2ゴールを決めたルイス・スアレス【写真:Getty Images】

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小さくない痛手と思われたダニエウ・アウベスの離脱

 リーガエスパニョーラ第6節、バルセロナはホームに昇格チームのラス・パルマスを迎えて2-1と勝利。この試合でカンプ・ノウのファンを熱くさせたのは、2ゴールのルイス・スアレスではなく、今季から右SBとして起用される地元カタルーニャ出身のセルジ・ロベルトだった。

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 試合開始から9分、メッシが負傷により後退を余儀なくされたバルセロナだったが、最終的にはルイス・スアレスの2ゴールによって2-1と勝利を収めた。

 しかし、カンプ・ノウに詰めかけたファンの胸を熱くさせたのは、100億円のウルグアイ代表FWではなく、地元カタルーニャ州に生まれた23歳の右SBの姿だった。

 バルセロナの右SBといえば、08-09シーズンにセビージャから3550万ユーロ(現在のレートで約48億円)といわれる金額で加入したダニエウ・アウベスがお馴染みとなっている。だが、そのアウベスも32歳。いよいよ次の世代を見つけなければならない時期といえる。

 ところが、今夏は補強禁止処分が科された。アウベスと同じくセビージャからアレイクス・ビダルを1700万ユーロ(約23億円)で獲得したが、2016年1月までは起用不可となっている。

 選手層が不安視される中で、アウベスはビルバオとの開幕戦の18分に負傷後退。代わってピッチに送り出されたのがセルジ・ロベルトだった。この背番号20は、プレシーズンに右SBとしてテストされていたものの、本職は中盤。昨季はインサイドハーフやアンカーとして起用されていた。

 バルサの攻撃にとって、サイドバックの攻撃参加は生命線ともいえるだけに、アウベスの離脱は小さくない痛手になるかと思われた。

安定した働きで穴を埋めた新右SB

 ところが、この開幕戦で72分間プレーしたセルジは、データサイト『Who Scored.com』のレーティングで、決勝点を決めたスアレスよりもアシストのジョルディ・アルバよりも高い評価を得てマン・オブ・ザ・マッチに選出される活躍を見せた。

 ボールを持ってプレーした位置を示す「アクション・エリア」を見ると、チーム全体が自陣に65.54%にとどめられ、普段は敵陣で70%以上を記録する逆サイドのアルバが敵陣25.69%と不本意なプレーとなった中で、セルジは敵陣53.03%と過半数を記録。バルサにとって攻撃のアクセントとして機能していた。

 その後も右SBとして起用されたマラガ戦で67.69%、アトレティコ戦で55.96%、CLローマ戦で64.47%を敵陣でプレーしている。この安定した働きぶりで十分にアウベスの穴を埋めていた。

 ところが、アウベスも復帰し、右インサイドハーフで起用された前節セルタ戦ではチーム全体の低調ぶりとともに自身も存在感を発揮できず。57分にチーム内で最も早い交代を強いられた。

 そして、過密日程でのローテーションの意味合いもあってか、再び右SBとして起用された今回のラス・パルマス戦。セルジは前節の汚名返上とばかりに躍動する姿を見せつけた。

 開始早々にメッシを失ったバルサは、結果こそ2-1で勝利したものの、内容は決して優れたものではなかった。アクション・エリアではまたも自陣に51.25%ととどめられた。昇格チームを相手にカンプ・ノウでの一戦ということを考えると、この数字はあまりにも低い。

攻撃センスを遺憾なく発揮しMOMに選出

 その中でセルジは敵陣63.11%を記録。91回のボールタッチ、70本のパス、両チーム最多5本のクロス、7回の1対1勝利、4度のタックルに2回のインターセプトはアウベスにもアルバにも見劣りしない、まさに「バルサのSB」といった数字が並んでいる。

 さらに24分にはスアレスの先制点をアシスト。また、スアレスの2点目のシーンではペナルティエリア内まで攻め上がっていた。この試合でセルジは、自らの攻撃センスを遺憾なく発揮したといえるだろう。

 そのパフォーマンスを賞賛するようにカンプ・ノウのスタンドはセルジがボールを持てば拍手を送り、『Who Scored.com』のレーティングで8.43点、同じくデータサイト『Squawka.com』のパフォーマンス・スコアで58点を与えられ、ともにマン・オブ・ザ・マッチに選出された。

 近年、ネイマールやスアレスといった巨額の移籍金で移籍市場をザワつかせ、下部組織では未成年選手の国際移籍規定に抵触して今夏の補強を禁止されたバルサ。一方で、仮に今夏の移籍市場で補強禁止処分が科されていなければ、“右SBセルジ・ロベルト”は誕生しなかった可能性もある。

 クラブの失策を救うのは地元カタルーニャ出身のカンテラーノかもしれない。

text by 海老沢純一