勝利の数だけ敗北がある。悔し涙をこらえながらトップアスリートたちが放つことばが、ときに勝利以上にわたしたちの心を揺さぶる。W杯、オリンピック、ボクシング……、最高の舞台でうまれた名言たちを紹介したい。

■「最後のW杯、悔いなくやり切れた」(2015女子サッカーW杯・澤瑞希)

サッカー女子W杯2015決勝に敗れた直後のインタビューにて。日本女子サッカー界を引っ張り続けた36才の彼女が最後のW杯として臨んだこの大会。連覇を逃しはしたものの、チーム一丸となって力を出し切り決勝へ勝ち上がったなでしこの戦いは日本中に大きな感動を呼んだ。

■「原田さん、銀メダルですよ」(リレハンメル五輪・西方仁也、岡部孝信、葛西紀明、原田雅彦)

冬季五輪でもっとも有名なシーンのひとつ、リレハンメル五輪ジャンプ団体決勝。圧倒的リードでむかえた日本の最終ジャンプ。飛びさえすればとれる金メダル。だがそのジャンプを原田が失敗。まさかの銀に日本中が落胆した。頭をかかえしゃがみこむ原田。3人が駆け寄り原田に声をかけたのであった。

■「弱いから負けた。それだけです」(シドニー五輪・篠原信一)

「世紀の誤審」と呼ばれたシドニー五輪柔道100堋教蕁8事に決まったと思われた篠原の「内股すかし」が相手のポイントになった。日本中が困惑と怒りに染まる中、銀メダルを首にかけた篠原ただ一人が自分の弱さを口にした。

■「銀メダルは負けてもらうメダルだから、学ぶことは大きい」(アトランタ五輪・谷亮子)

バルセロナ五輪では銀メダル。今度こそ「金メダル」と臨んだアトランタ五輪では、決勝で北朝鮮のケー・スンヒに敗れてしまった。金以外はすべて同じ、と言わんばかりの凄まじい執念がこの言葉にこもっている。その後、田村は二大会連続の金メダルをとる。

■「私は何で、一段一段なんだろう」(バンクーバー五輪・上村愛子)

長野五輪から4大会連続出場、7、6、5と順位を上げてきたが、バンクーバー五輪では4位に終わり悲願のメダルにはやはり届かなかった。一段づつしか上がらない順位に、上村愛子が洩らした無念の言葉。

■「日本代表の誇り、魂みたいなものは向こうに置いてきた」(1998年フランスW杯代表メンバー落選会見・三浦知良)

1998年フランスワールドカップ初出場を決めたサッカー日本代表はスイスでの合宿をしていた。しかしこの合宿で代表から三人が外されることとなった。そのうち一人が当時代表の顔であったカズであった。頭を金髪に染めて緊急帰国した会見では、「この気持ちは、自分自身納得しちゃいけない」と堂々と話した。W杯出場というサッカー選手の夢がまさに直前で消えていった。カズは今でもW杯のピッチに立つことを夢見ている。

■「ありがとう、今までのことはごめんな。ホンマ強かったわ」(辰吉丈一郎vs薬師寺保栄戦・辰吉丈一郎)

WBC世界バンタム級タイトルマッチ、薬師寺保栄 vs 辰吉丈一郎戦。お互いもともと不良少年同士、そこへ複雑な因縁が重なり両者のボルテージとファンの注目は急上昇した。試合前には激しい舌戦を繰り広げ、日本中が注目する一戦となった。試合はフルラウンドの死闘の末、薬師寺の判定勝利。辰吉は薬師寺を担ぎ上げてこれまでの非礼をわび、勝者を讃えたのであった。

 * * * * *

先日発売となった、名勝負の影にある“敗者”にスポットを当てたムック「美しき敗者36番勝負」(双葉社)。今回はそのムックのなかの「敗者の名言」の特集からピックアップして紹介した。アスリートの生き様に感銘を受けること間違い無しのこのムック。是非、書店などでお買い求めください。

日本中が涙したスポーツ名勝負を辿ったムック「美しき敗者」絶賛発売中!

別冊週刊大衆シリーズ『美しき敗者36番勝負』