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食物アレルギーの概念は今から約100年前、イギリス人医師が痛風や湿疹などのいくつかの症状と食物との関係性を発見したことから始まったといわれています。その関係性とは、問題となる食物を取り除くと最終的に症状が治るということでした。

そして現在、食物アレルギーには、偏った食生活や不適切な食生活、ストレスなどに加え、腸内環境も密接に関係すると考えられています。今回は、その理由をお話ししたいと思います。

○食物アレルギーと腸内環境の関係

本来、腸の粘膜には全身の約70%の免疫細胞が配置され、病原体の体内への侵入を防ぐために常にパトロールをしています。一方で腸内環境が悪化し、腸に炎症が起きやすい状況では、免疫細胞が過敏になり、アレルギー症状が生じやすくなってしまうのです。したがって食物アレルギーの治療には、アレルギーの原因食物を避けると同時に、腸内環境の改善と腸粘膜の再生を行う必要があります。

具体的には、次の4つの腸の機能を改善することが重要です。

1. 消化吸収能

2. 腸内細菌のバランスを保つ機能

3. 腸管粘膜のバリア機能

4. 腸管免疫能

実際の治療では、採血によって即時型食物アレルギーや遅延型食物アレルギーの原因食物の特定を行い、その食物を一定期間除去します。また、血液検査で腸の粘膜の新陳代謝に必要な栄養素の過不足をはかり、足りない栄養素を補うことで、腸管粘膜の消化吸収能やバリア機能を再生します。

ほかには便検査を行い、善玉菌や悪玉菌、日和見菌といった腸内細菌のバランスを調べます。バランスが悪い場合は、乳酸菌や発酵食材などのプロバイオティクス(善玉菌)や、オリゴ糖などのプレバイオティクス(プロバイオティクスを活性化させる物質)を補充するほか、悪玉菌のエサになるような精製された炭水化物を極力控えることも有用です。なお、便の状態を確認することも腸内環境を推測するうえで大変役に立つでしょう。

このような治療を行うことで、食物アレルギーのほかに、じんましんやアトピー性皮膚炎、花粉症などのアレルギー疾患も改善する人が多く見られます。また、普段の生活でできる予防・改善法として、甘い物の摂(と)りすぎや暴飲暴食を控え、善玉菌を増やす発酵食品や食物繊維の摂取を心がけてみましょう。

※画像は本文と関係ありません

○著者プロフィール: 関由佳(せき・ゆか)

内科医、misoドクター、Foodoctor、Medical Chef

専門は内科、予防医学。研修医の頃に野菜ソムリエの資格を所得。同時期にアメリカのシアーズ博士のもとでZONEダイエットを学び、日本人に合わせた食事バランスガイドを作成。ダイエット外来や糖尿病治療にもそのメソッドを応用し独自の栄養指導を確立した後、レシピ本『ゆるゆる糖質オフダイエット』を出版。現在は薬ではなく食べもので予防するFoodoctorとして個人に合わせたオーダーメイドの栄養療法を行う傍ら、misoドクターとして味噌ファスティングの指導行うなど幅広く活動中。また2011年よりHappyAgingLabo会を主宰し毎月さまざまなテーマでセミナー&料理教室を開催し、ブログ・Dr.Yukaのゆるゆるバランスダイエットでも情報を発信する。

(関由佳)