トーマス・トゥヘル監督【写真:Getty Images】

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ローテーションが問われる試合

 ヨーロッパリーグ(EL)グループステージ第2節、ドルトムントはアウェイでギリシャのPAOKサロニキと対戦する。しかし、中2日で控えるのはバイエルンとの大一番。トーマス・トゥヘル監督は香川真司ら主力5人を帯同させないことを選択した。

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 2015年9月29日、バイエルン・ミュンヘンは圧巻のフットボールでディナモ・ザグレブを一蹴した。DFラインをセンターサークルの前に押し上げ、クロアチア王者を圧倒する。5-0。欧州チャンピオンズリーグのグループFを2連勝した。ブンデスリーガでボルシア・ドルトムントをホームに迎える、5日前のことだ。

 ドルトムントは10月1日にアウェイでPAOKサロニキと対戦する。ヨーロッパリーグのグループC第2節を、ギリシャで戦う。ミュンヘンで行われるバイエルン戦の3日前のことである。

 9月30日付の『シュポルトビルト』誌は、来たるバイエルン対ドルトムントを「トゥヘルの最初の決戦」と記した。サロニキ戦は、その前哨戦ということになる。

 もちろん、サロニキ戦はELの重要な試合であり、ゲームの価値はバイエルン戦に劣らない。どちらも90分間だ。前節ダルムシュタット戦の後で、香川真司は「まずはヨーロッパリーグのことを考える」と言葉を残した。

 しかし同時に、香川も「意識せざるを得ない」と言うように、次に控えるバイエルンを度外視してサロニキとの90分間に臨むのは得策ではない。「決戦」に向けての猶予は、バイエルンが中4日であるのに対して、ドルトムントは中2日である。バイエルンはCLをホームで戦った。ドルトムントはELをアウェイで戦う。

 要するに、BVBにとってサロニキ戦は、選手のやり繰り=ローテーションが問われる試合、ということだ。

フンメルス、ソクラティス、香川、ギュンドアン、オーバメヤンが欠場

 PAOKサロニキについて、『キッカー』特別号は「刷新と若返り」と記した。今季から、元クロアチア代表のイゴール・トゥドルが指揮を取る。98年のフランスW杯、06年のドイツW杯では日本代表の前に立ち塞がったトゥドルを迎え、今夏は主に27歳以下の選手と契約した。新監督を迎えて変革の時期にあるという点では、BVBと似ているかもしれない。

 ギリシャ・スーパーリーグでは、9月に入って3連勝を飾っている。現在は3位に付け、好調を維持している。ベンチには、レバークーゼンでCL準優勝を経験し、マンチェスター・ユナイテッドやモナコを転戦したディミトール・ベルバトフが控える。

 冊子『トランスファーマルクト2015/16』によれば、ドルトムントとサロニキの市場価値の差は、2億8750万ユーロ(約385億円):3270万ユーロ(約43億7500万円)であるが、少なくとも簡単な相手ではない。

 ドルトムントは30日の午後、5人の選手がテッサロニキ行きトルコ航空TK3316便に同乗しないことを発表した。「リカバリー・タイム」が与えられることを名目に、フンメルス、ソクラティス、香川、ギュンドアン、オーバメヤンは、サロニキ戦に帯同しない。5人のキー・プレイヤーを欠いて、サロニキ戦に臨む。

チーム成熟へ重要な一戦

 ギリシャ遠征に帯同しない5人の中では、特に香川とギュンドアンが重要になる。17日のクラスノダール戦では香川が、23日のホッフェンハイム戦ではギュンドアンがベンチスタートしたドルトムントは、いつもの「リズム」を失った。クラスノダールには2-1で辛勝し、ホッフェンハイムとは2-2のドローに終わっている。

 今のところBVBがリズム=好調を維持するには、中盤の構成が香川、ギュンドアン、そしてバイグルである必要があるのだ。香川とギュンドアンを欠いて、リズムを保てるか。まさにサロニキ戦は、トゥヘルの手腕が問われる試合なのである。

 バイエルンの監督グアルディオラはザグレブ戦で、マインツ戦から先発を4人入れ替えた。ペップは、キミッヒ、ゲッツェ、ボアテング、ベルナトを試合開始からピッチに送り込んだ。それでいて、バイエルンのサッカーのクオリティは衰えない。ザグレブの指揮官マミッチは「強さを見せつけられた」と舌を巻いた。

 もちろんペップは監督に就任して3年目であり、トゥヘルは1年目という違いはある。しかしこの先トゥヘルが、さらにBVBをチームとして成熟させていけるかという意味でも、PAOKサロニキとのELグループC第2節は、重要なゲームとなりそうだ。

text by 本田千尋