「なぜそうも簡単に人を殺すんだよ! 死んでしまえ!」
直情的な男、カミーユ・ビダン。相手が上官であっても女であっても、腹が立ったら即殴る。彼に殴られた男女は10人を超える。


『機動戦士Zガンダム』は、登場人物がよく殴り、殴られる。数えてみたら全50話で81発だった。いったい誰がどれだけ殴られているのか。

集計結果をTOP10形式で紹介していく。カウントのルールは以下の通り。
ランキングは殴られた回数で決定。
●キック・チョップも回数に含む。一本背負い・物を投げる・武器を使うのは無効。
●視認できたものだけをカウント。音しか聞こえない画面外のやり取りは無効。
●名前が設定されていないモブキャラは対象外とする。

ランキングは以下の通りになった。


第10位 マトッシュ(憲兵隊の人)


第1話で暴力事件を起こしたカミーユを取り調べた男。生意気な態度のカミーユに分厚いファイルを投げつけた仕返しでハイキックを受け、壁に顔をぶつけてしまった。
1発もらって10位にランクイン(このほかにもフォウ、ウォン、シロッコ、サラ、トーレスが1発殴られている。マトッシュはファイルを投げつけたり、警棒のようなものでカミーユを叩いており、このなかでは一番見せ場が多い)。

第6位 レコア・ロンド


人生を変える一発をもらったレコアさん。
敵地への潜入任務でシロッコに見つかってしまう。頬を撫でて舐めるように顔を眺め、不敵な笑みを浮かべてくる。思わず手を振り払ったレコアさんはビンタを受けた。殴ったあとに肩をつかみ、良い旅になることを祈ると言うシロッコは、レコアさんをそのまま逃がしてくれた。これをきっかけにシロッコに興味を持ち、敵組織に寝返ることになる。
レコアさんを優しく気遣い、女扱いするシロッコ。しかし、心根ではレコアさんを戦いの手駒の一つとしか考えていなかった。
「エマ中尉分かってよ、男たちは戦いばかりで女を道具に使うことしか思いつかない、もしくは女を辱めることしか知らないのよ……!」
レコアさんの最期の言葉である。41話では、コロニーに向かって毒ガスを撒く作戦に難色を示し、バスク大佐から拳で殴られるシーンもあった。2発で第6位。

第6位 シャア・アズナブル


2発。どちらもカミーユの怒りを買い、助走をつけて殴られた。
「これが、若さか……」
「サボテンが、花をつけている……」
それぞれの殴られた後のリアクション。一度目は身分を偽っていたこと、二度目はレコアさんを大事にしてこなかったことに腹を立てられて。言い訳をするわけでもなく、怒るわけでもなく、突拍子のないことを口走るシャアにカミーユは何も言い返せなかった。

第6位 ファ・ユイリィ


22話でろくに訓練を積まずに戦場に出てしまったため、エマ中尉から連続ビンタを受けた。
ピシッ!! 「わたくしの感情で戦場を乱されては、たまらないと言っているのよ」
「分かっております。しかし人間は感情の動物です」バシッ!!
口答えをして2発目をもらってしまった。グーで殴ったような音だったがビンタである。

第6位 サエグサ


「やっちまえ! 地球でヒーローになったつもりなんだろ」
21話でトーレスとカミーユの殴り合いに野次をとばす。逆上したカミーユに殴られるも、トーレスの援護で攻守逆転し馬乗りに。まさにこれから殴ろうとしていたところで、仲裁に入ったブライト艦長に殴られた。殴られた回数2で第6位。

第3位 アムロ・レイ


4発殴られて第3位。第17話、ルオ商会のマフィアとのバトル。ミライさん親子とベルトーチカが逃げる時間を稼ぐために戦った。
序盤に腹、顔を殴られて反撃。懐に飛び込んで馬乗りになり、右に左に殴りつける。しかし、加勢に来たマフィアに放り投げられてしまった。今度は別のマフィアにとびかかって馬乗りになるが、パンチをもらってダウン。踏みつけられてしまった。
「逃げるんだ! 早く! 逃げるんだ!」
殴られながらもずっとミライさんたちを気遣っていた。

第3位 ジェリド・メサ


ジェリドも人生を変える一発をもらった一人。
「女の名前なのに。なんだ男か」
カミーユの名前を馬鹿にして殴られた。暴行を加えたカミーユはMPに捕まるも、ガンダムMk-IIを盗んで逃走。ジェリドはカミーユに親友、師匠、恋人を殺され、自らの命も奪われる。
「カミーユ、貴様は俺の……」
カミーユに討たれて話途中で爆死。作者いわく、この後には「すべてを奪った」が続くはずだった。
地球連邦軍一般兵に殴られ、ヤザンにビンタされ、ライラ・ミラ・ライラにはドロップキックされた。合計4発。ライラのドロップキックとカミーユのパンチは顎に直撃している。195cmの長身で顎も長いジェリド。顎被弾率は50%で作中最大の数字。

第3位 カツ・コバヤシ


殴られても人生を変えられなかったカツ。ミーティングをサボって女の子の部屋を監視カメラで覗いていた。カミーユに見つかってビンタされた瞬間、すごい量のヨダレが飛び散った。
「こんな気持ちのままで戦えっていうんですか!?」
「戦いに集中できなければ、死ぬのはお前なんだぞ!」
最期はよそ見運転で隕石にぶつかって敵に討たれた。
ほかにはジオン兵に1発、父親のハヤトから2発殴られている。作戦にケチをつけブライトのビンタをかわすシーンもあった。

第2位 ブライト・ノア


第2話でティターンズのやり方に異議を唱えたブライト。正規の連邦軍とはやり方が違うのだとバスク大佐から殴られる。
画面外から滑り込むように登場してきたカクリコンからもビンタ。モブキャラにも殴られ、倒れるブライト。よってたかって踏みつけられたり蹴られたり。目視できたのは7発だけだが、画面外でビシバシと音が聞こえていたのを考えると、本当はもっと暴力を受けている。次の回で大きな絆創膏を左顎、鼻、おでこ右側につけて登場していた。集団リンチで第2位。

第1位 カミーユ・ビダン


第1話開始3分で空手部の先輩から殴られた主人公。仮病を使って部活をサボろうとしていたためである。平然と走り去っていくのをみると、普段から殴られ慣れている様子。
第9話ではミーティングに遅刻。ウォンさんから怒りのビンタを受けた。弁解に聞く耳を持たずキックしてくるウォンさんに、カミーユは得意の空手で応戦するがカウンターをもらってダウン。さらに追い打ちの蹴りが顎に直撃して白目をむいてしまう。
「つべこべつべこべと! なぜごめんなさいと言えんのだ!」
最後はお腹に蹴りが入って失神KO。ウォンさんのカンフースタイルに敗北(7発やられた)。目を覚ました後、エマ中尉にもビンタされた(エマさんは作中で4回カミーユをビンタしている)。
このほかにカミーユに暴力を振るった名前のある人たちは、ジェリド、お父さん、ステファニー、トーレス、マウアー、ファ、シャア、フォウの8名である。26発でダントツ1位。全殴られの30%を占める。

1話ごとに誰かが殴られた回数をグラフ化してみた。


一度も殴られない話は全部で22話あった


話が進むにつれて徐々に山が小さくなっているのが分かる。3話に1回は暴力のあった今作だが、終盤4話は連続で0が並ぶ。付き合いが長くなるにつれて怒ったり怒られたりする回数は確実に減ってくる。
サザエさんの場合もそうである。カツオは現在でも時々悪さをすることがあるが、波平は怒鳴っておしまい。しかし一昔前は、げんこつを浴びせたり暗い物置に閉じ込めたりすることも多かった。年々2人の関係はマイルドになってきている。

10月4日(日)17時よりMBS/TBS系列全国28局ネットからガンダム新シリーズ『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』が放送される。時代が時代なので、殴った、殴られたのやり取りはほとんどないと思う。

(山川悠)