投資信託市場では外国株式の低迷もあって日本株ファンドへの注目が高まっているという。投信の最新動向について楽天証券経済研究所ファンドアナリストの篠田尚子氏が解説する。

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 国内の投資信託市場には順調な資金流入が続いている。6月の1兆111億円に続いて、7月も8119億円と、新規資金は高水準を記録した。ただし、この間、内外の株式市場が軟調に推移したため、運用成績はふるわず、残高はやや伸び悩んだ格好だ。特に6月は、日本の株式市場の下落に伴う運用成績の悪化を受け、残高は17カ月ぶりに減少している。

 そして、その残高の伸び悩み以上に、気になる問題が生じている。ここ数か月で、毎月分配型ファンドの内、毎月200円超の分配金を支払っていた「超高分配」ファンドの中で、相次いで分配金を引き下げる動きが目立ってきているのだ。

 例えば、『好配当グローバルREITプレミアム・ファンド 通貨セレクトコース』は、今年2月に分配金を200円から170円に引き下げたが、さらに6月にも140円に引き下げている。また、『グローバル・リート・トリプル・プレミアム・ファンド(毎月分配型)』は、7月から分配金を210円から180円に引き下げた。いずれも、引き下げ幅は30円と小幅に見えるが、基準価額は今年に入ってほぼ一本調子に下落しており、運用状況の厳しさが伺われる。
 
 こうしたファンドに共通しているのは、投資対象が米国を中心とした海外リート(不動産投資信託)であることに加えて、ブラジル・レアルを中心とした高金利通貨を為替取引に組み入れていることだ。

 今年前半、まず米国のリート市場が下落。そこへ、豪ドルやブラジル・レアルなどの高金利通貨の下落が重なった。特に、ブラジル・レアルは7月に対ドルで約12年ぶりの安値水準まで下げている。このダブルパンチを受けた結果、前述したファンドに代表される超高分配ファンドの運用成績が大きく落ち込むことになったのだ。

 昨年から今年にかけて、超高分配ファンドには大量の新規資金流入が続いており、毎月の販売額ランキングの上位を占めていた。今後、他のカテゴリーのファンドの分配金の引き下げが続くようだと、個人投資家へのダメージが拡大していくおそれがある。

 このような状況を受け、見直されているのが日本株のアクティブファンドだ。日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)といったインデックス(指標)をベンチマーク(目標基準)として、それを上回る運用成績を目指すファンドのことである。

 ギリシャのユーロ離脱問題や中国株・上海市場の低迷など、大きなショックがあったものの、海外の主要株式市場と比較して、足元では日本株は底堅い動きが続いている。4-6月期の企業決算も好調を維持。改めて、投資家の日本株への選好度が高まっているようだ。

 個別のファンドとしては、『ネット証券専用ファンドシリーズ 〈購入時手数料無料〉日本応援株ファンド(日本株)』や『スパークス・新・国際優良日本株ファンド』が注目されている。

 この2つのファンドは、誰もが知っているような優良株で、時価総額が大きい大型株中心に投資をしているものの、投資対象を絞っているのが特徴だ。

『ネット証券専用ファンドシリーズ 〈購入時手数料無料〉日本応援株ファンド(日本株)』は、30〜50銘柄程度、『スパークス・新・国際優良日本株ファンド』は、20銘柄程度に集中的に投資を行なっている。パフォーマンスを見てみると、今年1〜6月の6か月間で、2つのファンドとも上昇率は20%を超えており、同期間のTOPIXの約15%を上回っている。

※マネーポスト2015年秋号