが、それは周囲と息が合った崩しから生まれたゴールという理由だけでなく、エースとして「チームを救うゴール」になったからだろう。

 それでも、世界への切符は掴めなかった。しかも、自分が蹴ったPKでチームの敗退を決めてしまった。ペナルティスポットでしばらく呆然とする南野を見て、勝負の世界の厳しさを感じずにはいられなかった。
敗れた北朝鮮戦後、この試合から新たに加わった取材陣のものを含め、多くのテープレコーダーが彼を一斉に囲む。

「悔しさしかないです」
「自分がPKを決めていれば、勝てていた」

 うつむきながらも口から出るのは、自責の言葉ばかりだった。

 さらに、現状をどう消化すべきかを問われた南野は、「個人個人が受け止めていくしかない」と声を振り絞り、次のように続けた。

「自分は常に高い目標を持って、オリンピックも、A代表も目指してやっていきたい」

 サポーターからの労いの言葉を受けて、静かにバスに乗り込む。去りゆくバスの最後方では、手で顔を覆う南野の姿があった。ネピドーの悔しさを力に変えて、若獅子はさらに成長速度を上げるはずだ。

取材・文:増山直樹(サッカーダイジェスト編集部)