米金融政策当局者たちが年内の金利利上げ開始を繰り返し公言してきたなか、17日に行なわれた米連邦公開市場委員会(FOMC)で、米連邦準備制度理事会(FRB)は、金利引き上げ見送りを発表。相場の先行きに不透明感が漂っている。

 米の利上げ観測と中国景気の減速不安は、日本の株式市場にも大きな影響を与えている。8月下旬にはわずか4営業日で日経平均株価は2千円超も下落し、9月に入ってからは1万7500円を割った。今回はアベノミクスが始まって以来4回目の暴落だ。このまま軟調な相場は続くのか。専門家に話を聞くと楽観的な声が聞こえてきた。

 岡三証券投資戦略部のストラテジスト・小川佳紀氏が言う。

「GDPだけ見ると、いちばん良いのはアメリカ。しかし、東証1部市場に上場している日本企業の今期の増益率は30%弱の予定で、米S&P500に採用されている企業の増益率は0.8%程度。ストックス欧州600は8%くらい。マクロ環境と企業のミクロの数字はギャップがあり、企業業績では日本がいちばん良い」

 日本企業には円安と原油安の追い風が吹いているという。日本の株式市場にとって明るい材料はまだある。

 まず、安倍政権の景気てこ入れ策だ。安全保障関連法の成立に突き進んだ結果、安倍内閣の支持率は急落し、今はどこの世論調査でも不支持が支持を上回っている。このままでは来年夏の参院選は戦えない。安倍晋三首相は24日の記者会見で「アベノミクスは第2ステージに移る」と述べ、経済政策を最優先に取り組む姿勢を示した。強引にでも支持率回復のために手を打ってくるのではないか。安倍首相の政策ブレーンである本田悦朗内閣官房参与は株価急落前から最大3兆5千億円規模の景気対策を打つべきと話している。

 次に、日本郵政3社(日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険)の11月4日上場だ。売り出し規模は3社合計で約1兆3800億円になる。郵政株の売却資金は東日本大震災の復興財源に充てられることになっているので、上場がうまくいかないと政府は困る。また、2回目、3回目の売却もしづらくなる。政府は何が何でも郵政株に人気が集まるよう策を講じてくるはずだ。

 SBI証券投資調査部のシニアマーケットアナリスト・藤本誠之氏は郵政株についてこう話す。「私なら、株購入のおまけにハガキでも付けたらと提案する。ハガキは印刷費だけなので(笑)。今回の上場で個人投資家が新たに50万〜60万人誕生するといわれており、やはり市場に与える影響は大きい。新規の個人投資家たちが成功体験を得れば、さらに投資に前向きになるだろう」

 では、年末あるいは年度末にかけて、株価はどうなるのか。取材をまとめると、外部環境が落ち着けば、堅調な企業業績を背景に日経平均は再び上昇するとの見方が多い。

 10月以降の日経平均は上昇に向かうと話すのは藤本氏。年末にかけて2万円を回復して、6月に付けた高値水準(2万952円)もあり得るとの見方だ。

 上場企業の第2四半期(7〜9月)決算は11月半ばに発表される。第1四半期(4〜6月)の経常利益は2桁増益で良かったが、

「良い会社でも『4分の1しか終わっていないので先行きはわからない』と上方修正しなかった。7〜9月が終われば、中国問題があっても『下期も何とかなる』という会社は上方修正してくる」(藤本氏)

 楽天証券経済研究所長の窪田真之氏も年末にかけて2万円近くまで戻すと見る。

「日経平均が急落しているときに外国人が1兆円以上売り、個人投資家が1兆円以上買っている。世界経済の不安からの外国人売りが止まれば、日経平均は急反発する。来年になれば、日経平均の上昇も加速するだろうが、年内は中国と米利上げへの不安が続くので、急落と急騰を繰り返すのではないか。来年3月には2万2千円まで回復もあり得る」

 小川氏は1万9千円台まで回復すると予想し、「売られすぎた反動があり、1万9500円から1万7500円の幅で動くのでは。2万円まで回復するにはもう少し時間がかかると思う」と語る。

週刊朝日 2015年10月9日号より抜粋