Doctors Me(ドクターズミー)- 【Dr.野菜ソムリエのコラム】vol.11: 生で食べる?加熱して食べる?万能野菜「タマネギ」

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秋が深まるにつれて、煮物、汁物、揚げ物を調理する機会も増えると思いますが、これらにタマネギを加えると、旨みと甘みがぐんと増しますね。

今日は、万能野菜であるタマネギのクイズから始めましょう。

タマネギの刺激臭は何のため?

タマネギの辛みと刺激臭は、アリシンという物質によるものです。アリシンは、タマネギが含むアリインが酵素のはたらきで変化したものですが、それではなぜ、タマネギはアリインを持っているのでしょうか?次の選択肢から選んでください。

(1)動物による害を避けるため
(2)高温に耐えるため
(3)養分を多く貯蔵するため
(4)まわりの土をタマネギの生育に好都合な土に変えるため

答えは・・・

答え
(1)動物による害を避けるため

虫などによってタマネギがかじられると、傷つけられた細胞から分泌された酵素アリナーゼが、アリインをアリシンに変えます。アリシンには刺激臭があるため、虫もそれ以上近寄れなくなるのです。

同様に、渋柿の渋み、ゴボウのえぐみ、ゴーヤの苦みなども、動物から身を守るための手段といわれています。これらの植物には、熟すと逆に甘みを増すものがありますが、これは動物に食べてもらうことで種が運ばれ、子孫を増やせるという利点があるからです。自ら動くことができない植物の知恵ですね。

脳梗塞予防には生で、抗老化には加熱でも

タマネギの辛み物質であるアリシンには、血液成分の血小板が血管内でかたまるのを防ぐはたらき、「抗血小板作用」があります。つまり、動脈がつまることで起きる脳梗塞や虚血性心疾患などの予防に役立つのです。

ただし、アリシンは熱に大変弱く、3-6分の加熱で壊れ、抗血小板作用はなくなります。そして、10分以上加熱したタマネギには、むしろ血小板がかたまりやすくなる要素が増えてきてしまいます[※1]。脳梗塞や虚血性心疾患の予防を目的に食べる場合には、生でも食べやすい白タマネギや赤タマネギの摂取をおすすめします。

一方、タマネギに含まれる栄養素ケルセチンは、加熱してもその効果は失われません。ケルセチンには、老化の原因物質である活性酸素種を除去する能力がビタミンCの6倍あります。

線虫という動物の実験では、ケルセチンが老化を調節する遺伝子にはたらきかけることで、線虫の寿命が1.2倍になりました[※2]。

ケルセチンの抗老化作用は、サプリメントで摂取するより、タマネギで摂取するほうが強く発揮されます[※3]。野菜そのものを楽しみながら、アンチエイジングも期待できますね。ケルセチンの含有量は、熟成期間が7ヶ月程度の長期間のもので多くなります[※4]ので、じっくり寝かせたタマネギを選びましょう。

ペコロスの糖度は11度


写真は、密度の高い状態で生育された小さなタマネギ、北海道産“ペコロス”を使ったチャンプルーです。ペコロスも味の染み込みがよいですが、普通のタマネギ(糖度8-9度)と比べて甘味が強いのが特徴です。

緑色のものは、旬を迎えた沖縄産“四角豆”ですが、歯ごたえがよく、クセがないので、炒め物に使いやすい野菜です。

貯蔵後に出荷された黄タマネギは、多湿の冷蔵野菜室での保存に向きません。新聞紙で包み、常温で暗く、風が通る場所につるすと、1-2か月保存できます。

一方、白タマネギは水分が多く傷みやすいため、冷蔵野菜室で保存しましょう。

〜医師:吉田 菜穂子〜

脚注
[※1] Hansen et al. Nutrition Journal 2012; doi:10.1186/1475-2891-11-76
[※2] Si et al. J Nutr Biochem. 2014; 25(6): 581-591.
[※3] Azuma et al. J Clin Biochem Nutr. 2007 March; 40(2): 131-140.
[※4] Sharma K, et al. J Food Sci Technol. 2015; 52(4):2157-2165.