シリアとの大一番の後には、イラン戦が待っている。シリア戦と違って、こちらは親善試合。アジア最終予選で顔を合わせるかもしれない強豪相手のゲームは、絶好のテストになるはずだ。
 
 仮に、6人交代が認められた親善試合でも“いつものメンバー”が並ぶようなら、チームには停滞感が漂う。つまり、この試合で求められるのは、結果に加えて、今後に期待を抱かせるような新戦力の発掘である。
 
 その意味で言えば、前述の清武だけでなく、ハリルホジッチ体制下で未招集のヨーロッパ組が面白い存在になるかもしれない。ザルツブルクの南野拓実やヤングボーイズの久保裕也あたりは、声がかかってもおかしくない人材だ。
 
 U-22日本代表の主力となっているふたりは、攻撃的なポジションであればどこでもこなせるユーティリティ。個人での打開力も高く、ハリルホジッチ監督が志向する縦に早い攻撃への適応にも問題はない。
 
 本格的なA代表合流は、来年のリオ五輪後になるかもしれないが、いずれは岡崎や本田、香川の後釜を担うべき彼らを、今のうちからチームに取り込んでおけば世代交代がスムーズに進められる。
 
 シリア戦には従来のスタメンで挑み、イラン戦ではテストを重視する――。指揮官がそんなシナリオを描いているのであれば、南野や久保をはじめとする若手のサプライズ招集は十分に有り得る。
 
 今回はワールドカップ予選の大一番と親善試合という、性質の異なる2連戦なだけに、23人以上の選手を招集してもいいだろう。多くの選手を代表の空気に触れさせ、ポジション争いを活性化するためにも、ハリルホジッチ監督には思い切った判断を期待したいところだ。
 
文:五十嵐創(サッカーダイジェストWEB編集部)