コンビニ健診で医療費抑制? Rawpixel/ PIXTA(ピクスタ)

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 コンビニエンスストアで気軽に受けられる「コンビニ健診」というものが、2年前から実施されている。メタボリックシンドロームに着目し、病気を予防することを目的とした「特定健診」や「がん検診」などがメニューだ。

 がんや生活習慣病などの早期発見や予防ができる健診が、身近なコンビニで受けられることは、どのようなメリットと成果がもたらしているのだろうか。その実施の背景や成果、利用者の声などを紹介したい。

尼崎市で国内初の"コンビニ健診"

 国内で初めてコンビニ健診を実施したのは、兵庫県尼崎市。大手コンビニチェーン・ローソンと提携し、2013年10〜12月にかけての土日の2日間、計12回に渡って、市内6カ所のローソン店舗の駐車場へ健診車を巡回させた。検査は、質問項目への回答、身体計測、血液検査、血圧測定、尿検査、そして医師の診察だ。

 健診の予約特典としてゴミ袋や糖質とカロリー控えめの「ブランパン」をプレゼントしたこともあってなのか、計248人もの受診につながったという。受診者の年齢は16〜82歳で、16〜39歳が50.2%と半数を占めた。

 費用については、16〜39歳の尼崎市民であれば1000円、22歳以下は無料。40〜74歳でも、尼崎市の国民健康保険加入者と全国健康保険協会加入者は無料。その他の保険加入者は5600円と設定され、市民にとっては費用、アクセスのしやすさの両面で、利用しやすい健診となった。

コンビニ健診の背景〜受診率向上

 コンビニ健診が実施された背景には、「特定健診受診率向上」が狙いとしてある。兵庫県尼崎市の23年度特定健診受診率は39.1%で、受診率目標の60%をかなり下回っている。病気の早期発見・重症化の予防は、高騰する医療費を抑える対策のひとつとなる。

 同市の未受診者に対するアンケート調査結果によれば、受診しない主な理由は、「通院しているため必要ない」「健康だから(健康であると思っているから)」「受診したいが忙しくて行けない」などだったという。このような未受診者のうち、潜在的な重症者をどう掘り起こしていくか――。

 この課題を改善するために実施されたのが、コンビニ健診である。その結果、初めて受診した人の割合は78.7%となり、若者層の未受診者の掘り起こしにもつながった。

佐賀県でも大規模なコンビニ健診

 尼崎市と同じく、特定健診とがん検診の受診率が低迷していた佐賀県でも、九州初の「コンビニ健診」を2014年より実施。国内では、尼崎市に次ぐ2番目となる実施だった。2014年8月に行った第1回目は、予約が殺到。定員120名をはるかに超える、200名が応募したという。

 受診後のアンケートでも「自宅から近くて受けやすい」「子育て中なので助かる」「コンビニのほうが病院より待ち時間が短かった」「日曜日に実施してくれて助かった」など、好評の声が上がっている。特に、コンビニの利点である「身近さ」や「気軽さ」、「情報の入手しやすさ」などが浮き彫りになった。

 ローソンは今年3月、安倍政権の「日本再興戦略」の一環である「健康経営銘柄」のひとつにも選ばれている。健康志向型コンビニの「ナチュラルローソン」を展開するなど、ローソンは業界内でも健康志向を打ち出している。

 「コンビニ×健診」という一見、何ということもない組み合わせ。だが、地域の"健康拠点"という役割は、競争の激しいコンビニ業界を生き抜くひとつのアドバンテージになりそうだ。
(文=編集部)