そして今、若返り薬として最も注目されているのが、ワシントン大学の今井眞一郎教授が発見した『NMN』という成分だ。
 「『NMN』は、『ニコチンアミド・モノヌクレオチド』の略称で、ビタミンB3から作られる。体内に吸収されると身体の機能を保持するために必要な『NAD』という物質に変換されるのです。老化すると『NAD』が各臓器で減少し、これを体内で作る能力が減少していくことも判明しています」(前出・健康ライター)

 今井教授は、『NAD』が「私たち全員が体内に持っている物質である」と語っている。『NMN』の投与は、その低下を補うのである。
 「今井教授は、『NMN』の使い方には二通りあると語っている。一つは、病気になった時に多量の『NMN』を使って病気の症状を改善させる治療薬として。もう一つは、日常的に『NMN』を摂取し、老化とともに自然と低下する身体機能を補正するというものです」
 マウスでの結果を踏まえると、人間は50代後半から60代のあたりで『NAD』を作る能力が落ちてくるため、その少し前から『NMN』を利用すると効果的だという。

 ちなみに、『NMN』には若返りの効果があることから、美容業界からも注目を集めており、これを研究するハーバード大学のポーヘン・アー博士は、「『NMN』を酵母で生成すれば毒性がないため、皮膚に付けることも食べることもできる。石鹸やローションのような日用品としても使える」と語っている。
 「こうしたサプリメントが実用化に成功し、手軽に摂取可能な環境になれば、人間の寿命は約20%伸びると言われています。日本の場合は女性の平均寿命が90歳に迫る勢いですから、やがて、平均100歳、30年後には120歳になっている可能性もある」(前出・サイエンスライター)

 一方、前出の田村氏はこうした夢の若返り薬に懐疑的だ。
 「今は長寿について様々な提案が出されているが、『レスベラトロール』や『NMN』は研究結果が出ているものの、それらはあくまで動物実験の段階。マウスでいくら良い結果が出ても、人間でどうなるかは分からない。しかし、かく言う私も、不老長寿薬として知られる中国の『冬虫夏草』を服用しています。効能? そう言われてもあまり感じないが、現在80歳でがんもないし、医療保険も使っていない。現役の常勤医師として毎日ハツラツと働いていますよ(笑)」