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米Salesforceが創業16年目にして、大規模な改革を進めている。「Lightning」という新しいユーザーインタフェース技術だ。2014年秋の自社イベント「Dreamforce 2014」で発表されたもので、9月18日まで米サンフランシスコで開催した今年のDreamforceでも大きなトピックとなった。なんでも、故Steve Jobes氏のアドバイスからインスピレーションを得たものだという。

Salesforceは主力製品の営業支援「Sales Cloud」を中心に、顧客サービス「Service Cloud」、マーケティング「Marketing Cloud」、分析ツール「Analytics Cloud」、コラボレーションの「Chatter」、そして今年のDreamforceで加わった「IoT Cloud」を持つ。

Amazonのように使いやすく、Webブラウザで利用できる業務アプリケーションを、創業時から目標を掲げてきたが、この間も、モバイル、ソーシャル、データサイエンスなどのトレンドに応じて適宜機能を追加してきた。Lightningでは、ユーザーが直接触れるユーザーインタフェースや体験の刷新とあって、すべての顧客に影響が及ぶことになる。

Salesforceのユーザーインタフェース改革は複数年に渡るプロジェクトとなる。2013年に「Salesforce1」としてモバイル向けのユーザー体験を提供、2014年にはLightningのプラットフォーム部分を構成する「Lightning App Builder」と「Lightning Components」を発表、そして今年は「Lightning Experience」と「Lightning Design System」が登場した。

Lightning Experienceはデスクトップ、スマートフォンやタブレット、そしてスマートウォッチなどでシームレスに直感的なユーザー体験を提供、これを利用してSalesforceの情報にアクセスできる。カスタマイズ性も備えており、顧客のニーズに合わせたLightning体験を構築できるという。Sales Cloud担当執行バイスプレジデント、Mike Rosenbaum氏によると「中核のSalesforceプラットフォームにとって最も重要なリリースになる」という。

このLightningを最初に導入するのがSales Cloudだ。8月に発表されたもので、Rosenbaum氏は、プレス向けのセッションで「ユーザー数が最も多いフラッグシップ製品であるSales Cloudからスタートし、ユースケースを作っていく」とした。

メイン画面からのナビゲーションとしては、左のメニューと検索の2つの方法を提供する。支援機能により、次のステップを示したり、アラートで先にやるべきことを知らせてくれる。抱えている案件を表示するページでは、フィルタイングにより表示を調整したり、営業の段階別に案件を表示することも可能。分析が組み込まれているため、クリックすると詳細をチャートで表示してくれる。ドラッグ&ドロップによる並び替えなど、コンシューマー向けのサービスの感覚で営業支援ツールを利用できる。

「より高速に、より効率的に、よりスマートな営業活動を支援し、自分の望む方法で利用できる」とRosenbaum氏はメリットをまとめる。

Lightningに新たに加わるもう1つの要素となるLightning Design Systemは、アプリ構築の新しい方法となる。Rosenbaum氏は、「GoogleがGoogle Material Designを提供するのと同じ」と形容する。Salesforceおよびパートナー、そして開発者が容易にモダンなユーザー体験を構築できるという。

Salesforceはまた、Lightningベースの新しい業界特化型アプリ「Financial Services Cloud」「Health Cloud」も発表している。

このように、大掛かりな取り組みを進めるSalesforceだが、既存のUIで問題点を感じていたのかという質問に対しRosenbaums氏は、「15万社以上がSalesforceを利用しており、クラウドでは最も成功したUIだ。だがモダンなインタフェースが向かっている方向、それにHTML5やCSS3などの技術側の進展をみたとき、簡単に使えるUIの潜在性は大きいと考えた」と話す。また、「顧客企業のエンドユーザーはコンシューマー向けのサービスやアプリを利用しており(トレンドは無視できない)、われわれはこの分野の動向を見ている」とも答えた。

Lightning開発を統括したSalesforceの共同創業者Paker Harris氏は「創業して以来、最大の変化」と意気込む。そして、共同創業者兼CEOのMarc Benioff氏とともにAppleのSteve Jobs氏を訪ねた際にもらったアドバイスがインスピレーションになったことを明かした。「Jobs氏はモバイル向けに最初に体験を構築するようにと助言してくれた」とHarris氏。Harris氏は、MicrosoftのCEO、Satya Nadella氏がイベント中、スマートフォンにキーボードと画面を接続してデモを行ったことにも触れ、「コンピューティングが変わっており、われわれも考えを変えていく必要がある」と述べた。

(末岡洋子)