パ・リーグ主義で行こう! 
「選手プロデュース弁当」徹底比較 
◆第1回ソフトバンク・オリックス編

 ここ数ヵ月、ファンサービスに力を入れるパ・リーグ各球場に行って、ひたすら「選手プロデュース弁当」を食べ続けた。誰かに命じられたわけではない。無理強いされたわけでもない。では、「一体、何のために?」と、問われれば、「そこに弁当があるから」としか答えようがない。

 初めは軽い気持ちで始めたものの、いざ食べてみると、意外とキツイことに気がついた。「選手の大好物」、あるいは「選手出身地の郷土料理」が詰まったプロデュース弁当は、基本的に肉料理中心で、野菜がほとんどない。さらに、一流アスリートの胃袋を満たすことを主眼に置いているためか、味付けは濃く、ハイカロリー・ハイ塩分がデフォルト。僕のように、中性脂肪が高めの中年男性にとって、決して身体に優しくないメニューが並んでいたのだ。

 それでも、ひたすら食べ続けた。開門直後に1個目の弁当を食べ、試合終盤に2個目の弁当を食べたこともある。「オレは何でこんな苦行に挑んでいるのだ?」と自問自答したことは一度や二度ではない。それでも食べ続けた。なぜなら、そこに弁当があるからだ。パ・リーグ各球団の「選手プロデュース弁当」を、球団別に3回にわたってご紹介したい。

【ソフトバンク】
 各球団が凝った弁当名なのに対して、ソフトバンクの場合は「内川弁当」「柳田弁当」「松坂弁当」など、「選手名+弁当」というシンプルなネーミング。価格はおおむね1300円で、一部1500円。パッケージに選手の写真が描かれているものの、「選手ステッカー」あるいは「選手カード」などのオマケはなし。コンビニ弁当はもちろん、駅弁よりも割高なのだから、もう少し球場弁当ならではの「スペシャル感」がほしいもの。とは言え、例外的に「今宮弁当(1300円)」には、アイドルのようににっこりとほほ笑む「今宮カード」が付いていた。

 最初にご紹介したいのが「松坂弁当(1500円)」。通常の選手弁当が1300円なのに、松坂大輔は、「工藤監督弁当」「松田弁当」と並ぶ1500円という強気の設定。割高なのは、松坂獲得資金回収のためなのか? 他の弁当との決定的な違いは弁当箱の材質だ。他の選手弁当が紙製なのに対して、松坂弁当はプラスチック製の頑丈なもの。

 ワクワクしながらふたを開けてみる。すると、説明書きが添えられている。そこには内容紹介とともにこんな一文が。

『松坂選手が活躍した横浜とアメリカにちなんだ食材を詰め込みました』

 横浜高校、そしてメジャー時代のことを指しているのか。通算108勝をマークし、最も活躍した「埼玉時代(西武ライオンズ時代)」を黙殺しているのはライバル球団としてはやむを得ないところか? 気になる中身だが、他の弁当とは一線を画す高級ビーフを使った「USビーフのBBQソース焼」をメインに、横浜中華街をイメージしたのか、「チャーハン」、さらに「黒豚しゅうまい」が4個も。特筆すべきは「マンゴープリン」と「ワッフル」だ。デザートの入った弁当は数多くあるけれど、2種類もスイーツが入っていたのは松坂弁当だけだ。「だから太るんだよ!」というファンの不満の声が聞こえたような気がした。

 また、「柳田弁当(1300円)」は別名「焼き魚好きっス弁当」と名付けられ、「柳田選手の大好きな魚を中心に作りました」と書かれていて、甘塩鮭、鯖照焼、鰆西京焼とまさかの焼き魚3連発! さらに、出身地・広島名産の桜ハムやもみじ饅頭が並ぶ。「今宮弁当」はとり飯、とり天、カレー、ハンバーグ(スクランブルエッグのせ)、唐揚げ、ナポリタンなどが入り、最も「お子様ランチ的」な子ども好みのメニューが並ぶ弁当だった。

【オリックス】
 ソフトバンクの選手プロデュース弁当が通年で販売されていたのに対して、オリックスは期間限定で、弁当という形式ではなく、各選手が自らプロデュースしたメニューが並ぶ。また、他球団のように選手が描かれた弁当箱や容器は用いられておらず、見た目は他の弁当と何ら変わりないのが残念。もちろん、シールやカード類のオマケもなし。その分、他球団に比べて割安になっているのは良心的。

 この中で、特においしかったのが佐藤達也プロデュースの「サトタツのチーズカレー温玉のせ(900円)」だ。店頭の看板には「このトッピングは子供から大人まで間違いないでしょ!!」と書かれていたけど、まさにその通り。とろ〜りと溶けたチーズに甘い温泉玉子が絡み合い、カレーの辛さを中和してくれる。まさに、子どもも大人も大満足だろう。

 意外性があって、なかなかよかったのが安達了一プロデュースの「あだっちのひもかわうどん(800円)」。安達の出身地である群馬県の名産品で、太麺というより、一反木綿のような幅広麺の「ひもかわうどん」が販売されている。これは名古屋名物きしめんのルーツだとも言われていて、初めて食べたけど、高カロリー食が並ぶ選手プロデュース弁当においては異色。それだけに、アッサリとおいしく食べることができた。

 同じく、疲れた胃に優しかったのは、西野真弘プロデュースの「西野の3種のそぼろ丼(1000円)」。球団公式ホームページに掲載された本人のコメントによれば、「僕の持ち味である『走』・『攻』・『守』の三拍子を3種類のそぼろと掛けてみました! ぜひ食べてください!」とのこと。確かに、卵、鶏、鮭の三拍子そろったこの弁当も子どもからお年寄りまで美味しく食べられるはず。再び販売されることがあれば、ぜひ、おススメしたい。

(つづく。次回は日本ハム・ロッテ編)

長谷川晶一(12球団ファンクラブ評論家(R))●文 text by Hasegawa Shoichi