ドイツのマインツでク・ジャチョルやパク・チュホとチームメイトだった岡崎は、韓国のファンたちの間でも広く知れられている。(C) Getty Images

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 日本同様に海外リーグへの人気と関心が高い韓国。特にプレミアリーグの人気は絶大だ。2005年にパク・チソンがマンチェスター·ユナイテッドに移籍したことを機に、韓国ではプレミアリーグがテレビ中継されるようになり、07年にはイングランドの専門誌『Four Four Two』の提携ライセンス誌として『Four Four Two KOREA』も創刊された。
 
 パク・チソンに続く形で、イ・ヨンピョ(トッテナム)、ソル·ギヒョン(レディング)、イ・ドングッ(ミドルスブラ)、キム・ドゥヒョン、(WBA)、チョ・ウォンヒ(ウィガン)、パク・チュヨン(アーセナル)、チ・ドンウォン(サンダーランド)、ユン・ソギョン(QPR)、キム・ボギョン(ウィガン)らがイングランドに挑戦し、現在もキ・ソンヨン(スウォンジー)、イ・チョンヨン(クリスタル・パレス)らがプレミアリーグでプレーしている。
 
 そんなプレミアリーグに“次世代エース”ソン・フンミン(トッテナム)が進出したこともあって、韓国のプレミア人気はさらに盛り上がっている。韓国は9月26日から29日まで年に一度の大型連休である“秋夕(チュソク)”シーズンにあったが、26日に行なわれたトッテナム対マンチェスター・シティの一戦はケーブルテレビ局『SBSスポーツ』での生中継だったにもかかわらず、3.17パーセントの視聴率を記録した。
 
 「スーパーマッチ」「韓国版クラシコ」と呼ばれるKリーグのFCソウル対水原三星の試合(9月19日)が国営放送KBSでの生中継でも1.7パーセントだったことを踏まえると、韓国でのプレミア人気がかなり高いことが分かるだろう。
 
 そんな韓国のメディアやファンたちは、今季からレスターに移籍した岡崎慎司をどう見ているか。6月に移籍が発表された当時は、「岡崎慎司、レスター行き」と各メディアが一斉に報じた。
 
 マインツでク・ジャチョル、パク・チュホとチームメイトだった岡崎は韓国のファンたちの間でも広く知れられており、「ついにプレミアリーグに行くのか。活動量があり本当に一生懸命プレーするし、勝負根性がある選手」「日本の選手のなかでも好きな選手」とツイートするファンも多かった。
 サッカー専門メディア『FOOTBALLIST』などは、「短所ない岡崎、英国でも通じるはずだ」というコラムも掲載されたほど。そのなかで記事は岡崎をこう評価している。
 
「岡崎は目立った長所を探すことが難しい。爆発的なスピードがあったり、シュート力が優れているわけではない。技術も身体条件にも恵まれているわけではない。だが、短所を探すことも難しい。
 
 彼のもっとも素晴らしい能力は、活動量と決定力だ。最前線から2列目の左右サイドまで幅広く動き、チャンスを簡単に逃さない。(中略)今までプレミアリーグは日本人アタッカーの墓場だった。古くは稲本潤一、最近では香川真司がプレミア適応に失敗した。稲本はトップクラスではなく、香川は身体条件とテンポを克服することができなかった。しかし、岡崎は違う」
 
 目を引いたのはこの記事にぶら下がっていたいくつかのコメントだ。日本への対抗意識から一部には「ソン・フンミンのほうが上」などの感情的なコメントもあったが、「日本の選手だが、脱アジア選手であることは明らか。ブンデスでもトップレベルのアタッカーだった」「極東アジア出身のストライカーたちが現実的なロールモデルにすべき選手」「いろいろと総合すると、“アジアのテベス”という表現が似合う」との肯定的な意見が多かった。それだけ岡崎が韓国でも評価されていると判断してもいいだろう。
 
 ただ、開幕から6試合を終えた9月22日、「プレミアリーグ序盤成績、最高の補強は誰?」と題した記事を掲載した総合メディア『Oh my News』は、こう評している。
 
「マインツでも活躍した岡崎はプレミアリーグ進出後1得点。試合に出場はしているが、もう少し印象的なプレーとゴールを見せる必要があるだろう」
 
 ちなみにソン・フンミンもリーグ戦ではまだ1得点。年齢やプレースタイルは異なるが、ブンデスリーガ時代から得点記録がなにかと比較されてきたふたりだけに、今後シーズンが深まっていけば、ますます比較される頻度が増えていくことだろう。プレミアを注視する韓国のメディアとファンは岡崎をどう評価していくのか。注目していきたい。
 
文:慎 武宏
シン・ムグァン/1971年、東京都生まれ。韓国サッカー取材歴20年。近著に歴代コリアンJリーガーへのインタビュー集『イルボン(日本)はライバルか 韓国人Jリーガー28人の本音』(ピッチコミュニケーションズ)。