腹部超音波検査で胆石やポリープが見つかったら要注意

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女優の川島なお美さん(54)が2015年9月24日に「胆管がん」で亡くなった。7月13日には、任天堂前社長の岩田聡さん(55)も同じ病気で亡くなっている。二人を襲った胆管がんとは、どのような病気なのか。

手術で無事切除でも安心できない

岩田氏は2002年に任天堂の社長に就任して以来、ニンテンドーDS、Wiiを世に送り出し、同社を大きく成長させた人物として知られる。社長でありながら自ら自社の製品を解説する動画「ニンテンドーダイレクト」などを通して、積極的にユーザーの前にも登場し、「岩っち」の愛称で親しまれていた。

2014年6月に株主向けのニュースで「先日、健康診断で異常を指摘され、精密検査の結果、胆管に腫瘍が発見されました」と発表した。「胆管」とは肝臓からすい臓を通り、十二指腸へとのびている胆汁の通り道。腫瘍が悪性だった場合は胆管がんとも言われるが、国立がん研究センターのがん情報によると、胆管がんは初期には自覚症状もないため早期発見が難しい。原因も詳しくわかっていないため、がんの増殖を抑える抗がん剤の種類も少ない難治性のがんだ。今のところ手術による切除が治療の期待できる唯一の方法とされている。

当時の任天堂の発表で岩田氏は「幸い私の場合は自覚症状のない段階で発見することができました。治療のためには、早期に手術で切除することが望ましいとの診断をいただきましたので、先週手術を受け、手術は予定通りに無事終了いたしました」と治療は無事に終了したことをアピール。2015年に入ると前述のニンテンドーダイレクトに復帰し、6月26日に開催された株主総会でも続投が承認され、全快ムードもあったが、7月に入って突然体調を崩したと発表され、そのまま亡くなった。

手術は無事に終わり、その後も回復しつつあるように見えたものの、容体が急変したのはなぜなのか。北里大学医学部外科教授で消化器がんを専門とする渡邊昌彦医師は、「手術した時点で実はかなり進行していたか、急激な後遺障害が起きたのではないか」と推測する。

「胆管がんの手術は腹部の手術の中でも、最も難しい部類に入ります。仮に手術が無事に終わっても治療が成功する保証はありませんし、後遺障害も起こりやすいがんなのです」

日本のがん死亡者に占める胆のう・胆管がん死亡者の割合は、男性の場合6%、女性は4%。川島さんは14年1月に肝内胆管がんの手術を受け、その後、芸能活動を再開していたが、15年9月17日、体調不良で舞台を降板。復帰を目指して治療に専念していたが、かなわなかった。

腹部超音波検査の結果に要注意

自覚症状がなく早期発見が難しいがんといえば大腸がんもそのひとつだが、国立がん研究センターが発表している「全国がん罹患モニタリング集計」では、大腸がんでも46%が転移前に発見されているのに対し、胆管がんはわずか19.9%。診断後5年以内の生存率に至っては、ワースト1のすい臓がんに次ぐワースト2となっている。

発症率は岩田氏がそうであったように50歳を越えるころから増加し、加齢と共に上がっていく。生存率を高めるためには40歳ごろからの定期的な検診が欠かせないが、胆管がんは厚生労働省の定める「がん検診」の対象にはなっていないため、自主的に検診を受ける必要がある。

胆管がんの検診の一般的な検診は腹部超音波(エコー)検査と血液検査になるが、渡邊医師によると、エコー検査は進行していなければわからない場合があるという。

「より詳しく調べるためには、MRCP(MRIの装置を利用し胆のうや胆管を撮影する検査法)や内視鏡による検査になります」

会社勤めであれば、30歳から年1回の定期健康診断で腹部超音波検査を受けられるところもある。胆石やポリープが見つかった場合、専門医に相談するといいだろう。血液検査や腹部超音波診断で異常が見つかった場合、MRCP、内視鏡検査等の精密検査が勧められる。自営業、無職なら、人間ドックなどで用意されている「肝・胆・すい臓検診」などを利用することになる。[監修:渡邊昌彦 北里大学医学部外科学教授・北里研究所病院副院長・日本内視鏡外科学会副理事長/J-CASTニュース2015年9月25日掲載]

(Aging Style)