「Thinkstock」より

写真拡大

 日本の大手マスコミが腐りきっているのは、安保関連法案に関する政権寄りの偏向報道ぶりや権力監視の脆弱性にも見て取れることですが、もっとも特徴的なのは、一般社会関連の報道においても、極端にスポンサーに迎合する体質があるということでしょう。

 例えば、大手新聞やテレビは、金融機関(銀行・証券・生保・損保)や自動車、家電、医薬、化粧品、大手流通(百貨店・スーパー・コンビニ)、人材派遣といった広告出稿量の多い企業に不祥事が起こっても、ただちに大手広告代理店の意向を取り入れ、手心を加えた報道しかしません。役所癒着の記者クラブ向けに発表された摘発事例や事件の場合は、そのままを垂れ流すだけで、独自に深堀りした取材などは行わず、とても気を使っています。

 その一方、広告出稿のない企業は滅多打ちに叩きます。弱きをくじき、強きになびいて助けるのが日本の伝統的な大手マスコミの体質といえるでしょう。

 今回はそうしたなかでも、ほとんど報道されない事例のひとつである「コンビニ本部の悪徳商法」について紹介します。加盟店オーナーに、とんでもない搾取や奴隷労働を強いるコンビニチェーン本部の経営体質そのものに、つくづく疑問を感じるからです。コンビニ本部に騙されたと訴える加盟店オーナーの裁判事例が報じられないままでは、これからも続々と被害に遭うオーナーが増えるばかりです。

 ちなみに、JFA(日本フランチャイズチェーン協会)によれば、2014年のコンビニ全店の売上高は9兆7300億円(前年比3.6%増)、店舗数は12月末時点で5万1814店、年間来店客数は160億5499万人、年間平均客単価は606.1円となっています(JFA加盟チェーンのみ)。

 過去十数年にわたって百貨店や総合スーパーが、売り上げや店舗数を減らす中、コンビニは売り上げ・店舗数ともに増加してきています。とりわけ、上位4社で市場の85%を占め、競争は激化していますが、いずれも概ね好業績を保っているのです。

●裁判で加盟店主が勝った例はほとんどない

 コンビニの加盟店入りを希望する人が最初に本部から聞かされるのは、「コンビニは儲かる」という話です。それを鵜呑みにして加盟店になり、儲からずに借金まみれになったと本部を訴えても、加盟店オーナーが勝訴したという例は、ほとんどありません。

 加盟店が勝訴したのは、「本部の甘い売り上げ予測で開店し、損益分岐点に満たなかったケース」くらいしか見当たらないのです。裁判所では、加盟した店主自身も独立した事業主とみなすため、本部の鉄壁の契約条項を前にして抗えないのが現実なのです。

 したがって、いったん加盟したら自己責任です。契約前に十分契約条項に目を通し、実際の加盟店主や、失敗して借金まみれになった人から実態を聞いてから、加盟の是非を検討することが大切です。借金地獄の連鎖に陥っても、誰も助けてくれないからです。

 そもそもコンビニチェーンの契約条項では、チェーン本部と加盟店主間の契約は「共存共栄」ではありません。加盟店オーナーが圧倒的に不利な片務契約になっているのです。

●トンデモ会計

 例えば、通常の小売業では、「売り上げ」全体から「売上原価」を引いたものが、「粗利益」です。この売上原価には、商品廃棄損や棚卸減耗損(盗難・紛失)も含まれますから、商品廃棄や万引きの多い店では売上原価が上がり、粗利益が少なくなり、下手をすると店は赤字になりかねません。粗利益から、家賃や水道光熱費、人件費が賄われるわけですから当然です。

 しかし、コンビニ加盟店契約における売上原価には、商品廃棄分や盗難・紛失分が含まれません。したがってコンビニ店舗の粗利益は膨らむことになるのです。粗利益が多ければ儲けにつながると思われがちですが、ここからして違うのです。粗利益に対して本部のチャージ率が30〜76%にも及びますから、商品廃棄分が多く万引きや紛失の多い店であっても、本部は痛くも痒くもないという、トンデモ会計なのです。
 
 チャージ率に差があるのは、加盟店契約内容によって差があるからです。オーナーが店舗の土地や建物を自分で用意した場合には、粗利益に対して30〜43%ですが、土地や建物を本部名義で借りる場合や水道光熱費も負担してもらう場合などでは、50〜76%にも及ぶのです。

 本部は販売機会ロスがないように、加盟店に多めに商品発注させ、賞味期限切れの食品はどんどん廃棄させます。もちろん、値引き販売などで見切り処分することは事実上許されません。こうして加盟店主の取り分は減り、おまけに毎日の売上送金を厳守させられ、手元残高がなくなり、買掛金の自動融資が発生すると、いまどき高額の金利負担までさせられるのです。

●閉店すると高額の損害賠償金発生

 そもそも本部は、加盟店からの発注をまとめ、商品仕入れを行います。商品を本部からコンビニ各店舗に配送しますが、その仕入原価は本部の定めたものになっています。本部はまとめて仕入れるため、かなりのバイイング・パワーで相当安く仕入れられるはずです。
 
 しかし、コンビニ各店舗が知らされている商品原価は、意外にも高いものになっています。本部が仕入れ原価に不当な利益を上乗せしているのではないか――。こうした疑念は当然で、本部は明快に答える義務があるはずですが、契約上はそれも認められていないのです。あくまで本部が決めた商品原価が仕入れ原価です。賞味期限切れ廃棄商品代が加盟店主持ちなら、商品仕入れ原価も本部の言いなりというわけなのです。

  加盟店になるには、たいてい家族2人(夫婦or親子)で働けることを条件に初期費用で500〜700万円取られます。そのうえ、契約期間は最低10〜15年を課せられます。儲かると思って、夫婦2人でアルバイトを雇って店を経営しようとしても、近年はコンビニでのアルバイトそのものが敬遠されます。特に中国人留学生の間では、覚えることややることが多くて面倒なアルバイトとしてクチコミで広がり敬遠される傾向が強まっており、日本人アルバイトを確保するだけでも大変な状況です。
 
 アルバイトが集まらなければ、店主やその家族が犠牲になるだけです。睡眠時間も削ってレジに立ち、商品補充と注文作業に明け暮れて、1日3食賞味期限切れの廃棄用弁当類を食べ続けなければなりません。疲れ果てて、夫婦や親子の会話もなくなり、離婚や別居、ノイローゼや鬱になったり、免疫力低下から体調を崩してそのまま入院という事例も散見する有様です。
 
 そこで契約を解除して店舗経営から撤退しようにも、辞めると数百万円の「損害賠償・違約金」が待っています。コンビニの地獄の連鎖に陥ると、辞めたところで高額金利の付いた買掛金の支払いと、解約違約金の借金で首が回らなくなるわけです。

●「儲かっていた店」が一転、「儲からない店」に転落

 もちろん、全国に5万店舗を超えるコンビニ店舗があるわけですから、そんな地獄の連鎖に陥った店舗ばかりではありません。儲かって悠々自適の加盟店オーナーもいます。店舗は雇われ店長に任せ、3〜4店舗と経営する加盟店オーナーもいるのです。
 
 しかし、日商60万円程度で「儲かっている」と安心していると、足をすくわれることもあるのがコンビニ経営の死角なのです。ひとつの店舗の売り上げが好調だと、本部は近隣にもう1店舗出してくるからです。ドミナント戦略といって、同一商圏に店が多いほど配送効率もよく、知名度も上がり、ライバルチェーンの侵入も防げるからです。

 実際、日商80万円以上の売り上げで儲かっていたある加盟店主は、近隣に店を出され、いきなり日商40万円に落ち、青息吐息の経営になったぐらいです。
 
 コンビニの経営者は「一国一城の主」どころか、本部に操られる「奴隷労働」といわれるゆえんでしょう。コンビニチェーンに加盟して開業を考えている方は、もう一度よく検討し、一生涯本部の奴隷になってもよいぐらいの、相当な覚悟で臨むべきといえるのです。
(文=神樹兵輔/マネーコンサルタント)